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進化論~レベル式進化説  作者: ツタンカーメン
1章 始まりの迷宮編
13/65

13 迷宮探索開始

(うぉぉおおおおお!なんで........あれ?)


全力で射出したマジックスピアは、ホブゴブリンを容易く貫き、瞬く間にそのHPを0にした。


(.......ユニークモンスターじゃないのと、レベル低いのと、あとは身体強化使う前に倒したからかな)


例のユニークモンスターは体が赤黒かったが、今倒した個体は体色が、深い緑だった。

今倒した方がノーマルホブゴブリンだ。


【経験値を166獲得しました。】

【Lv.14→Lv.15】


(サクサク上がるなぁ)


レベルっていうのは意外と上がりやすいのだろうか、と考えながら再び通路を歩き始める。



そんなことは無い。

しかし、圧倒的弱者であるはずのモンスターが格上を殺しまくれば、当然レベルは上がる。

低級モンスターはレベルアップしやすく、成長率も高い。それに低レベル時は必要経験値が少なくレベルが上がりやすいのだが、後者はともかくモンスターのレベルについてさえ知らない人間の"記憶"では、前者の要因は知るべくも無かった。



体感時間で2、3時間ほど経って。


(無い...出口が無い)


迷路の必勝法である右手法(左手法)、片側の壁に沿って歩けばいつかはゴールに到達するという方法だが、何度試しても元の場所に戻るまでに出口は無かった。


(仕方ない....行くか?)


代わりに見つけたのは、階段。

2階層へ続く階段である。


(行くしかないな……)


階段の壁を這って、2層に降りる。

2層は、石造りの壁に区切られた草原だった。

1層の通路が大体7~10メートルくらい(鑑定で表示されたリトルリザードの体長から算出)だったのに比べて、こちらはその2倍くらいは有りそうだ。


(そういえば、リトルなリザードの次がリザードなのは分かるけど、その次がリトルでベビーなバジリスクなのか.....)


バジリスクは、たとえリトルでベビーだとしてもリザードよりも格上という事だろう。


だからこそ、Lv.999のリトルリザードって面白いな、なんて考えていた訳だが。


面白くないはずがない。考えてみて欲しい。実写版Lv.999のリザードを。

魔王も勇者も、何人にも敗れぬリザードを。


「ここが、魔の森か…」

「魔素が漲ってるわね」


僕達勇者パーティは、魔族の四天王が一人、黒風のディレトリウスの出没情報を掴んでこの森にやってきた。

今、魔族の侵攻は緩やかだが、奴らが大々的に攻めてくれば多くの犠牲が出るだろう。

一刻も早く魔王を倒したい。

でも、今の僕達では力不足だ。

レベルが足りない。経験も足りない。

それでも、四天王となら互角に渡り合える。


………一人対パーティ全員でなら、だが。



「魔物の気配が幾つか......前方100メートルってところだな」


そこに居たのは、オーガの群れだった。森の中とはいえ、こんな浅いところで。

一撃が強い上に防御力が高くHPも高いモンスターの群れに、少し苦戦したが、これで負けるような力量で四天王に挑むはずも無い。


オーガを殲滅し、素材となる部位を剥ぎ取る。

勇者でも英雄でも、お金は大切だし何より、この素材があればオーガの群れが居たという証明になる。

勇者の僕の言葉を疑う人は少ないが、信じてもらうには証拠がある方が都合が良い。

証明ができれば、ギルドから冒険者に呼びかけて貰える。オーガの群れが森の浅部に居た。気を付けろ、と。


「お、また1つ...ちっちゃいな」


魔の森には多くの魔物が潜んでいる。索敵にかかったとしても、全てを倒して進むのは愚かな行為だ。

目的地までの道程で、相手をしなければいけないものに絞って討伐する。

この後は、強大な魔族との戦いが待っているのだから。


「なんだ.....リザード、いやリトルリザードか」

「無視していくか?倒すのに時間もかからないし装備も消耗しないだろう」

「いや、倒していこう」

「ああ、分か―――ッ!!!!」


悪夢のような光景だった。

縦横無尽に駆け回るトカゲと、その尾の薙ぎ払いで容易く宙を舞う、人類最硬の盾役のミド。

サーシャの魔法の渦から無傷で這い出るトカゲ。





そして。




僕は引退し、後身の育成に尽力する事にした。

あのトカゲには僕達を殺すつもりがなかったようで、誰一人として死ななかった。

そして、僕達は様々な分野の教官として冒険者や騎士に稽古をつけている。






「師匠!ありがとうございました!」


今日は森の中で訓練をした。教え子達が挨拶をし、ぞろぞろと帰っていく。

結局本格的な魔族の侵攻はなかったので、平和は続いているが、何時新たな脅威が現れるか分からない。

彼らには、強くなってもらわないと。


ふと、木の幹を這う一匹の魔物が視界に入った。


「ヒィッッ!!!!」

「どうしたんですか、師匠......ああ、また例の発作ですか」


弟子のひとりが、木の幹ごとリザードを両断した。


「どんなトラウマか知りませんが、しっかりしてくださいよ。トカゲ如きに……ドラゴンではありませんよ、コレは」


お前達はアレを知らないからそんなことを言えるのだ。

私の心に、そして仲間の心に恐怖と絶望を植え付けた、あの化け物を。


「……無闇に木を切り倒すのは自然とかに良くないぞ」


口から出たのは、そんな言葉だった。

すんませんと笑う弟子を視界の端におさめつつ、空を見上げた。


(アイツはまだ、この美しい空の下で人々に恐怖を撒いているのだろうか.....)


あの、トカゲの皮を被った化け物は。



………と、いう風になるに違いない。

きっと、たぶん。

ドラゴンや龍など、外見から強いと分かるものが実際強いより、弱そうなものが強力無比な力を発揮する方がインパクトが強いと思う。


まあ、進化という外見変更手段を発見した今となってはそんな事はどうでも良い。

早く人に戻りたいんだよなぁ。

リザードマンとかから竜人になれないだろうか。


考え事をしていると、足音が聞こえる。

ガサガサと草をわけて姿を現した2層の住人は、直立二足歩行の犬だった。


-----

NO NAME

コボルト HP14/14

-----


ふっ、魔法に目覚めたおれの敵じゃないな。

トラップを警戒しながら通路を進み、出会ったコボルトをマジックスピアの一撃で倒す。

ドサリと地面に落ちたなたと魔石を収納する。


そして、1層でホブゴブリンが待ち構えていたような大部屋にたどり着いた。

コボルトジェネラルと取り巻き達だった。


「ガガウゥ!!」


ジェネラルに向かって走る。

突っ込んでくる数匹のコボルトをマジックスピアで貫き、強引にボスの元へ向かう。

マジックバリアで身体を覆っているので、雑魚コボルトの攻撃ではダメージを受けないだろう。

最も、群がられると破られる可能性はあるが。


「グオオォォ!!」


咆哮したボスは、初っ端から身体強化を使って手にしたなたを振り下ろす。

収納した武器の内、より質のいいもの、つまり2層で手に入れたなたを出し、マジックハンドで操る。

魔力を流された武器は、マジックハンドで直接止めるより何か盾になるものを使って、防御した方が消耗が少なくて済むのだ。

現時点では4本までしかマジックハンドの同時操作は出来ないので、1本で3本のなたを掴み、計12本で迎え撃つ。

親指を除く4本の指の間に挟むようなかたちだ。X-menのウ〇ヴァリンみたいな。

キンキンと金属のぶつかる音が絶え間なく響く。

大きい上に魔力が流れているジェネラルのなたに、どんどん刃が毀れてゆく。

1本のマジックハンドでボロボロのなたを投擲し、即座にマジックスピアへとトランスフォームする。

これは不味いと判断したのか、バックステップで9本のなたを置き去りにする。

これ以上長引かれて武器のストックが尽きても困るので、なたを3方向から一斉に投擲し、マジックスピアを背後へ回り込ませる。

自分に当たる軌道のなたのみを素早く打ち落とし、マジックスピアに切りつけ────



────ようとする腕が、突然止まった。


原因は半透明の大きな手。


その隙に死角から飛んだマジックスピアが、首を貫いてジェネラルの体を通過し、頭上で切っ先を下に向けて静止する。


ドサリと、コボルトジェネラルが倒れふした。


【経験値を568獲得しました】

【Lv.15→Lv.17】



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