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進化論~レベル式進化説  作者: ツタンカーメン
3章 迷宮都市
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44 迷宮

「まず、魔法について簡単にお話します。その後、各属性に別れて練習していただきます。まず、魔法属性についてです。魔法の属性は火水風土光闇の6つがありますが、通常、この内1つから2つの適性を持っています歴代最高記録は5つですが。魔法適性を持たない人間はいませんが、魔法の才能を持たずほとんど使えない事はあります。あなた方には、まず自分の魔法適性のうち1つを選んで訓練していただきます。各属性それぞれ3人の魔法使いが指導にあたります。あちらの赤帽子の3人が火属性クラス、水色が水属性クラス、緑が風、茶が土、黄色が光で黒が闇です。適性を持つ属性のクラスならいつでも移動して構いませんが、器用貧乏にならないように。では始めましょう」


私の適性は水と闇。


とりあえず……闇にしよう。


理由は水のクラスに天原がいたから。



「こんにちは。カロンです」

「リンカーです」

「マリンです」

「勇者様方はこれまで魔法を見た事も使ったこともなく、魔力の存在も知らないということなので、まずは魔力を感じることから始めましょう。今から私が魔力を放出します。…………どうですか?」


威圧というか、謎の圧力を感じる。


「どうでしょう。凄まれている感じと言えばいいでしょうか、圧力を感じましたか?魔力を放出すると、相手は威圧感を感じます。殺気を向けられるようなものですので敵意を込めて魔力を放出することは控えてください。殺気と魔力の圧で相手を萎縮させたり戦闘意欲を削いだりすることも出来ますが、それをするにもまずは魔力の制御です」


カロンさんが上げた右手の人差し指から、黒い影が這い出し、みるみるうちに形を変える。


犬、猫、牛、虎……そして、翼を広げた竜に変わったところで霧散した。


「魔法の鍵は魔力の制御と圧縮。さあ、自分の魔力を感じ取ってくだい。目を瞑って……体の中心に意識を向けて……ありますか?」


「あ……これ、かな?」

「俺も多分分かった」


「では全員自分の魔力を感じ取れたということで、次のステップに移りましょう。その魔力、少しずつで良いです、動かしてみましょうか…………いいですよ、その調子です。はい、皆さん少しは動かせますね。魔力の制御は非常に重要です。自分の放った魔法で死にたくなければ訓練を怠らないように。大きな魔法や高度な魔法を放つ際、暴走してしまえば死にますよ」


魔力の制御の訓練だけで、今日の魔法の授業は終わった。

終わり際に言った彼の言葉が、脳裏にこびり付いて離れない。


『闇属性魔法は、死や破壊、暗黒を司る負の属性という認識が強いですが、闇は邪悪なものではありません。闇属性には"死"が絡む魔法が多く存在することによる偏見ですが、火でも水でも、人は死にます闇は死を操るわけでもありませんし、死を誘うものでもない』


────死霊術や霊媒術だって、死者を冒涜している訳ではありませんよ。




大きく目を見開いて、固まった。


(死霊術……?霊媒術?)


実在するのか。


もしかして……死者との対話が可能なのかもしれない。


その日から、一心不乱に魔法にうちこんだ。



「ヤガミ様は上達がお早いですね。この調子で世界を取りましょう」

「魔法の世界大会とかは無いですよ」

「闘技祭とかでよくないですか?賞金も出ますし」

「いえ、別に賞金の為に頑張ってる訳じゃないです」

「滅多に手に入らない素材とか、貴重な魔道具が賞品になることもありますよ。魔法の威力や効率を大幅に上げるアイテムとかね。鍛冶師や錬金術師にオーダーメイドで頼んだって手に入らないようなモノですよ」

「頑張ります!」





一週間後、国王によって勇者の召喚と、1000日以内に来襲する大災厄についての発表がなされた。


禁忌を犯した王を批判する声も強かったが、大災厄の襲来を疑うものは少なかった。



予言師 マーティ・フレガー。


1世紀前、人類史上初めて神魔を討ったエルフの魔法使い。


大魔導師その人である。




(さて……まあ、レベル上げするべきだよなぁ……)


何が起こるかわからないが、何か起こるならレベリング位はしておくべきだろう。


ついでに従魔たちのレベリングと連携の可能性を探っておこう。

もし魔王とか召喚されてたら嫌だし。

魔王とは、魔を率いて人類を襲う存在の通称だ。

ただし、それでは数匹のゴブリンを率いて村を襲うボブゴブリンさえも魔王になってしまうので、明確な定義はないが先程の条件に『めちゃくちゃ強い』が加わる。

どのくらい強いかと言えば、大体低級の魔物を従えたりするくらいには強いので、神級からとする人も多い。

勇者召喚でも、善人が出てくるとは限らないのだ。

おれが強くなるに越したことはないだろう。

大切なものと、目が届き手が届く範囲の人達を守れるくらいには。


(となると……迷宮の方がいいかな……もしクリアとか出来たらスキルと宝箱が貰えるし……なぁ)

《主の御心のままに》

《迷宮ですかぁ。腕が鳴りますなぁ》

《正直怖いです!無理です!ご主人様!》

(ホムラは当初ホブゴブリンだったけど、2年前から活動してて今はハイジェネラルだろう?フェルは最近出てきたけど王級。フニは最近出て来た上に、あの迷宮でも5層くらいにいたからな。はっきり言って雑魚だ)

《……辛辣》

《これは酷い……》

(だから、フニはおれとだ。おれとフニで一緒に行動しよう。他は自由行動だが、死んだら許さん。いつも通りユニークモンスターは見つけたら殺さないで待っててくれ)

《了解であります》

《承知》

《ご主人様とですか?やったー》

(問題は、何処の迷宮に行くかだな……爬虫類系か、アンデッド系か……安全重視なら試練の迷宮だが、ほかの冒険者が……いや、何か従魔だと示す様なものを着ければ問題ないな。それでも襲ってくるようであれば殺せ。ただし、その場合目撃者を残すな。全員始末しろ。勝てない相手だと思えば逃げろ)


従魔の首輪は冒険者ギルドで従魔登録した場合のみ購入が可能なので、従魔の首輪を付けていない従魔も多く居る。


この従魔たちの存在はまだ誰にも言っていないし、彼等は2つ目の顔の方で使って行く予定なので、従魔の首輪は買えないのだ。

おれは謎の召喚士として……謎の召喚士の従魔がスカーフか何かで従魔アピしていたら変だろうか。

……きっと大丈夫。


服装は白スーツに白仮面で良いだろう。

陰で暗躍……か。心が躍るな。


和服のレイジは普段用。


白染め召喚士は闇の組織の長的ポジ。スラムの組織でも乗っ取りに行くか。



つまり表と裏だ。

となると問題は、どの力をどっちで使うかだ。


どこぞの小説の主人公のように表ではモブに徹するなら裏で全てを使えるが、おれは表で既に迷宮都市最強を下しているし、そもそもおれは表がメインなのだ。


なら、無属性魔法は表。装備は和服と高下駄、武器は刀。


裏は従魔と白染めの服一式、装備は……斧か鉈だな。

おれの筋力なら重さで押し切るタイプの武器が向いている。


問題は、裏用の服一式全て同じ店で買ったという事なんだが……


従魔空間のゴブリン村に裁縫ができる奴がいたはずだから、手直し……いや、新しく作ってもらうか。


素材は……昔倒した3つ首の巨大ヤギの毛とかで良いか。スーツの作り方は本で覚えたから、何とかなるだろう。


ヒュウガの燕尾服を綺麗に畳んでベッドの上に置き、白スーツではなく、盗賊から奪った全身鎧を装備して、


「転移」


まずは人の居ない路地裏に転移。


店員からかなり警戒されつつも爆買いしたスカーフを握り締めて、街の外に転移。


「転移、召喚」


声に出した方が集中しやすい。


(ホムラ、配下のゴブリン達にこのスカーフをつけさせろ。戦闘員だけでいい。フェルもだ。フニはおれと一緒だからいらん)

《分かりました》

《御意》

(よし、じゃあ行くか。試練の迷宮だ。まずは転移陣がおれ達に効果を発揮するか確かめてから、レベル上げだ)

《仰せのままに》

(走るぞ。場所は大まかにしか知らないけど)

《乗りますか?》

(そうだな。ホムラは……)

《載せませんよぉ……?》

《走りたくはないので、着いてからの召喚を希望します》

(分かった。行くぞ、フェル)

《承知》


岩を飛び越え、木々を縫い、崖を駆け登り、疾風(かぜ)となって森を走る。


3メートルサイズの狼でも、この森の木々の密集度なら難なく走れるようだ。

しかし、垂直に背筋を伸ばして座ると高速で飛来してくる枝や葉をいちいち避けたりつまんだりする必要がある。

これはめんどくさいということで、モフモフの背中に身体を埋めて休憩することにした。

うん、鞍とか要らないな。むしろ無い方がいいな、多分。

安定感と疲労の軽減の為にモフモフを犠牲にするか、その逆か。


ぁあ、癒される。


《着きました》

(うん。じゃあ行こうか。……召喚。ホムラとゴブリンはフェルと一緒に。それと、ホムラ。配下のゴブリンに、騎士級上位まで進化したものには名を与えると言っておいてくれ。戦闘員と非戦闘員は別々で、もっと待遇に差をつけろ。お前が選別した第一世代は問題ないだろうが……第三世代くらいからちらほら出てくるやる気もなくて使えない奴は要らんからな。これでもやる気を出さんのなら追放しろ)


ダンジョンの転移陣に鑑定を行使すると、"対象:ダンジョンモンスター以外"とある。うちの従魔は既にダンモンでは無いので問題無く使えるはずだ。


《仰せのままに》

(じゃあ行くぞ。何かあれば直ぐに念話で連絡を取れ。怪我したり疲れたら戻って良いしポーションが足りなくなったら取りに戻れ。魔石とドロップアイテムはなるべく回収するようにおれは一晩中狩るから、いつでも連絡してこい。じゃあ解散!)

《では》

《行ってまいります》


ゴブリン軍団とフェルはそれぞれ別の方向に走り出し、おれは肩にフニを乗せたまま階段へ一直線に走る。

試練の迷宮に限らず、浅い層の地図はかなり出回っている。

深層になればその地図だけでかなりの値がつくらしい(執筆者の信用度にもよる)。


図書館では周辺3迷宮の50層までの地図が公開されていたのでが、写本や本の持ち出しは禁止されているので図書館内で発売されている写本用紙を購入して写す事になるが、要するに


『1~50層までの地図は(結構高い)紙1枚分』


だが、


『それ以降はもっと高いよ』


という事だ。


(フニ。とりあえず、50まで行くぞ)

《主に着いていけば階段が見つかるのですね!》

《……なるほど》

(や、別にいいけど……待たんぞ?)

《我は待って頂きたい!》

《我は追いつけそうです……愚鈍な小鬼は放っておきましょう?》

(どっちも待たん。ホムラ、お前は頭数揃えてるんだから捜索くらい出来るようになれ。フェルは……追いつけるもんなら追い付いてみろ)

《分かりました》

《承知》


[瞬足]で加速。脚を[部分龍化]し、竜人としての真の身体能力を発揮する。

[気配察知]で潜んでいる魔物を探り[真眼][感覚強化]で地形を確認。

[壁面歩行]で地形を無視して、最も近い階段へ最短距離で向かう。


マジックハンドの足場は使わない。

1時間ほど走って、ようやく50層に降りた。

これで次からは入口から転移できる。


(よし、ここらでいいだろ……フニ。試したい事があるんだが。)

《は…速……》



NINJAだからね。

道中襲ってくるモンスターも、今では全部収納の中だ。


《迷いましたぞ!》

(知らん)







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