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進化論~レベル式進化説  作者: ツタンカーメン
1章 始まりの迷宮編
3/65

3 神様いました。 +アレン①

それは、実にありふれた異世界転生のプロローグ。



神が夢枕に立ち、『わし神なんじゃけど、間違えて殺しちゃったから異世界に行ってもらうゾ☆記憶もそのままにしとくからの。バイバイ☆』と言うシーン。


ついでに心を読んで、(え?口にでてた?)からの→「神ですから」からの→(心読めるのかよ。信じねぇ訳にはいかねぇな)なんて展開も付け加えれば完璧だ。



主人公は、人によっては喜んだり混乱したり。作品(モノ)によっては神を脅迫する人も。


転生チート系異世界俺TUEEEE物語の――――


「現実逃避はおやめなさいな」


おねぇ口調の美男子が、見るからにハイスペックPCに囲まれて、某人気ゲームの攻略なんかを見ながら中央のパソコンで<閻魔帳>なるアプリを立ち上げている。口調は女、でも男。


「私、こう見えて心は乙女なの。女神なのよ。次男って言ったらどうしてくれようかしら。心もちゃんと読めるわよ。貴方、転生してるでしょ?実はあたしのミスなのよねェ〜ソレ。あなたの魂をちょっとね.....オフレコで頼むわ☆そこであなたには謝罪の意を込めてあっちの世界の常識.....は面倒臭いから、あっちの世界の住人の記憶、あなたと同じ16歳くらいのこの記憶と1つスキルをあげるわ。あんまり強いのあげると怒られちゃうからそこそこの奴ね。以上よ。質問が有るならどうぞ。1分以内ね☆」


そう言うと彼──いや彼女はy「質問がないなら帰らせるわよ?」


(と言ってもどうやって言えばいいのやら。声は出ないし...)

「伝わってるわ。そのままどうぞ」

(......はい。貰える記憶の持ち主に条件があるんだけど。16歳、男、既に死亡、で)

「いいわよ〜。それにしても無欲なのね。結構前に最高神の知識とか賢者と魔王とか言ってたコも居たけど、怒って神気撒き散らしちゃったら消滅しちゃってw」

(怖っ!?知識チートは地球の知識だけでいいですすいませんゆるして。あなたは地球の神?)

「yes。伏して拝みなさいな!なんてね。ふふふ」

(記憶を受け入れた時のデメリットは?例えば、人格が分裂するとか混合するとか)

「知識と経験が増えるだけよ。自分をしっかり持てば大丈夫。人格に多少の影響は出るかもしれないけれど、漫画読んだりアニメ見たりするのと同じよ」

(ミスの内容はいったいd.....)

「ヒ・ミ・ツ」

(あーー、じゃあ、世界の声っていうスキルはなんなんだ?)

「んーと、世界の声が聞けるみたいね?熟練度上がったら結構使い物になりそうね」

(えーっと…)

「はい。1分よ~。じゃあ、貴方の生に幸あらんことを」

(えっ?ちょま.....)





目を開けて、生きていることを確認する。

光を放つ巻物と結晶以外は昨日のままだ。

巻物に意識を向けると、

《レジェンドスキル:スケープゴート

一日に1度、HP0状態からHP最大値まで回復する

その際状態異常を回復、HPを損耗させる状態にある武器等は1度HPに影響がない状態に戻すまではダメージを与えられない

スキルを取得しますか?》

普通にチートだと思うが、取得します。

神様は強さを図る回路がバグってんだろう。

それとも強さ=攻撃力の意味だったのか。



-----

レイジ

リトルリザード

Lv.4

HP9/10

MP5/5


skills

=normal:

=rare:[鑑定][収納]

=legend:[世界の声][スケープゴート]


魔法適性:無


称号:転生者 ネームドモンスター

----


さて....


《アレンの記憶

アレン(享年16歳)の記憶をダウンロードします》



頭の中で早送りのビデオを見せられているようで、知恵熱でも起こしたような感覚が通り過ぎる。

(※知恵熱とは生後6、7ヶ月の乳児に見られる発熱で、免疫の知識が少なかった時代には、ちょうど乳児が知恵づきだす頃の熱であるとして、この原因不明の発熱を「知恵熱」と呼ぶようになった。「頭の使いすぎによる発熱」と誤用されることが多々ある)


『僕、大きくなったら父さんみたいな冒険者になりたい!』

『はっはっは。父さんは12歳の神託の義で授かった職業が〈戦士〉だったからな!お前も強くなりたければ鍛錬を怠るんじゃないぞ!努力はきっと実を結ぶからな!魔法は悪いが独学で頑張ってくれ』


ごつい手でわしゃわしゃと頭を撫でられた。親父は元冒険者で、村の警備隊の隊長をやっている。この辺りでは1番大きな村だから、それはきっと凄いことなんだ。物心着いた時から、母はいなかった。



『アレン〜!ミリアちゃんが来てるぞ!』

『はいはーい!今行くよ』

『おはよう、アレン。久しぶりね!ちょっと付き合いなさい!』


ひとつ上の子で、1年の半分をこの村で、もう半分を少し遠い街で暮らしている。事情は知らない。母の病気が関係しているのかもしれない。丁度大きめの商隊が村によっていたので、2人で見に行った。


『わぁー凄いね!この村がこんなに賑わうなんて!』


物欲しげに眺めていた首飾りを買ってやると喜んだ。それほど高くなかったので自分でも買えただろうに、俺から貰ったことが嬉しいんだとか。


『アレン。剣術はなかなか様になってきたが、冒険者をやりたいなら戦う力以外にも必要なものがある。とても重要なものだ。何かわかるか?』

『雑用依頼をこなす力』

『他には?』

『権力者にこびる力』

『いや、まあそれもそうだが、低ランク以外は雑用はあまり請け負うことは無い。あと権力者に逆らうのはどうしても譲れない時だけだぞ。……答えはな、知識と情報だ。どのモンスターがどんな攻撃をしかけてきるくるか。そのモンスターはどんな外見で、どんな場所にいるのか。どんな攻撃にはどんな防御が有効か。傷を負ったらどうする?森で迷ったら?何が食べれて何が毒持ちかを知らないと食料が尽きれば死ぬしかない。モンスターの外見や習性を知っていれば狩るのが楽になるし、危険も減る。知識と情報。頼りすぎるのは危険だが、これは冒険者の基本だ。ということで、これから暇な時は本を読め。村長の持ってる本を読ませてくれるように頼んどいたからな!うちには本がないからな』

『なるほど...わかった。うちには親父の持ってるエロ本しかないからな』

『.....えっ?いや、何の話かわからないが、暇なら今からでも行ってくるがいい。さあさあ』

『隠し場所は親父の部屋の机の天板をくり抜いた―――』

『さあ!行くんだ!』


親父がこんなに慌てるのも珍しい。

その日から、本を読んで読んで読みまくった。



雨の音がうるさい日だった。外に出ている人は警備隊位のもので、父さんも非番だったからくつろいでいた。


『ふう...今日が非番で良かったぜ』


親父はソファで寛ぎ、俺は村長に借りた本を読んでいた。表紙には、魔物図鑑と書かれていた。

今でこそスラスラ読めるようになったが、昔は大変だった。

文字を読むのに手間取り、1ページに2、3分かかった程だ。


『随分と絵が上手い人が居るもんだな…』


各ページには数体の魔物が描かれ、習性、分布、能力、その種よって被った被害等を書き連ねている。


ホーンラビット 体長30から60センチ。 植物が生えている地域に広く分布し、強靭な脚力を利用した突進で額の角を武器に攻撃する。 ホーンラビットの討伐依頼ではランクが低く新人冒険者が力量を見誤って怪我を負うことも珍しくない。


と言った具合だ。角は体長に含めないらしい。


『お、魔物図鑑か?おれもよく読んだもんだぜ。それを見て実際に戦うイメージをして見ろ。ワクワクするだろ?冒険者ってのはそう言う仕事だぜ』


1章には魔獣系の魔物が載っている。

ホーンラビット、黒蜥蜴、レッサーウルフ.....勝てそうだな。この辺りは厳しいか?マッドボア、グリズリー、フォレストウルフ、シャドウウルフ...群れると厄介か…勝てそうにない

。単体でも勝ち目ゼロなものなんていくらでもいる。

ジャイアントラビット、キングラビットなどの上位種や、ダークスネイク、レッドウルフ等の属性持ち。

じっくり読みながらページをめくっていく。ワイバーン、ドラゴン、竜、龍。カッコイイな。



雨が降っていたという事もあって、かもしれない。

豪雨で視界が狭まっていたことも、原因のひとつかもしれない。

体を這う水滴に体温を奪われ、只でさえ憂鬱な気分を一層陰々滅々たるものにしたことも、その要因かもしれない。




彼等は怠惰な方では無かったが────




如何せん、日が悪すぎた。




彼等は、与えられた任務を――見張りを、忠実にこなしていた。

只、能力が低かったのかもしれない。ほんの少し、集中が為されていなかったかもしれない。只、運が悪かったのかも知れないが────




何れ(いずれ)にせよその日、()()は起こったのだ。


『『グル.....』』

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