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進化論~レベル式進化説  作者: ツタンカーメン
3章 迷宮都市
43/65

43 召喚2日目

「騎士団長のボロゾフだ!これからお前達に、いろいろ武器を振ってもらう!ステータスで武器の適性は見れないからな!どの武器にも適性が無くても心配するな!そんな奴は魔法に励め!体力作りだけは一緒にやるがな!魔法もダメなら……知らん!生産職とかも居るだろうしな!ただ、筋肉はあって困ることは無い!」

「えー、団長の脳みそは筋肉質でまともに機能しないので私、副団長のエルメスが変わって説明します。まず皆さんの武器の適性を見ます。これが今後の訓練メニューに大きく関わってきますので、できる限り全力でお願いします。武器を扱う才能が絶望的な方は、魔法メインの訓練になります。生産職でも魔法職でも、多少の体力作りはしてもらうので悪しからず。ひとつの武器、ひとつの魔法属性のレベルがある程度まで達したら、サブ……メインとは違う武器や他の適性属性の訓練を開始します。最もこれは、当分先の話になるでしょう。ちなみに、あなた方は勇者なので多少の事には目を瞑りますが、度が過ぎると容赦無く王国法に則り処罰を下します。好き勝手したければ指名手配を受け懸賞金をかけられても、一般市民の情報提供や賞金稼ぎ、王国騎士団の追っ手を意に介さないほど強くなって下さいね。では、武器はこちらから選んで……というか、剣から順番にやるので手に取ってください」


「おお、お前は剣の才能があるな。次!お前は……無い!やめとけ!お前は……分からんな!次!」


そして、剣、短剣、大剣、槍、弓等、オーソドックスな武器を全て振り終わり、翌日からの訓練メニューと担当騎士が決まった。

既に辺りは暗く、夕食後の風呂を堪能した頃には夜空に星が舞っていた。

この世界は、所々だけど高い文明が垣間見える。

特にトイレや風呂等。

少しだけあった自由時間で読んだ本によると、この世界の科学文明はだいたい中世初期のヨーロッパくらい。

異様に発達した下水道(水は大抵魔道具か井戸で補給するため上水道はあまり必要ないらしい)、不自然な程よく出来た組織とその運営方針。

上げればキリがないが、歪というか、地球とは違う技術の進歩を目の当たりにしている。


技術というものは、案外直ぐに進化するものだ。


新しい技術や新しい発見は、見つけるのは大変困難、画期的な大発見ということで発見当初どれだけ騒がれようと、見つけた後は常識になる。


そう、新しいものを見つけるのは大変なのだ。


だが、仮に。


技術が500年、或いは1000年進んだ世界の住人がこの世界に紛れ込み、こう言ったとする。


『銃というものがある。細い筒の中に金属の玉を込め、内部で火薬を炸裂させその圧力でもって金属玉を撃ち出し敵を殺傷する武器である』


すると、各国の軍部や研究者はこぞってその"新しい発見"をモノにしようとするだろう。


困難である"発見"の部分を、既に"発見"している者から授かれば、技術の革新などに大した時間はかからない。


たとえその仕組みを知らず、発見を伝えることが出来なくとも、明確なゴールを示すだけで効率は断然あがるだろう。




翌日から、訓練が始まった。

午前中は体力作りや武器術、午後は魔法や錬金術などをメインにするようだ。


騎士団副団長曰く、『36人なら個別指導できない人数ではないし、今後各々の成長速度に合わせて個人個人で指導していくこともあるだろう。だが、闘いは1対1でする必要は無い。敵が強ければ仲間と協力して打ち倒し、生き延びる事が重要だ。くれぐれも、パーティでの連携訓練を疎かにする事なきよう』とのことで、まだまだ当分先になるだろうが、『次の段階へ進んでもいいかもな』的なことを言われて調子に乗るやつが出てこないことを祈りたい。

ここは異世界。安全が保証された日本と違い、法をが緩い。とくに暴力沙汰に関するものが、危機感を覚えるレベルで緩い。

此処でいじめでも発生すれば、悲惨な事になるだろう。


走りながら、そう考えていた。


どうやら私たちの身体能力はかなり強化されているようで、かなりのスピードで走っているのに疲労があまり感じられない。


「無理しなくていいんだよ、八神さん。自分のペースでいこう。大丈夫さ、僕が付いてる」


彼はなんだか最近よく話しかけてくる。

正直鬱陶しいけどクラスの人気者ポジを確保しているから滅多なことは言えない。

イケメンで文武両道の彼がモテないはずもなく、女子達の羨望の的なのだ。

全体的に容姿のレベルが高いこの世界でも、かなり上位の顔だろう。顔だけは。

だから、そばに居すぎるとほかの女子達の反感を買ったりする。

適当にあしらっても、何も言わず付きまとわれても反感を買うことは変わらない。



……どうしろと。



「大丈夫」


素っ気なく返してもへこたれない。


「そうか、なら良かった!」


うざ。


キラキラした笑顔で、しかし去っていかない。

さっさと前行けよとも思うが、話しかけたくないので少しペースを上げる。


着いてくる。


ペースを落とす。


付き纏ってくる。

気にしたら負けだ。無視しよう。


悪い人では無いのだろうけど。

いや……悪い人なのだろうか。



数名途中で体力の限界を迎え脱落したが、日本にいた頃では有り得ないような持久力だった。



持久走の次は武術の訓練。


準備運動だ!と言って大剣をブンブン振り回すナントカ騎士団長の横で、例


によって実質的なトップ感を醸し出している副団長が説明を始める。


「これから武器術の指導に入りますので、こちらから昨日決めた武器を選んでください。刃引きはしてありますが当たり所が悪ければ死ぬので注意して下さい。木造のモノは使いません。木剣に慣れると、真剣を使う時重さの違いに感覚を狂わされますので。自らの生命を預け、敵の生命を断つ道具です。それぞれに合った大きさ、長さ、重さ、握りの形を探す事も重要ですので、何かあれば直ぐに言ってください。まぁ、武器に触った事が無い人が多いようなので、そちらに関しては追い追いということで。まずは武器に慣れましょう。一般的に、5歳~10歳の子供がする訓練から始めます。まずは使用する武器事に別れてください。我が騎士団、つまりこの国最高峰の達人が1対1で指導します。凄いでしょ。因みに、彼等には『勇者様方は国賓であらせられるので、くれぐれも不適切な行いは慎むように』と釘を指してはいますが、何かあれば私に言ってください。審議の後に断罪します。しかし指導は厳しく行います。では始め~!」


やっぱりこの人も変人かもしれない。


私の武器は短剣。

剣の生徒が最も多く、槍が数人、弓が3人、短剣と斧と大剣が2人、鞭が1人。

剣と言っても、片手剣とか両手剣とか、いろいろある様だけど。


バイバイ、頑張ってと声をかけてくる天原にはい、とだけ返して昨日顔合わせだけで終わった担当騎士の元へ。


「ヤガミ殿の訓練を担当させて頂くムス・マオリです。余談ですが36人の勇者様方1人1人に1人ずつ騎士が着いており、このようなマンツーマンでの指導では、教え子の強さが指導者の評価に繋がる場合が多いのです。ヤガミ殿には私の全てをお教えします。我が全力でもって貴女の才能を開花させます。では頑張りましょう。私は最初に説明するタイプなので、説明から入らせていただきます」

「あの、どこまでが余談ですか」

「良いですか。まず、短剣とは携帯性に優れたサブウェポンです。通常、メインでは使われない」

「無視ですか」

「ムスです。とりあえず、短剣を用いた攻撃法をお教えします。メインとかサブとかの話は、その後ですね。短剣を用いた攻撃法は主に3つ。斬撃、刺突、投擲です。まず斬撃ですが、はっきり言って有用性は低いです。刃渡りが短く、より深く間合いへ踏み込まなければならない。その上、短剣の間合いに入れば斬撃より刺突の方が有効です。短剣の種類にもよりますが、短く軽い短剣では、剣のように『押し斬る』事が出来ない。相手が鎧でも着ていれば装甲の隙間、主に関節部を狙う必要がありますので斬撃ではなく刺突ですね。とはいえ、剣にしろ短剣にしろ、恐ろしく切れ味の良い魔法剣なら鎧ごと斬られる事もあるようです」

「じゃあ、どんな時に斬撃を使うんですか?」


鎧ごと斬られる?そんなバカみたいな兵器があっていいのだろうか、


「本命の攻撃への布石として用います。装甲で守られていない太い血管などを狙う事も大切ですが。次に刺突ですね。まず、覚えておいて欲しいことが2つ。何かに刺さった武器というのは、意外に抜けにくい。何らかのエンチャントで切れ味等を強化していれば多少は抜きやすくなるでしょうが。そして、武器は意外と壊れやすい。何かしらの[頑丈]系エンチャントがついていればかなり丈夫ですが、素の武器は直ぐに刃こぼれし、曲がり、血脂で切れ味が落ちます。購入の際にはくれぐれも気をつけましょう。特に短剣はコスパが悪い。大量に用意する必要がある上に刺したまま次の短剣に持ち替えることが多いので、獲物に逃げられれば全て失います。短剣はそこそこの出来のものを沢山と、一、二本だけ最高級のものを用意するといいでしょう」

「相場はどのくらいなんですか?」

「1000ゼニーのものもあれば1000万を超えるものもあります。素材や、元の短剣の出来、エンチャントによります。最後に投擲ですね。無くしてもいいなら投げましょう。実際に使うことはあまりないですが、投擲を極めることが出来たなら恐ろしく強力な武器になるでしょう。因みに、投擲用に調整された短剣も存在します。最後に、重要な事を2つ。短剣は対魔物用武器ではありません。人を殺す為に進化したものです。そして、威力が非常に低いです。重さも無く、長さも無い。毒を塗るか当たった瞬間に爆発する様なものが良いでしょう。そうすれば魔物と戦えないこともありませんが、その場合、扱いにはくれぐれも気をつけて。短剣使いは毒使いの暗殺者です。ただし、先入観は危険です。世界には、馬ごと馬上の鎧騎士を両断する化け物短剣使いとかもいますから」

「他の武器を使う人は、毒は塗らないんですか?」

「毒を塗ると、技やスキルに影響が出るんです。変な魔力を帯びた液体に包まれている訳ですから。あとは単純に、武器が蝕まれたり武器の手入れが面倒くさくなるから、使う人は少ないです。仮に毒を受けたとしても、解毒剤や魔法で比較的簡単に治りますしね。短剣についても変わらないので注意して下さい」


私は、終始無言で──掛け声以外は──指導を受けた。


毒に関する講義も近々予定しているとか。

喋り過ぎな感じもするが、『~~の力を抜いて~~を〇〇し、~~の力で』等、ちゃんとした説明が出来る人で良かった。


哀しみを通り越して無の感情を漂っている今、『グッと溜めてバッって弾けてシュッ。後半はもっと、キンギョをすくうような感じ』系の感覚派の発する暗号を読み解く気力はない。




そして、午後。


魔法の授業で、ある魔法の存在を知った。

それは、縋るには十分過ぎる内容で。


即座に、習得を決意した。






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