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神の悪戯に翻弄される冒険者  作者: 佐神大地
第3章
111/330

111 医学は進歩していない

 「・・・


 ・・・・・・


 ・・・・・・


 現在の情報では可能性は3つ考えられます。邪神の呪い、魔力欠乏崩壊病、栄養失調による衰弱です。」


 D(ディー)の返答は予想を大きく超えるものだった。病名がいくつかでると思っていた。魔力欠乏崩壊病はいいとして、栄養失調による衰弱は病名だろうか

 ?まして邪神の呪いにいたっては病ですらない。俺がクラウスさんにD(ディー)の言ったことを伝えると、クラウスさんも唖然としていた。


「千波矢さん、申し訳ありませんが、もう少し詳しくお願いします。」


 すぐに落ち着いたクラウスさんが聞き返してきた。俺は「ちょっと待ってくれ」と言って、D(ディー)に詳細を聞く。俺自身、よく分かっていないからだ。


「・・・邪神の呪いは上位の呪いです。相手を殺さずに苦しめたい時に使用されます。死の危険はありませんが、解除されるまで苦しみは続きます。下位の呪いと比べて判明しにくく解除しづらいのが特徴です。

 魔力欠乏崩壊病は長期の魔力欠乏により体が崩壊していく病気です。初期症状が酷似しています。放っておくと症状が悪化し、死の危険があります。魔力回復薬で症状が一時的に落ち着きます。治療には専用の薬と本人の魔力コントロールの技術が必要です。

 栄養失調による衰弱は栄養素の一部が足りていないことに起こる病です。」


 なんだか、栄養失調による衰弱は情報量が少ない気がするが、と思っているとD(ディー)が補足をくれた。


「私が答えられる情報はこの世界のヒトが知っている知識に限ります。そのため、栄養についてはこれ以上の情報の開示はできません。」


 ・・・つまりこの世界のヒトは栄養についてあまり詳しくないということか。



 俺はクラウスさんにD(ディー)が言ったことを伝えると、案の定、栄養失調についてはよく分からなかったようだ。


「坊ちゃんは毎日それなりの量を食べています。栄養が足りなくなることはないはずです。」


 クラウスさんはそういうが、「俺が好き嫌いはあるか?」と聞くと気まずそうな表情になった。


「坊ちゃんは肉料理を好んで食べられるようです。確かに、野菜類はあまり食べないと聞きます。」


 しかし、「それが病と関係があるのか?」というかんじだ。この世界では魔法で病が治せるため、医学が進歩していないことによる弊害であろう。


「俺のいた世界ではビタミンCという栄養素不足による病気を壊血病と呼んでました。」


 俺が唯一知っている知識をこの世界で披露すると、クラウスさんもリサさんも驚きの症状だった。この知識、マンガで手に入れたんだが・・・。


 間違いない、この世界の医学はあまり進歩していないようだ。



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