1 神様と出会う
3作目です。
不定期投稿でやっていこうと思ってますが、なるべく毎日投稿をめざします。
「ここはどこだ?」
俺は見知らぬ場所で目を覚ます。どうもソファーに寝ていたようだ。
「なぜ俺はここで寝ていたんだ?」
俺は事前の行動を思い出す。
確か、不良に絡まれている同級生を見つけて助けようとしたはずだ。同級生が逃げだした後、不良たちに追いかけられて逃げたんだった。追いつかれてボコられた?いや、追いつかれた記憶もない。体に痛みもない。うん。ボコられてはないな。
「そうだ。不良に追われてとあるビルに逃げ込んだら、床がなくて落ちたんだ。」
床がなくて落ちた?いやいやいやいや。そんなことはあり得ないだろ。どんな欠陥建築だ。
「だいたい、ここはどこだ?」
辺りを見渡すと誰かの部屋の様だ。10畳ぐらいの部屋に俺が寝ていたソファー、机と椅子、それと本棚があるだけだ。扉は1つで窓はない。えらく何もない殺風景な部屋だ。
不意に扉が開き、サラリーマン風の男が入ってくる。
「目が覚めたようだね。びっくりしたよ。空から人が落ちてきたからね。」
(なんだ。この男は?それに空から落ちてきたってどういうことだ?)
「僕かい。ごめんね。自己紹介がまだだったね。僕はラインハット。君たちの言葉で言うと神様かな。」
(神様?こいつ頭がおかしいのか?)
「別に頭はおかしくないよ。ホントに神様だから。」
(えっ?俺、喋ってないよな。)
「だから言ってるじゃん。神様だって。人の心くらい読めるよ。あっ。ちょっと待っててね。」
ラインハットはそういうとスマホを取り出して、どこかに電話をかける。なぜ、スマホ?
どうも誰かに俺のことを報告しているようだ。おそらく上の位の神様だろうか。
ラインハットは見えない相手に向かってお辞儀をしながらしゃべっている。こうしてみていると、サラリーマンにしか見えない。
「ごめんね。待たせて。確認だけど、君は葵 千波矢 君でいいよね。」
「はい。」
「18歳、学生。趣味は剣道だよね。」
「はい。そうです。あの、ここはどこですか。」
「ここ?僕の部屋だけど。」
「そうじゃなくて、」
「ごめんごめん。ここは神の世界だよ。君はなぜか次元の裂け目に落っこちて、この世界に流れ着いたんだ。」
「神の世界?次元の裂け目?」
訳の分からない単語が出てくる。だが、分かったことがある。常識では考えられないことが起こったということだ。そして、その原因はおそらく俺にあると・・・。
「おっ。自分のスキルに気づいていたみたいだね。」
「不運体質のことですよね。」
そう。俺は昔から不運だった。痴漢や万引き犯に間違われることもよくあった。すぐに誤解は解けるため、大事にはなったことはないがいつも大変だ。最近では、近所のお巡りさんに不幸の少年として覚えられている。
他にも好きな子にラブレターを送った時、なぜ他のやつが不幸の手紙を送っていて、俺が不幸の手紙を送ったことになりフラれてしまったこともある。あの時は1週間ほど寝込んだん。
「いや、君は不運なんじゃなくて、神様に『神の悪戯』ってスキルを与えられているんだよ。」