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進化論~レベル式進化説  作者: ツタンカーメン
2章 りざーどまん
19/65

19 転移はすごい

白く染った視界に色が戻る。

草木の緑と幹の焦げ茶。

どうやら転移先は森だったようだ。


(転移すげぇ……)


瞬きする程の間に空間を超えて移動するだけでも凄いのに、ちゃんと地面に足がついた状態で転移していた。

転移魔法のメカニズムも発動条件もわからないのでなんとも言えないが、魔法陣か何かでマーキングした跡も見つからない。

つまり、かなり正確な高度設定ができると言うことだ。

そして今、おれはレアスキル[転移]を持っている。


転移といえばレアスキルの中でも特に希少なスキルだ。


-----

レイジ

ハイリザードマン

Lv.7

HP7865/7865

MP???/???


skills

=normal:[痛覚耐性][魔法耐性][状態異常耐性][瞬足][気配察知][危機察知][壁面歩行]

=rare:[鑑定][収納][真眼][転移]

=legend:[世界の声][スケープゴート]


魔法適性:無


称号:転生者 ネームドモンスター 魔素の王 機動要塞 攻略者

-----


痛覚耐性 : 如何なる劇痛にも耐える強い心

魔法耐性 : 魔法に耐える強い身体

状態異常耐性 : 状態異常に抗う強い体

瞬足 : 移動スピードに補正

気配察知 : 気配を感じとる

危機察知 : 何となく危険がわかる。第六感的な

壁面歩行 : 傾斜45~135度の壁面での移動の達人

鑑定 : 鑑定する。スキルと称号は鑑定できない。しかしスキル、称号の効果は(効果が知りたい)的なことを念じれば分かるようだ

収納 : 収納する。容量無限、もしくはそれに近いほど多い。内部時間停止

真眼 : 動体視力がとにかく良くなる

転移 : 一度行ったことのある場所に転移する。距離の次乗に比例して魔力消費量が上がる。

世界の声 : あなたは世界の声に耳を傾ける

スケープゴート : 1日2回まで、死んでも生き返る。継続ダメージを与える要因は排除もしくは無効化される

転生者 : 生きとし生けるものは皆転生者。しかしこの称号を授かるのは前世の記憶を明瞭に持つあなただけ!

ネームドモンスター : あなたは なまえをもつ まものである。

魔素の王 : 魔素への干渉権を持つもの

機動要塞 : 素早く動く、絶対防御の権化

攻略者 : 汝迷宮を討ちし者也


今のステータス及びスキルはこんなところ。鑑定での情報に経験則を追加したものだ。

注目すべきはやはりレア、レジェンドのスキルだろう。

特にスケープゴート。いつの間にか熟練度上がってるし。

最後に確認した時は………あれ、何時だったかな。


そして痛覚耐性。毎日毎日飽きもせずに魔力枯渇に陥っていたので、あらゆる体調不良をマスターし、頭痛腹痛疲労吐き気etcへの耐性は全て融合して痛覚耐性になっている。状態異常耐性に格納されたものもあるが。

その過程で発生するダメージが、結構な頻度でおれに死をもたらしたことがスケープゴートの熟練度上昇に繋がったのだろう。

???となっている馬鹿げた魔力量もそのせいではある。


(いや、だってこんなに効率よく上がるとか思わないじゃん?生まれたての魔物って成長率ヤバすぎるだろ!?そりゃ死ぬ1歩手前まで努力するわ。最初で最後のフィーバータイムなんだから)


知性を与えられていない魔物はもとより、知性を持って生まれた魔物でさえも、生存本能とかその他諸々が掛けるリミッター的なナニカがあるのでそんな馬鹿なことはしない。

死ぬ気で努力して実際死んでいるレイジはまあただの戦闘狂かマゾヒストにしか見えないだろう。

というか普通に戦闘狂だ。


HPは7800ほど。これはC、B級モンスターの平均HPの中間くらい。

進化前はもっと低かったというのにAA級とB+級2体を倒せるのだから、無属性×無限魔力のチート性は推して知るべしだろう。魔力量が多ければどんな魔法適性でもそれなりに無双できるとは思うが。


(よし……行くか)


どこに行くかなど決まっていない。人里に行くのは論外として、行くとすれば…森かな。

まずは、魔物や盗賊が生息していそうな森に行こう。

その後のことは、その時の自分に任せよう。


スタスタと歩いて森に入る。視点が高い。身体が縦に長い。

ふと、足を止めて、


(転移!!)


一瞬で景色が変わる。


(おおおおおぉぉぉぉぉ!!!すげぇぇぇ!!)


ダッ!!と走って森に入り、


(転移!!)


(転移!!)


(転移!!)


「………はっ!!…」


シュバッ!!シュバッ!!


「ははははははははははははッ!!!!!!魔法ってスゲーーーーーー!!!!」


笑いながらも転移を繰り返しているので、声が途切れ途切れに聞こえる。


(転移ッ!!あれ、自分の声が……転移!……言語?に聞こえる。転移!)

(人間が使うものとは違うようだけど……転移!!)

(転移!リザードマン語かな?転移!!!)


シュバッ!!シュバッ!!と現れては消え現れては消える奇妙なリザードマンの図が。


(おぇぇぇーー………酔った……)


たっぷり5分は続いた。


地面に身を投げ出して青空を見上げる。この世界の本物の空だ。

心地よい風と魔素を浴びてグロッキー状態から回復する。


今度こそ行くか、と呟いて歩き出す。


(転移しまくればお手軽に魔力枯渇できるんじゃね?)


気配を消して、周囲を索敵する。スキルは得られていないが、気配を断つことにはそれなりに自信がある。


これからするべき事、やりたい事を整理すると、

①食料と水の確保及び住居(巣?)の確保

②薬草等のアイテム、素材集め

③レベル上げ

④盗賊退治

と言ったところか。


森の中には至る所に魔物がいるので食料の心配はないだろう。

魔素が抜けるのを待つ必要も無いので腹が減れば狩りをすればいいし、魔素を抜くために野晒で放置する必要も無い。

いくらでも収納に貯めておけばいいのだ。


これからについて思案しているおれの眼前で、ガサッと、藪から兎が飛び出した。

不用心なことだ。

マジックソードで首をはねとばす。兎程度の俊敏性なら止まって見えるとは言わないが、体毛の一本一本まで余裕で視認できる。

血抜きをする為に木の枝に吊るしておく。

ムワッと広がる血の匂い。これを感じているのはおれだけでは無いだろう。

自然界で、血の匂いとは『ここに死体、つまりご馳走がある』もしくは『狩りやすい弱った獲物がいる』というサインである。


「グルル……」


レッサーウルフか。懐かしいなぁ。

いや、初対面ですけど。

記憶こみなら優先的に駆除する程度の因縁はある。


ウルフはもちろん群れでやってきた。


【経験値を508獲得しました】


狼は食べるかわからないので、一通り血を撒き散らした後収納。

思ったより経験値がしょぼいので、さっさと安全な住処を探しに行くことにする。

出来れば川の近くの洞穴なんかがいい。

ただ、問題は条件のいい場所は既に先客が居るだろうから排除する必要がある、という事か。


魔物であれば問題ない。それが人間だった場合、どうすればいいだろうか。

分かりやすい悪党なら殺せばいい。

だが、悪人でなかったら?そもそも判断材料が無かったら?

悪人か、善人か。

殺すか殺さないかという問題を考えるにあたって、無くてはならない情報のひとつだ。


(…………善人なら殺さない?)


善人とはなんだ?

悪人ではない者だ。


(………悪人なら、どのくらい悪いやつかによるけど殺す。でも………)


では、悪とはなんだ?


歩みを止めて、考える。


(悪っていうのは………人を悲しませる、もの、かな…?)


なら、入試制度は悪だろうか。無慈悲に突きつけられた合否判定は、時に自殺に走る学生を生み出すとか。

野生の犬や猫を誰にも知られないよう大量虐殺するサイコパスは悪だろう。

日常的に牛や豚を食うくせに、「野生の鹿を殺すな」だとか叫ぶ自称動物愛護団体が言うように、狩りは悪だろうか。



(違う。だって、それは……)


答えのない問いに陥って。

何処にもない答えを探して、苦悩する。

その答えを突きつけられることを恐れている。

誰もが納得する善悪の区別があるのなら、自分は悪だという抗いえぬ決定が下されるかもしれないのだから。

おれは、結局は気に入らないヤツを殺すことを正当化したいだけだったのかもしれない。

悲劇を防ぐためではなく、自己満足(復讐)のために。

八神零時という人間がそういうクズだと知りたくなくて、探しているはずの答えを知ることを拒んでいた。


いくら拒もうと、答えはいずれレイジの前に現れる。

ある程度の善悪の判断は、既にできるのだから。

それは即ち、自分なりに善悪の境界を定義していることにほかならないから。



「ヒャハハハ!!!!!すげぇ上玉じゃねえか!」

「ボス、どうします?因みに、今回のやつはかなり金品も積んでましてね。貴族ぽかったですねぇ。護衛とか、馬車とか」

「だよなぁ。それならそろそろ拠点の替え時か?ここらではかなり暴れたからな」

「街には拠点をつくらねぇんですか?」

「そっちだと足がつきやすいからな…ひと暴れしたら場所を変える、多少ぼったくられるが足がつかねぇ闇商人と契約して必要なものを手に入れるって方針でやってきてんだ。今更変えられねぇな」

「昨今稀に見る合理的な盗賊ッすね。でも100人も入る様な住処があるんすかね。最近人数も増えてきて……」

「アイツらに用意してもらう。無ければ作ればいいだろ」

「頭、昨今てなんすか?」

「最近、てことだ。……話が逸れたが、金があるならあの女は売らない。なら、ヤっちまうか」

「ひひ、そりゃあ楽しみっすね」


道無き道を上機嫌で歩く一行。うす汚れた格好で3台の馬車をひいている。

馬車の積荷は・ドレスの女×1・メイド×3・傷の着いた武器、防具・箱×沢山。

剣戟の音と闘いの気配の釣られてやってきたら、この有様だ。


聞くに耐えない会話を聞いて、唐突に閃いた。


善悪の違いは、自制心の有無で定義できるということを。


「お前ら!今日の戦果はすげぇぜ!今夜は宴だ!!それが終われば拠点を移す準備だ!!存分に騒げ!!魔物を集めねぇ程度にな!!」


何故なら、人間とは、他のどの生物よりも、野蛮性と強欲性を秘めた動物なのだから。


(……身体強化)


レイジはもう、悪を悪と断定し、断罪する事を恐れない。


彼の正義が、明確に定義された今となっては。


自分の正義に基づいて、自分が正義だと心の底から信じられれば、どんな行いも正当化できるから。







これは、悪を根絶するという社会的に有意義な行為である。

ならば、自制心を持たず欲望のままに行動する人間や、犯罪やそれに准ずる行為を行った者を悪と定義したとき、彼らに対するいかなる行為も、人道に背く悪逆では無い。



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