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進化論~レベル式進化説  作者: ツタンカーメン
3章 迷宮都市
59/65

59 レプト迷宮


迷宮……の、前に。



転移っ!


「よ。襲撃大丈夫だった?」

「ひゎうッ!……あー、ヴォイド様いきなり背後に転移するのはひかえて頂きたいのですが」

「部下の前じゃないんだから敬語なしでいいよ。それより、今回の騒動で何か変わったことは?」

「全く無し。モンスターは街の外で殲滅されたし、ここ含めて街への被害はゼロね。強いていえば、商会の方が薬類や武器類、アイテムの販売でかなりぼろ儲けさせてもらったことかしら。前回の襲撃の時の方が儲かったけど」



あっ、皇室騎士が言ってたやつやんそれ。



「ああっと……もしかして前回の襲撃の時に薬と武器の販売、供給過多の魔物素材を上手くつかって巨大化した商会ってのは?」

「うちの商会のこと?経営の人手も足りないし時期尚早だと思って商会の発展はある程度抑制してきたけど……不味かった?」

「いや。そっちの方は詳しくないから知らん。ただおれの持つ情報によると今回の襲撃について調査に来た皇室騎士のトップが『細かい事が気になっちゃう、僕の悪い癖』とか言いそうな知的なタイプで人為的な大発生の可能性を視野に入れて調査するとか。で、人為的だった場合の容疑者の1つが前回の襲撃でぼろ儲けした商会、らしい」

「すごい細かい情報ね。とにかく、了解したわ。まあ秘密結社ヴァルハラにかかればその程度のこと、って感じね」

「秘密結社だったのか……そっか、そういうのに憧れてるのか」

「ちょっと、心読まないで」

「読んでないよ。わかり易過ぎだろ」


秘密結社とか世界の闇と戦う組織に憧れるのはわかる。

おれだってそう思って城下に接触したんだから。


沈み込むソファーにすわり、美味しかったので樽ごと買った果実水を出す。


「ちょっと、書類の上に置かないで」

「浮かしてるから大丈夫。飲む?」

「ならいいわ。ありがと」


この甘酸っぱい刺激がたまらない。

これが炭酸入のだったらまさに革命だ。炭酸飲料好きじゃないけど。




「それはそうと、大災厄ってなんなんだろうね」


ふと、何気なく聞いてみた。

すると意外なことに、明確な返答が返ってくる。



「大災厄ですか?あれはですね、言うなれば環境収容力の限界ですよ」

「環境収容力……大災厄が人口の調整でもしてるってことか?」

「大雑把にいえばそうね。まず、この大陸を聖域として維持する加護と人間一人一人を守る加護は同一の物なの。人口が増えれば増えるほど、聖域の加護は弱くなる。聖域とは魔を阻む領域だから、それが弱まれば魔物は本来の力を取り戻す。そして大災厄によって人口は減り、聖域は回復する。回復した聖域により魔物は力を失い、世界は再び安定する」




…………………明かされる世界の真実。


聖域とか加護とか初耳なんだが。




え、なんでそんなこと知ってんの……?



「ただし、安定までに人類が滅亡しては目も当てられない。だから定期的に強めの加護を持った人間が産まれる。英雄とか勇者と呼ばれている人間は大体それね」


そういう世界の仕組みは転生時に説明されるか徐々に解き明かされていくものだとばかり……


「しかし、想定外の事態が起こった……ッ!」


やめろー。

このネタバレこそが最も想定外だよ。


「神魔……そう自称した異界の尖兵が、世界の壁をこじ開けて侵入した……原因は、神ならぬ人の身で"勇者召喚"と銘打って世界間移動の御業に手を出した先人たちという事になるけれど、そいつ等によって世界のバランスが崩れ始めた……。その対抗策として、神は数人の転生者を送り込んだ。大災厄への対策や神魔討滅の為にさらなる勇者召喚が行われることを阻止する為に。世界の外壁がなくなれば異世界から容易く侵略され、世界は終焉に向かっていく」


それも手遅れな気がする。

この世界は終焉に向かっているのか。



「へ、へぇー……じゃあ詰んだな」

「その為の私達なんだけど……あれ、転生時に説明されなかった?」

「え?」


されてないし。


依怙贔屓だ!ずるい!


「……つまり、大陸の外……聖域の外には、ここより数段強い魔物が居る?」

「そうね」

「龍を虫けらの如く叩き殺すような?」

「…………」

「……………」

「どんな化け物よそれ……というか、強さまでは分からないわ」


……


【な?】


な?じゃねーし。

別に、信じてたけどね。

フッ、おれがお前を疑うわけないだろ、相棒。


……無視しないで。


「それで、何か入用のものでもあった?」

「いや、様子を見に来ただけ。そろそろ戻るわ」

「そう。今度来る時は世界の闇を見つけて来てくれたわ嬉しいわ」

「まだ見つけてないのに設立してたのか」



世界の闇、どこら辺探せば出てくるんだろう。




とりあえず、西の森に転移。

目標は、西の森近辺にあるレプト迷宮である。


皇室騎士と鉢合わせる事もなく、数分ほど森を歩き、迷宮に入った。


ヴォイド装備に身を包み、ホムラ、フェル、フニに加えてワネットを召喚する。


《初めまして》

《うん、よろしくワネット。今日はこれから迷宮で鍛錬する予定だけど、何か分からないことがあったらそっちの3人(?)に聞いて。とりあえず……おれ一人と従魔組で潜ろうと思う。そっちはまずワネットの能力とか戦闘力の把握をお願い。ホムラ、配下は連れていく?》

《ふむ、それでは10ほど連れていくことにします》

《オッケー、みんな、何かあったらすぐ連絡してね。報連相大事》

《主は?》


ワネットの念話。

大顎をキチキチ鳴らすのが可愛らしい。



《おれは…………龍を探す》

《……え、先輩、主は大丈夫でしょうか》

《ふっ見くびるでないぞ後輩》


フェルから、おれ視点の大襲撃時の映像が流れてきた。


《何度見ても圧巻ですなぁ》

《右におなじ》

《……あ、あの時のアレが主でしたか》

《まあ、龍相手でもなんとかなるでしょうなぁ》


従魔達からの期待が……!

世界の声ちゃんのせいで若干自信喪失気味な我が身には痛いことこの上なし。


《ああ、羽虫を叩き殺すように駆除してやる》


無理ー。

これ絶対【羽虫を叩き殺すようにとか完全に意識してて草】とか言われるやつだ。

ここぞとばかりに煽ってくるに違いない。


《おお、さすが主……!!》

《このお方が私の主様ですか……感激ですっ!》

《ふっ、死闘の末打ち倒され、『おれに着いてこい』と言われたあの日はまるで昨日のように思い出される……》


心が痛い!

若干一名の嘘吐きに対してはあまり痛まないが。


《まぁ、そういうことだから》


罪悪感に押しつぶされそうだ。

念話を切り、目を閉じて集中するふりをする。


「グギギィ」

「ガルル……バウッ」

「……(ふるふる)」

「キチキチ」



コォォォォ……と息を吐き出し、従魔達の鳴き声(念話コール)が収まったのを確認して顔を上げた。



「よし…………行くか」


リトルリザード等、過去のおれを彷彿とさせる雑魚モンスターは経験値効率的にも心の平穏的にも捨て置いてどんどん潜る。


50階層辺りで従魔たちと別れ、1人で探索を始める。

出てくるモンスターは全て爬虫類系で、生い茂る草木もどこか恐竜時代のそれを彷彿とさせる。



ようやく現れたドラゴンは、75層のボスだった。


「ギャァアアアアアアォォォ────!!」

「マジックスピア、魔槍ゲイボルグ」


若干の神話ヲタが入っているおれに言わせてもらうと、ゲイボルグはちょっと可哀想な槍だ。

ゲイボルグは何とかという海獣の骨から作られた槍で最終的な所持者はクーフーリンだが、クーフーリンはこの槍を用いて皮膚硬化能力みたいなものを持つ敵の戦士を、肛門を貫いて殺している。

別に口とか目、耳でもいいじゃんと思うのは普通のことだと思う。


肛門云々は忘れるとして、クーフーリンはゲイボルグを主に投擲槍として用い、分裂したり追尾したり状態異常をかけたりと様々な能力を持つその槍の威力は強力無比にして一撃必殺の切札的存在だったようだ。






マジックスピアに貫かれたドラゴンは、直後、爆散した。


ドロップはドラゴン肉と魔石、骨や牙の1部とポーションが5本。



「うん。この程度だよね」


いったい龍とは、どれほど強いのだろう。


そして、龍を羽虫の如く扱う(真偽不明)外の魔物とは一体どれほどのものか。




勇者召喚による世界の壁の劣化。異界からの侵略。


【奴らが来る】というのが聖域の影響を受けていない魔物が襲い来ることを指すのなら。

それは聖域が失われているということで、それは大陸内の全魔物の強化を指す。


その2つの脅威。

逃げ場は無い。抗うには力が足りない。




「強くなれば、いいんでしょ?」

【はい】






レプトはreptilesからとって来た名前。

靴下履くの面倒臭いからサンダルで外出してたけど最近寒すぎてもう無理そうですねー

ちょい早いけどハッピーハロウィーン。

みんなで怪物に仮装してお菓子集め周回しましょうか。

クーフーリンはケルト神話の英雄で、ハロウィーンは古代ケルトの祭りが起源です。


お菓子はいらないのでポイント評価をくださいね(・д・。)


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