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進化論~レベル式進化説  作者: ツタンカーメン
3章 迷宮都市
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30 迷宮都市

美人エルフの後を、シュパシュパ転移しながら追いかける。

かなりの間この森を駆け回っていたから、大抵の場所は転移可能だ。


《主、先程狼とスライムが従魔空間に突如現れまして、どう対応していのかわからず放置しているのですが……無言で気まずいですぞ》

(ん?なんだそりゃ)

《従魔仲間っぽいのですが、私にはなんとも》

【意識を失っていた間にアナウンスが入っていましたよ】


しばらく謝り倒した成果だ。機嫌を直した声が教えてくれる。

普通という、無くなって初めて気付く大切さ。

どこで間違えたのだろう。初めて会話出来るようになった頃はお互い敬語だったというのに。

とにかく、二度と怒らせないようにしよう。


世の中には怒らせてはいけないものがある。

それはつまり生命線を握られているということで、ご飯や小遣いの支配者である母親や、スマホの解約権を擁する父親であったりする。

そして、彼女(世界の声)もそう。声が女の子っぽいので男ではないと思う。

()()()()()()()()脳内に声を響かせることが出来るアイツを怒らせると、極端な話戦闘中とかに笑かしてきたりする恐れがあり、少しでも意識を逸らすと不味い状況でそんなことをされればどうなることか。

どれ程大声で喚かれようと、何故か周りの音がかき消されることはないのだが意識は必ずそちらをむく。


最近は冗談を言い合う仲ではあるが、顔が見えない分何を考えているのかわかりにくい。

そういうタイプの友達はいなかったから苦労しそうだ。


(おーい)

《おお、つながりましたなぁ!どうも、血狼王であります。この名はもう捨てていますがなぁ》

《ご主人様。とりあえず召喚して欲しいのですが》

(ん。ああ、メタルスライムとキングウルフか!そういや従魔だったなオイ)

《そう言えばとはひどいですなぁ。我はこの日を心待ちにしていたのですぞ。2年くらいでしたかなぁ》

《私はもっとですね。2年程度で音を上げるとは抱腹絶倒、片腹痛し》

(まあとりあえず今は無理だ。今エルフちゃんを尾行しててな。出来れば気付かれたくないわけ)

《そうでしたかぁ。失礼しましたなぁ》

《でも、早めに呼んでくれたら嬉しいです》

(まあそういうことで、ホムラ。そいつらは仲間だ。仲間割れは許さん。お前らもな、えっと……名前は後でつけるから我慢して)


名前を貰えるというのはモンスターにとって結構嬉しいことのようで。2匹から感謝の念がおしよせてくる。


さて、このエルフさんの街は何処だろう?鑑定によるとSランク冒険者の称号を持っているからエルフの隠れ里とかにたどり着く訳では無いのだろうが。

ちなみに鑑定結果はこんな感じ。


-----

ロザリア

職業:魔法使い 弓士

称号:精霊の申し子 弓聖 Sランク冒険者 賢者 英雄

-----


この世界にも、いわゆる転職という、職業変更の手段が存在する。

ただし、前の職業を残したまま、第2、第3の職業を追加することになる。

転職の条件は、職業に関する称号が第3段階に至ること。

剣士なら剣聖、槍士なら槍聖、弓士なら弓聖、魔法使いなら大賢者……といった具合だ。

精霊の申し子という称号を幼少時に授かり、第1職業が弓士で冒険者登録しSランクに上り詰め、その後転職で魔法使いをになった、という事だ。

精霊の申し子。恐らく精霊にめっちゃ気に入られてるよという称号だろうが、ジャパニーズライトノベル的知識では、魔法系の適正に似たものだろう。

精霊魔法という魔法の一種が存在するのだから。


未踏破領域に入り、転移がきかなくなった。

気配を消して歩くだけでは暇なので、少しスキルの調査をしよう。


詳細を見ると、


魔眼:見透かす眼……全てを見透かす。魔力を込めろ!

部分龍化……部分的龍化。皮膚を龍鱗で覆い、龍の爪を操り、龍の角を生やす。龍化を解けば魔力に還る。


という説明が。

見透かすのか。つまりそれを使えばあのエルフの……?ゲフンゲフン。

ダメだ。それではダメだ。

ちゃんと相手の心を開いてからだ。そういうのは。見るにしても触るにしてもその向こう側のことも。


(……ただし、事故ならセーフ…ッ!!おおっと……魔力の制御が……)


目をかっと見開いて目に魔力を……


(いや、ダメだろぉー!!……やーーーヴァイ!溜まってんのか?まだ1日も経ってないのに?いやでも、思春期の男子高生をそれ関係の全てから数年遠ざけたんなら普通か?)


合意なき裸体の視姦は犯罪である。正義の使者レイジは思いとどまった。


にしても、見透かす眼……。真眼の上位互換か?


そこで、ようやく森が途切れる。

直射日光がに打たれて邪な心がどこかへ飛んでゆくような気もしないではなかった。


浄化のの光。


サァァァアア……


……森を抜けるとそこは草原だった。


(おお……始めてくる場所だ)


草原に入れば尾行が難しくなる。障害物がないので距離をとる必要があるだろう。


「ピィ~~〜ィィィ〜!」


笛……従魔を呼ぶためのものか?

森では呼ばなかったということは、①デカい②燃えてる③飛行タイプ④森が嫌い、のどれかだろうか。

索敵系のスキルや技を駆使して気配を探る。


(……お。)


どうやら答えは③。鞍を付けられたグリフォンが一直線にやってくる。


(グリフォンか……結構いい経験値なんじゃないだろうか)


しかし、空を飛ぶか……羨ましい、ではなく、流石に高度1000や2000まで上がられると見失いかねない。


(しかし……あれ(・・)は流石にバレるだろうなぁ)


空中にマジックハンドの足場を作る、もしくは躰を覆いそれを動かす事で、空中でも自在に体を動かすことが出来る。

流石に魔法を使えばバレるだろう。地上を走って追いかけるしかないか。


光学迷彩アクティブカモフラージュ


エルフ……ロザリアが、小さく呟いた。


(カモフラージュ……迷彩か?)

その思考に応えるものはいなかったが、答えは直ぐに現れた。


今さっきまでたしかに存在した1人と1頭の姿が消え、そこには何も無い草原が広がっていた。


(魔力は消えてないな……隠蔽しているようだが)


姿は見えないが、存在は感じ取れる。だが、それは近いから感じ取れると言うだけのことであって、ある程度ある程度離れられると全くわからなくなる。

そして、その限界距離はは視認出来る限界より短い。


(そうだ……見透かす眼)


見透かすとは何か。言葉の意味で考えてみよう。


まず、ガラス越しに見透かす、というような使い方がある。

この場合、物理的に何かを視認する、というような意味で使われている。


そして、心を見透かす、魂胆を見透かすなどに代表される、相手の胸中を悟るという意味がある。


つまり。

光学迷彩に隠されたエルフとグリフォンを看破し、


(……ん?)


『黒髪黒目、ゆったりした紺色の民族衣装、身長175……指名手配してもらおう。全くなんなんだアイツは……』


ついでに胸中を悟った。

悟ると言うより読心とでも言った方がいいかも知れないが。

ちなみに服は透けていない。その事を考えていると急に鎧が透け始めたので、魔眼を解除する。


というか、服見られてたのか…収納しとけば良かったな。この格好ですれ違ったら確実にバレる。


「飛べッ」

(飛ぶなー)


当たり前だが、迷彩で声は遮断出来ない。

姿を消したのは野生のグリフォンの出現と勘違いされないように、かな?





どのくらい走っただろうか。この身体をもってしても息苦しくなるほど走ったとき、ようやくグリフォンが高度を落としロザリアが迷彩を解除した。


壁に囲まれた街。高さは約5、6メートルといったところか。

街1つを覆う壁。どれほどの重労働だっただろうか。

それとも、案外一つの魔法で瞬きの間に出来てしまったのだろうか。


ここは魔物のいる世界。5メートルの壁では不安だろう。


街を覆う結界。魔物の侵入を阻む聖域となっている。

街の大きさは……上から見ないとわからないが、相当な広さだろう。


人口はどのくらいだろうか。

1万?10万?

それとも5桁に届かない位だろうか。


それでも驚くことは無い。縄文時代の日本人口はピークのときで26万人だった、らしい。

この世界では、文明は進めど、人類の生活圏は制限されている。

倒せど倒せど無限に湧く魔物に妨害され、魔素が濃い森や草原、山や川、海等の魔境を大規模に開拓することは叶わず、元々在った村や街の周囲に家を建て、壁で囲い、警邏隊の見廻りや魔を阻む結界等の護りによりその規模を拡大してきた。

魔物の居ない地域に魔素が濃く漂えば、人里だろうと火口だろうと魔物が湧く。

魔境と呼ばれる高濃度の魔素が漂う地域を開拓するには、少なくとも土地を耕す労働力、魔物を退ける戦力、そして魔素を薄める手段が必要になる。

魔素を原動(魔力を込め無くても)力にした(常時作動するタイプの)魔道具などの設置で事足りるが、希少性が非常に高く、現実的ではない。


もちろん1番の問題は魔物なのだが。

片や石槍対巨大熊(にほん)

片や聖剣対邪龍(いせかい)


人間も強いが敵も強い。

どっちもどっち、人口が数千人でも驚かないぞ。


異常に強い敵性生命体。人口増加を妨げる立派な要因だ。


「ようこそフォリオへ。身分証の提示と"罪読厶水晶"に触れて犯罪歴の確認をしてくれ」

「身分証は無い。犯罪歴もないな……ホレ」


犯罪者が触れば赤く染まり、それ以外だと青く光るという便利な水晶玉だ。


「身分証が無いなら入街税は大銀貨2枚だ」

「金の持ち合わせもない。冒険者ギルドで素材を売りたいのだが」

「そうか。じゃあこの紙を持って右側の通路に行ってくれ。騎士団の詰所の方じゃないぞ。右側の小さな小屋に入ってくれ」

「了解だ」


人々は左の通路に吸い込まれ、おれは右の通路へ進む。

空港のゲートでピーピー鳴らされるとこんな気持ちになるのだろうか。

少し心細いが、どこかワクワクする。


通路を抜けると、2つの建物が見える。

木造りの小さな小屋と石造りの大きな建物。それを囲む形で壁が建てられ、奥には鎧姿の騎士が守る扉がある。


ギィー……

中に入り、カウンターに座ったおっさんに紙を見せる。


「身分証不所持、入街税のツケか。んじゃ契約書書くぞ。本日より3日以内に大銀貨2枚を返済すること。破れば奴隷落ち。……確認してくれ」


錬金術で作られた特殊な紙に特殊な魔法を用いて制約を刻む。

書かれた内容に双方が合意することが発動条件。


文字は読める。……内容に問題は無い。微妙な言い回しも何通りかに意味が取れる言葉もない。



「確認できたら署名してくれ。偽名でもいいが」


偽名でいいならジョン・ドゥにしよう。英語版名無しの権兵衛だ。


「よし。これでいい。ほれ、こいつの写しだ。原本はこちらで保管しておくから写しは別に捨ててもいいが、万が一こちらが証書を書き換えても証明出来なくなるから保管しておくことをオススメする。言い遅れたが、迷宮都市フォリオにようこそ!」

「手間をかけたな」


バイバイと手を振って、小屋を出る。

呼び止められることなく扉を潜って、ようやく街への潜入を果たした。


ようやくだ。人間に戻って人間として生活できる。


次は……。


つぎは、そうだな。

神という種族があるなら、それを目指すしかないだろう。


何年かかるだろうか。



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