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進化論~レベル式進化説  作者: ツタンカーメン
3章 迷宮都市
53/65

53 襲撃参


「「「「うおおおおおお!」」」」

「おい!領軍共!そっち片付いたなら手伝いやがれ!」

「雄叫びあげんな!うるせー!!」

「こっちはまだおわってねえぇぇんだよぉぉお!!うお、危ねぇ!」

「しかもなんだよあのオッサン『討ち取ったりー』だってよ!」

「ふざけんじゃねえよ、なぁ?」

「あーあー、こっちのジェネラルオーガの群れも討ち取って欲しい気分だねぇ!」

「1人だけ仕事終わったみたいな顔しやがって!」

「ばーかばーか!」

「おい、アイツ公爵だぞ!『カーマイン・フォリオが討ち取ったりぃー⤴︎』つってたろ!」

「討ち取ったりぃー⤴︎」

「まじ?大丈夫かコレ。不敬罪で打首とか言い出すくね?」

「いや、こんなけ人数いりゃ特定出来ねぇだろ」

「言いたい放題だな」


ゴブリンキングの亡骸に足を掛け、さながら英雄のように剣を天高く突き上げるカミィに非難が集中する。


「うぉぉぉぉお!戦いはまだ終わっていないぃぃ!!!」

「うわ、なんだあの筋肉は!」

「エルフ耳着いてるぞ!幻覚魔法か!?」

「あれはうちのギルマスだ。あの火達磨野郎とゴブリンキングを倒してただろ?」

「おお、ゴブリンキングの相手をした後で……」

「フハハハハハハハ!」

「つ、強え!」

「何故裸なんだ!」

「流石だぜギルドマスター!」

「愛してるー」


このままでは自分も非難の対象になると悟り、魔物の相手をしている冒険者達の傍へ行き猛烈に大剣を振るい始める。

私ちゃんと戦ってるよ見て、という意思表示。




「く、アイツめ……ここぞとばかりに点数稼ぎしおって」

「閣下。ここは我らも……」

「そうだな……」


大剣を振るい、瞬く間に魔物を薙ぎ倒していく。


俺の街を俺が護る。

当然の事。

理由は要らない。『何故』など無い。



「うおおおおぉ!」








数時間後。



「やはり、先程から……向こうが騒がしいな。あっちは確かレンが行ったはずだが……」


まさか、何か強力な魔物がでたのだろうか。

ここからでは確認できないが……とりあえず行かなくては。現状最大戦力である俺とあいつが各個撃破されるなんてことがあれば……


(待ってろよ!)


騎士を数人連れて走り出した。

騎士の中でも強い奴らはS級がでた時の対応──つまり、討伐もしくは戦力が整うまでの時間を稼ぐ必要があるため、連れているのは序列10位辺りの者だが、かなりの手練だ。





「ウォォオオ!ハァッ!」

「おお!冒険者ギルドマスターのスレンダがまたジェネラルオーガを倒したぞ!」

「凄い!流石は冒険者ギルドマスターのスレンダだ!」

「なんて強さだ……冒険者ギルドマスターのスレンダ!あれほどの戦いの中、まだ上半身裸だなんて!」

「フハハハハハハハ!私が冒険者ギルドマスターのスレンダだ!」

「なんて筋肉………あれが冒険者ギルドマスターのスレンダ……」

「冒険者ギルドマスターのスレンダ…………彼がいれば、或いは……」


わざとらしい雄叫び。

"冒険者ギルドマスター"の"スレンダ"で、"上半身裸"の"筋肉"。


アピールポイントをもれなくカバーする声援。


『冒険者ギルドマスターのスレンダ』で1セット。

全員にわかるよう、呼びかけているのだ。


私超頑張ってるよ、と。


恐らくは、部下に命じて。偽客(サクラ)の如く………民意を操っているのだ。


「……帰るか」

「閣下…………」

「……いや、私はあれと同じには堕ちん。が……兵達もそろそろ限界だろう。都市内の待機・防衛組と交代だ。俺は離れられないから、1度陣に戻る。それだけ。別に他の理由とかないから」

「ならば、我等も交代の兵と共に戻ります」


負傷者を運び込み、治癒可能なら治癒し、治癒不可又は魔力を消費しすぎると判断された兵をフォリオへ送り返すための陣が設置されている。

フォリオから運び込まれる物資を蓄え、兵達が休憩、或いは睡眠出来るようテントや毛布、更に簡易トイレも多数設置されている。

鍛冶師や錬金術師の工房も設置され、武器のメンテナンスは勿論、冒険者や傭兵ならギルドカードで倒したことを証明できる魔物の素材を使って貰うことも出来る。

軍人は新しい軍用武器が配布される。



「閣下!どうされましたか!」

「兵に疲れが見え出したので、待機組と交代だ」

「ならば、我々も出ます!今のところ魔物は来ていません!体力は十分有り余っています!」

「良いだろう。オスロー、采配は任せた」

「御意に」


ここは重要な拠点だ。

地中からの奇襲にあわぬよう地下2メートルの所には硬い岩盤があり、我が軍1000と100を超える冒険者に守られている。



ある者は陣で、ある者は都市に戻り休息をとり。

ある者は夜を徹し、ある者は早朝、動きを阻害しない程度の飯を食い、戦いに戻る。


「そっちはあと23秒。すりおろしたドクダミンBを入れてハイドロベルゲン式攪拌のアレでよく混ぜて。そっちのは色が悪いから牛乳……は、駄目ね。豆乳でも入れときなさい」

「牛乳がダメなのに豆乳はOKなんすか!?」

「あー、遅い。遅いわ。その一瞬が命取りよ。いい?魔法薬作りはね、戦いなの!全てとのね。なぜ戦うの?答えなさい。ガロン三等兵」

「分かりません!それと、自分は兵士ではありません!」


当然、討伐された魔物の中にはポーションの原料となる素材が取れるものや体から草を生やしたものがいる。

ポーションの原料となる薬草が底をついた今、戦場から送られてくる数も質もバラバラな素材から以下にポーションを産むか。

たった1つの素材がたりなければ作成できないような魔法薬も有る。

錬金ギルドと腕の見せどころだ。


「戦いはね、開拓のためにあるの。土地を、金を、銀を、素材を、権利を……誰も知らない、見たことをも無い。そんなものを手にするためよ!」

「自分は戦いを好みません!」

「腑抜けたこと言うんじゃないの!手を止めるな!……温度上昇は待ってはくれないわ……!!」

「申し訳ありません!」

「うん。でもちょっと色が悪いから絵の具でも加えましょうか」

「…ッ!…自分は、飲むポーションに絵の具を加えるなど出来ません!」

「……駄目?」

「出来ません!」

「……そう。あんたいい錬金術師なるわ。あんたならいずれ……」

「ギルド長……!」

「いや、無理ね。肝心の錬金術の腕がイマイチだから」

「ギルド長…」

「ギルド長!緑の絵の具を入れてみましたが色がブベラッ!」

「飲むポーションに絵の具なんて入れてんじゃないわよォ!」

「な、し、しかし!」

「言い訳はいいわ。結果で語りなさい。貴方の錬金術師としての価値をね……!」

「わ、分かりました!」

「ちょっとあんた、なんで肉と野菜を入れているのかしら!?」

「開拓であります!自分は料理人を目指していた時期がありまして、料理に関しては少し自信があります!」

「どれどれ……あ、美味しいわね。効果が落ちていることが課題かしら?ポーションの新たな形態と言ってもいいわ。精進なさい」

「はい!次は、携帯可能なパンを試してみます!」

「厨房を使う申請を忘れないでね」

「申請……分かりました!」


変人も多いが、我がフォリオが誇るエリート錬金術師達である。





1日目はゴブリンキングとギガントスパイダー。

2日目はゴブリンキング2体にクイーンキラービー、王級ではあるがA級のキングウルフ。

3日目はゴブリンキング2体とオーガキング、デスニードルスコルピオ、マンティコア、ワイバーンの群れ。


2日目の夕暮れ時にようやく来た、王都からの救援。

Sランク2名を含む、500を超える冒険者や傭兵を迎え入れ、それでも尚ギリギリ所ではないほど崖っぷち。



全く終わりの見えない魔物の軍勢に、誰もが絶望しかけている時だった。


「今日は霧が出てるな…………」


襲撃がなかった3日目の夜。

そして今、4日目の午前3時。




ドン…………


ドン…………



ドン…………





ドンッッ!……





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