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進化論~レベル式進化説  作者: ツタンカーメン
3章 迷宮都市
62/65

62 旅は道連れ?

さて、時間も時間なので……というかジンの語りが長かったので、先に宿に戻って夕飯を済ませよう。

宿に帰ると、既に調理も配膳も済んでいたようで、ヒュウガとカグヤが食卓についていた。


「「おかえり」」

「ただいま。いい匂いだねぇ」


今更ながら、閑古鳥が鳴き叫んでいるこの宿だからこそホストとゲストの距離がこんなにも近いんだろうと思わされる。

実際、これでは宿と言うより民宿かホームステイだ。


ご飯は普通に美味しかった。


「急だけど、明日の朝にここを発つ事になったから」

「分かった、準備するね」

「…………フッ」


その時、妙に無口なヒュウガが印象に残った。




どうせバレないだろうし転移しよう。

と思って変人店主の自称本店に飛んだ瞬間、バッチリ目が合った。


「やー、こんばんは」


慌てれば慌てるほど怪しく思われることを知っているおれは、少なくとも外面は全く動じない。


「……今、どっから来ました?」

「扉ですね」

「目の前に急に現れ」

「扉ですね」

「私こう見えてA級斥候士なんですけど」


まさかの冒険者だった。

A級ならギルドトップクラスの斥候職ということになる。

冒険者ギルドが冒険者同士ののパーティやらなにやらに便利だからと作った冒険者ランクとは別のランク制度である。

ちなみにおれは何級とも判定されていない。


言わば理外の存在……


ではなく、Eランクの上資格試験を受けてないだけだ。

まあ仮にA級救世主とでも名乗っておくか。


……止めておこう。もしアレがおれの乱獲のせいなら一気にA級戦犯に降格だ。


「ふっ、井の中の蛙ですね」

「む。それはまさか私のことかな」

「それに外に誰かいますか?現実を受け入れられないとは哀れですね」

「ふふふ、言ってくれる」

「ふふふ」


あ、また変な包帯(能力なし)置いてる。


「……で、本日はどういったご要件で?」

「ああ、明日から帝都に行く事になったから挨拶ついでに買い物でも、と」

「ほう……なるほどなるほど……ふむ、そういうことでしたらあなたに依頼を出したいのですが。内容は帝都までの護衛、報酬はそうですね、Eランクですから大銀貨1枚位でどうでしょう」


にやり、と笑って、そんなことを言った。

コイツも商人ならおそらくわざと見せた笑みだろう。

こちらも当然、さっきの続きか、と応戦する。


「フッ話になれませんね、他のEランクを指名されては?」

「ふふ、どうせなら知り合いの方が気が楽でしょう?それとも何か気に入らない点でも?」


如何にも何か企んで居そうな笑みは鳴りを潜め、考えが読めない表面だけの笑みに変わった。

見透かす眼を使うような無粋はせず、こちらも微苦笑をたたえて言葉を返す。


「そうですね、ではその日は別の用事がある、ということで断らせて頂きましょう」

「その用事について伺っても?」

「旅ですよ。行先は帝都なのですがね。まぁ護衛の騎士団をつけられてしまったからあなたを護衛出来る立場にない、ということです」


おどけたように肩をすくめる。

対する変人店主は頷きながらそうでしたか、と──わざとらしく──呟き、ならばと代替案を語った。


「では、帝都までの行動を共にしていただく、というのはどうでしょう。報酬としましては金貨1枚と、そうですね、道中の快適さと索敵を提供できますが」

「こう見えて私アイテムボックス持ちですし索敵にも自信があるので報酬は実質金貨1枚のみとなりますね……ふむ。どうしたものか」


目を瞑り、顎に手をやってわざとらしく考えるふりをする。


「私は自分の戦闘力がSランク冒険者にも劣らないと考えています。なので、最低でもSランクの護衛依頼の相場は頂きたいですね。それプラス騎士団が着いてくるのだからその価値は十分にあるでしょう」

「……いいでしょう」


観念したようにそういった。

これ以上の応酬は無意味と悟ったのだろう。


そういうことでこの突発的バトルはおれの勝利で幕を閉じた。


「ではこうしましょう。報酬は、あなたの商品……つまりそこにある結界魔石や魔導テントなどを使って、私だけでなく一行全員の快適な旅路をサポートして頂きたい。正直今のアイテムボックスの中身だけでは少し心物無かったのでね」

「ええ、そういうことでしたら当店自慢の品の数々をご覧に入れましょう。帝都に着くまでにお買い上げになった方には少し勉強させて頂きますよ」

「ほう、では楽しみに待っています。明日の午前7時、荷物をまとめて冒険者ギルドで待ち合わせとなっています。ちなみに別料金で、アイテムボックスを用いた商品の安全かつ高速な運送サービスも行っています」

「ほう、それは是非おねがいしたいですね料金によりますが」

「一般的なサイズの馬車1杯分を大金貨1枚でどうです?」


正直運送依頼の相場など知らないが、その安全その利便性を考えれば十分100万の価値はあるだろう。

最も、その利便性故に確固たる信頼関係が前提なのだが。


「そういえば、こちらの店を開けて店主が別の街に行っても大丈夫なのですか?」

「ええ大丈夫ですよ、ウチにはあれがいますからね、御曹司がね」

「自分の息子御曹司とか言いますか普通」

「ははは」


終始この調子だった。



懲りずに転移。


「こんば……ッ!」


ガキン!と、高速で飛来してきたお玉を弾く。

回転して飛んで行ったお玉は椅子を2つ斬り飛ばし、するりと潜るように壁に突き刺さった。


「あら?ごめんなさい、泥棒かと思って」

「ああ、こちらこそ悪かった……いきな」


その時、ドタバタいう足音と共に、奥の扉が乱暴に開かれ────





「お姉様!!どうなさいました!?」





────2人目のキャサリンが飛び込んできた。


「ゑ?」


ナンダコレ。


あまりの光景に視界が歪み息は乱れ汗が止めどなく溢れ出し平衡感覚がおかしくなる。

キャサリンAとキャサリンBが何か言っているが、声が4重に聴こえる。

思わず手近な柱に寄りかかって、問う。


「どっち、だ……?」


歪む視界で強引に対象を認識しにいくと、徐々に相違点が顕になってくる。

例えば、ホクロの位置。

例えば、腕の長さ。

例えば、勘違いを疑うレベルで微妙に顔の造形も違う。


なんとか識別は可能。


しかし、どちらがキャサリンかは……分からない。



馬鹿な!


何度か食事に来てるんだぞ!?

こんな個性的な人物を忘れるか?

……まあ2人目もそうだけど、まさか、強烈すぎる個性が枝葉の部分を曇らせていたのか?



「何言ってるのよ、レイジ?」

「お、おお、キャサリン」


おれを知っているという事は、こっちだ!

その推理は見事的中した。


「そういえば紹介がまだだったわね。この娘は弟子のサリー。料理の腕だけなら私に勝るとも劣らないわ。何か食べる?」

「サリーよ。よろしくね」

「あ、ああ……じゃあドラゴンステーキを」

「また?まぁいいけど……」

「あ、素材の持ち込みってOK?」


何故か食事の流れになってしまった。


「もちろんよ。食材の値段が浮けばかなり安くもなるわよ……ていうか、ドラゴンあるの?」


ああ、先日の大発生の……と勝手に納得するキャサリンに竜のドロップ肉を渡す。


「ん?これ……ドラゴン?」

「お姉様……!それは、竜です!」


ネタバレ早い。

驚愕の表情を張りつけたサリーが叫ぶと、くわっと目を見開いたキャサリンが、


「やっぱり私が調理する!」

「なっ、お姉様!?私がする約束では!?」


大人気なくも弟子との約束を放り投げた。

ドゴォ、バギィという轟音を響かせながらのキャットファイトをしばし眺める。

終わりそうになかったので、2人ともやればいいじゃない、と折衷案を出す



「ふんぬっ!」

「グボア!?」




……その、直前の出来事。


巌のごとき右手(・・)でもってキャサリンがサリーに腹パンした。


「お、ねぇ、さ、ま…………右…て…料理……に、の、命……だか、ら……と…………」


息も絶え絶えのサリー。


野球ガチ勢みたいな事を……

道理で左で打ち合っていたわけか。


「ふっ……命を賭けずしてなにが料理人よ」


最低だ。


「おーい、2人ともやればいいんじゃないかな」

「えっ私が全部やるわよ」


やっぱり最低だ。


「なら別の肉にする。竜肉を提供する代わりに2人の料理を食べ比べたい」


あのままではサリーがあまりに不憫だからな。

そんなこんなで、食戟が始まった。





「馬鹿な…………こんな、ことが……」

「あ……ぁ……」

「ふふ」


崩れ落ちたキャサリンを睥睨し、サリーが言った。


「お姉様、お忘れではありませんか?私の得意料理は………焼肉だということをッ!」


焼肉って言われるとどこか庶民飯っぽい。



判定結果を振り返ろう

おれは共に甲乙つけがたい美味だったので引き分け判定を出した。

次に、キャサリンが「流石ね……私には無い発想よ」とかなんとか言ってサリーに1票。


雰囲気的にもこれはサリーがキャサリンに入れて引き分け路線か?と思っていた矢先。


「完全に私のが美味しいわね」


とサリーが自分に1票。

負けを認めたはずのキャサリンも実は引き分け路線予想派だったようで、激しい驚愕と後悔の念に思わず失神してしまったようだ。




「あーっと、キャサリンが起きたら、明日から帝都行く事になったからって伝えといて」

「……く、はァ……て、帝都……私も、行く、わ……」

「えー……なんでまた?」

「負けたままで終われないじゃない……!」

「あ、うん。じゃあ荷物もって明日朝7時冒険者ギルドで」


文字通り最後の気力を振り絞ったのだろう。

再び崩れ落ちたキャサリンは、もう二度と動くことは無かった。


出口に向かうふりをして、転移で街に戻る。




「…………にしても、まさか、サリーが女だったとは……」


美味の秘訣を探らんと鑑定して見てよかったぜ。


さてさて、賑やかな旅になりそうだ。




睡眠不足は体に様々な害を及ぼします。

学習能力や記憶力の大幅な低下、免疫機能の低下、がん発生率の増加エトセトラ。

遺伝子とかにも影響があるとか。


睡眠薬では良い睡眠を得られません。

良い睡眠をとるには規則的な生活習慣、寝室に行くのは眠い時だけにして気温は18度くらいがいいでしょう。


……っていう動画を見て恐れおののいています。

TEDの動画だったから信憑性は高いかなぁ。


みんな早く寝よう!今すぐ寝よう!

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