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進化論~レベル式進化説  作者: ツタンカーメン
2章 りざーどまん
23/65

23 ( ˇωˇ )くそねみ

《我が主よ。私を覚えておいででしょうか》

(……)

《ほら、迷宮の1層で文字通り殺しあった……とりあえず、召喚して頂けませんか》

(…ああ。召喚ね。召喚。どうやるんだっけー。最近してないから忘れちゃったな)

《私の姿を思い描いて召喚、と念じて頂ければ》

(………召喚)


何が起こっているのかわからないが、あのホブゴブリンは従魔になっていたらしい。

おお……シュワっと光ってズズっと出てきた。


「グギャオォ、ガァウ、ゴァァオ」

《ふむ……お前と、お前。あとはお前。それ以外は要らぬ》


は?

いきなり出てきてゴブリンを選別し始めた。ギャオギャオ言う声が耳から、そして念話による声が直接頭に響く。

ホブゴブリンは手に持っていたロングソードを振るい、10数匹のゴブリンを殲滅した。

そして、


「ギャ」

《では》


と言って、一礼とともに姿を消した。


(は?どこいった?)

《従魔空間でございます。主よ。恐ろしい広さですな。流石、我が主は無限のごとき魔力を保持されているようですな》


「ひぃ……」


目を開けて、全滅したゴブリンとおれを見て悲鳴を漏らす。

そうだ。念話ならば意思疎通ができるのではないだろうか。

ゴブリンとリザードマンが会話出来たのだ。人間とだって出来ない道理はない。


《…おい》

「ひゃっ!?」

《お、聞こえてる……何故森から出ないのだ》


なんだか変な話し方になっている気もするが、念話は成功した。

人語で聞こえているかは分からないが。


「え、あの、それは帰り道が分からないからで……って、誰か知らないけど質問してる暇があるなら助けて下さいよ!?」

《アホか。もう助けただろう》

「え?え……あ、もしかしてこのリザードマンさん、テイムモンスターだったんですか!?」

《は?そんなわけあるか。助けてやったのに失礼な奴だな》

「え?え.........」


ええええええええええ!?と大声で喚く少女。それにつられてやってくるフォレストウルフ。


《……あそうか。お前、自殺志願者か?》

「ち、違いますよぅ……私、ドン臭くて……あだ名もドジタリアンっていう意味わかんないので....私お肉も食べるし……あ、タリアって名前が入ってるからかろうじて自分のことだってわかったんですけど」

《うむ。渾名は悪意あるモノでもない限り、最も簡潔に人をあらわす記号だからな》

「!?そんなことないです!これでも私、たまたま村を訪れた領主様にメイドとして雇いたいって言われたんですよ?お貴族様の目に止まる何かが私にはあるんです!!」

《それは、妾になれと言っていたのではないか?領主は正確にはなんと?》

「えっと、私どん臭くて壺とか壊しちゃうので、って断ったら、事故……メイド..くせ……燃え、なんとかって呟いてました。そのマイナス分を差し引いても雇いたいと思える何かがあったんですよ!!」


それ、よく分からんがドジっ娘メイド属性、萌える。みたいな事を言っていただけでは無いだろうか。


《そうか。で、村は何処だ?送ってやろう》

「あれ?無視ですか?ていうか、村の場所なんて分かるわけないでしょ?私今遭難中なんですよ?」


ヤレヤレとわざとらしく肩を竦め、全くこれだから、とわざとらしく呟く。

わざとらしく目を閉じてわざとらしく片手で顔の下半分と眉間を隠すというわざとらしいポージングを決めたタリアを見て、思った。


(………よし、殺すか)

「ヒィィィィ!?勘弁してください!?」

《お、聞こえてたか。すまんな》

「やめてー食べないでー…美味しくないですよ…」

《いや、それはわからんぞ?人族の味覚では不快な味でも他種族の味覚でどう感じるかはわからん》

「あ、私食べられるんですね」

《どうした、いきなり冷静になったな?》

「一周まわって怖くなくなりました」

《どうでもいいわ。で、村は何処だ。》

「え、自分で聞いといて……?ていうか、さっきから言ってますけど村n」

《分からないと言うなら面倒だし殺してウルフに喰わせるが》

「知ってます!!村の場所知ってます!!」

《ほう、嘘をついていたのか》

「あー思い出しちゃった!村の場所思い出しちゃったなー私!!偶然!?このタイミングで!?思い出すなんて!?もはや奇跡!!あは、あはは」

《おい。煩いぞ》


もちろん周辺の魔物が気づかない訳もなく、四方八方から気配が近付いてくる。


「わ、ウルフ!助けてー」


と、言って背後に回り込んだかと思えば


「フォレストベアー!?」


と言って再び正面に回ってくる。

あっちにも!?こっちにも!?と喚くベジタリアンちゃんをマジックハンドで拘束し、マジックスピアを展開する。


「リザードマンさんがいるのにこんなに集まってくるって事はあんまり強いと思われてないんじゃないですか?」


うるさいので口を閉ざす。というか鼻から上だけを出した状態で全身をマジックハンドで覆う。

イメージは頭だけ出してコンクリに埋まっている感じ。

むーむー唸っているが、鼻は塞いでいないので死にはしないだろう。


《主主ーーー、ゴブリンは我が》

「はいはい。召喚。ゴブリン以外に用はないな?なら全部殺すぞ」

《なんと、助けたと見せかけてここぞという所で殺してしまわれるのですね!流石我が主》

「殺さねぇよ。流石ってどういうことだコラ」


そんん軽口をたたきながら、濃縮前マジックスピアを雨あられと………否、ゴブリンだけは残す為、操作性の高い濃縮マジックスピア(大・10本まとめ)をギュンギュンかけ回らせる。


よしお前とお前だ来い残りはいらぬ死ね。シュバッ!!


彼は2匹のゴブリンを連れて再び従魔空間へ戻って行った。勝手にテイムしてんじゃねーーよ。


「あれ。殺さないの?」

《いやもう、目的は達成しましたので。殺しちゃっていいですよ》

「あ、そう?」


なら遠慮なく。毛皮や牙など、素材として活用できる部位も盛大に傷つけてしまうが、今の目的は素材ではないので問題ない。


「マジックハンド、擬似メテオストライク」


土属性の高位魔法、空から無数の大岩を降らせるメテオストライクを擬似的に再現したものだ。

球状のマジックハンドを多数打ち出し、着弾と同時に破裂させる。


「………」


むーむー唸っていたタリアが唸りを止め、息さえ止めておれを凝視していた。


「………………」


何か言おうとしている様だ。拘束を解いてやろう。


「…あの、お強いのですね」

《………ああ。》

「あの、村へは何用で?」

《村の場所を聞いたのは森で寝ていた愚か者を護衛してやる為だ。村そのものに用はない》

「そうでございましたか、失礼いたしました。では、こちらへ。村へ案内致します」

《………………うむ》


これはヒポクテ草でございますね。

うむ。

おや、ファングウルフです。リザードマン様、お願い致します。

うむ。

守っていただきありがとうございます。

うむ。


(………なんだコイツ)


やたらと敬語を使うようになったタリアについて歩いて15分ほど。


「申し訳ございません。日も落ち暗くなって参りましたので、私めの目では道を見通すことはかないません」

《そうか。おれも夜目は効かん。……どうしたものか》

《主よ。我は夜目が効きますぞ》

(おお、ほんとか?じゃあ手頃な洞窟を探してくれ)

《洞窟には魔物が住み着いているから避けていたのでは?》

(ああうん、もう殺せばいいかなって。新しく来たのも殺して、その次も殺して殺して殺しまくれば解決)

《むしろ何故今まで躊躇っていたのですか?ダンジョンでは殺戮の限りを尽くした貴方様が》


ホラ、9層の無限湧きワーム地獄とか、と呟くホブゴブリンの問いに、頭を殴られたような衝撃が走る。

何故殺すのを躊躇したか?

それはきっと、彼等が"生きて"いるからだ。

ダンジョンモンスターは、生物であって生物でない。彼等は魔素より産まれ魔素に還る。

現代日本の高校レベルの生物学を知るおれにしてみれば、彼等は生き物だなんて言えたもんじゃない。

野生の魔物は、基本的に全個体が生殖によって発生した"生き物"だ。稀に生態系保持のため、魔素から作られる個体もいるにはいる。

が、基本的には全てが親を持ち、もしくは伴侶を持ち、或いは子を持つ生き物だ。それを一方的に、『邪魔だから殺す』。

家主を殺し家を奪い、皮は剥いで肉は食う。それではただの悪党じゃないか、と無意識で意識していた。

彼等は人を喰うかもしれない。野生動物が人を喰うのは、単純に美味いから、もしくは他にないから。

簡単に狩れる獲物がいるなら狩る。その際、野性は必要以上には狩らない。


全て彼等にとって当たり前で正しい事なのだ。

だから、そう。

きっと『正義』は、『悪』を多分に含んだ自己満足だ。

それが齎す結果が、自分、或いはその周辺にとって利となる行為を。

それを人は正義と呼び。

中でも特に、人倫を損なうものを悪と呼ぶのだ。


(マジックスピア)


《ここで寝ろ。(ばん)はしてやる》


ようやく拠点となる洞窟を手に入れたが、寝ることは叶わないようだ。



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