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Chapter-08

「え? レアさんが正室、っていうか、その候補じゃなかったの?」

 ペンデリンを美味しく頂いて、ひょっとしたらハーフ・デミ・ドワーフが生まれちゃうようなことをしておいて、その翌日、俺の部屋の朝の会話でそんな話になった。

 この中では新参者のペンデリンは、てっきり女性陣の総リーダー格であるレアが、俺の妻、あるいはそうなる相手だと思っていたらしい。

「そうかぁ……なるほどねぇ、まだ決まってなかったのかぁ……」

 俺がその事を否定したら、ペンデリンはにへら、と笑って嬉しそうに言う。

 正室を狙いたいのかな?

「まぁ、もしペンデリンが()1()()()()()ような事態になったら、ペンデリンを嫁さんにするのも悪くもないかな」

「あー、そういうことだと、ちょっと厳しいかなぁ」

 俺が、思ったままを口に出すと、ペンデリンは、口で笑いつつも少し残念そうに言った。

「? なんか、まずいこと言ったか?」

「いや、デミ・ドワーフって混血しづらいんだよ。近似種のドワーフやエルフ種とも混じりにくいんだ。まして人間じゃ……ね」

「そうだったのか……悪いこと、言っちゃったかな?」

「あ、いやいやいやいや、気にしなくていいよ!」

 俺が、済まなそうに言うと、ペンデリンは慌てて手を降ってそう言ってきた。

「なんていうか……昨日のナオ、ホントに側室でもいいからそばに置いてほしいってぐらい、その、よかったからさぁ、アレも、性格の方も」

 アレの方はもうちょっとぼかしていただけませんかねぇ。

「って、側室?」

「ん、だってナオはこのあたりの領主を目指すんだろ? ペロネールズからそう聞いたぜ?」

「いや、たしかにそうは言ったけど……」

「領主なら、別に側室の2人や3人、持ったって別になんの問題もないだろ! レアさんもペロネールズもナオに惚れてんだからさぁ!」

 ええっ、そうなのか? …………なんて驚くほど俺は朴念仁ではなかったりする。

 そもそも()()()()()()()()()()()()()()()()()()()とかで、少なからずの相手が俺に好意を持ってるのは気づいてる。

 それに、俺自身、前々からレアやペロネールズは、彼氏彼女みたいな関係になりたいなと思ったことがあるしな。

「側室上等なら、俺もその気になるぞ」

「なっちゃえなっちゃえ! 俺も、第何夫人にかはなりたいし、もしできるようなら子供だって生みたいからな!」

 おや、人に言う割には、ペンデリン自身の方が意外と鈍いな?

「第1夫人の可能性も、まだかなりあるからな」

「へ?」

 ペンデリンが狐につままれたような顔をする。

「ナオなんて呼び方して、俺と一気に間詰めといて、その気がないなんて言わせないぞ」

「え、あ……あう」

 デミ・ドワーフは新参者というハンデを背負う一方で、俺が“人間宣言”してから来たからな。どうもいまいち“神の御使い”相手という意識が抜けないレアたちより、そういう意味じゃ有利でもある。

 おまけに、オレっ娘でそのくせベッドの中じゃ可愛いのなんのって……


 とは言ったものの……

 ペンデリンをその気にさせたのは()()()()()()()()()らしい。

 焼玉エンジンにすっかり興味を奪われたペンデリンは、製鉄の方はデミ・ドワーフのサブリーダーのピーテッドに任せて、自分は何人かの部下を作って機械工作班を作った。

 まぁ、別に俺も咎める気はないので、OKを出す。

 風車のメンテナンスや改良もしつつ、ペンデリンは2種類の焼玉エンジンを試作した。

 まず最初に作ったのは、注水式焼玉エンジン。俺の世界では、ミーツ式とも言う。

 冷却のために、吸気ポートから少量の水を入れる方式だ。

 俺がこの世界に持ち込んだ焼玉エンジンは、無注水式。ぶっちゃけて言うと、その後のガソリンエンジンやディーゼルエンジン同様、ウォーター・ジャケットで冷却する方式である。ボリンダー式とも言う。

 で、地球の歴史ではボリンダー式の方が後から出現した。というのも、ミーツ式の欠点は、地球での焼玉エンジンの主燃料である低質な石油系軽質油に含まれる硫黄分が原因で、それが冷却水と結びつき、硫酸分となってエンジンの寿命を縮めてしまったのだ。

 だが、ミーツ式にも利点はある。水はシリンダーの過熱を防ぐが、同時に水自身が蒸発して膨張するので、外部冷却のために熱効率が悪くなり冷却水循環のためにトルク損失も発生するボリンダー式よりも、出力が上げやすい。

 現状、燃料に使うのは、植物油と、獣脂を地下湧出エタノールで溶いたものなので、硫黄分とは無縁だ。湧出エタノールに硫黄分が混じっている可能性も考えたが、ペンデリン達に確かめたところ、濾してしまえば問題ないらしい。そもそも、硫黄はエタノールには溶けにくいのだ。

 というわけで、効率の観点からミーツ式エンジンを、ペンデリンは俺が教えるまでもなく作ってしまった。

 もとのボリンダー式が定格800rpmなのに、ペンデリンのミーツ式エンジンは1050rpmまでは回しても大丈夫だと言う。

 その後に作ったのが、ユニフロー掃気式焼玉エンジン、ともいうべき形式だ。

 ミーツ式やボリンダー式が、俺達に馴染みの深いクランクケース掃気式(デイ式)2ストロークエンジンの構造なのに対して、主シリンダーとは別に吸気を送り込むシリンダーを持ち、給排気ポートが開くと掃気シリンダーで予圧縮された空気と助燃剤ガスが供給される。

 つまり、これは製鉄所で使うつもりでつくったエンジンだ。高炉ガスや転炉ガスを燃焼室内に送り込む方策として、こういう形式になったらしい。

 冷却はやはり注水式。

 こいつは回転数は上げられないが、結構トルクが出るため、これも何台か作ってもらうことにした。

 俺はこの予圧縮シリンダー型エンジンを、「ペンデリン式焼玉エンジン」と名付けることにした。ペンデリン自身は照れくさそうにしていたが、地球でも開発者や開発メーカーの名前をつけることはよくあることだし、これが適当だと思った。

 2気筒のミーツ式エンジンと2燃焼筒のペンデリン式エンジンを(製鉄所で使う分とは別に)数機ずつ作ってもらい、それぞれ散水と、住居への送水、下水処理施設の拡充のために使った。

 畑はそれまで、堀や溜池までは風車が揚水していてくれたものの、そこから畑へは獣人族が桶で散水していたのが、散水パイプで一気に水やりができるようになった。

 製鉄も送気や撹拌が焼玉エンジンや風車に頼るようになって、一気に効率が上がった。

 炊事場やトイレにもいちいち桶を抱えていかずに済むようになった。

 本当に、ペンデリン様々だ。しかも見た目も性格もかわいい。やばい、本気で第1夫人にしたくなってきた。

 ちなみにドワーフ種は金属を加工する魔法が使えるらしいが、あくまで仕上げに使うもの。エンジン本体はペンデリン達が手作業で作っているらしい。旋盤もないのに、ハンマーと()()とヤスリで。

 ドワーフ種、まじスゲェ!


「…………なんて、最近、ペンデリンさん達の話ばかりされるんですよね」

 と、不機嫌そうに行ったのはレアである。

 いや、ダークエルフたちも頑張っているんだよ?

 鉄釘や蝶番が使えるようになったので、ログハウスを新調して、俺以外は全員まとまって雑魚寝、ではなくある程度の人数ごととは言え部屋が作れるようになったし。

「その釘や蝶番も、ドワーフ種の功績ですよね?」

 根が深いなぁ。

「たしかにそうだけど、部屋数が増えてかなり大きくなった住居を建ててくれたのはレアたちだろ? 木の扱いじゃ、やっぱりエルフ種だよ。そもそも、木材の調達からして、レア達なしじゃ無理なんだからさ」

 木を伐採するところまではドワーフ種や獣人族でも可能でも、それを腐りにくい上質の木材に加工する、なんてのはエルフ種じゃなきゃ無理な話だ。

「まぁ……それはそうかも知れませんね」

「それに、下水処理場はかなり助かったよ。俺の元いた世界じゃ、貯留式のトイレなんてもう考えられなかったからさ」

 これは本当に感謝してる。

「そう言っていただけると、多少は……いい気分になりますね」

「あ、それだよ、それ」

「へ?」

 敬語で話すレアに、俺は指をさして指摘した。

「ペンデリンが今そういう意味で有利なのは、俺をあんまし崇めるような態度じゃないからさ」

「う……でも、私達にとっては、ナオタキ様は……」

 レアは困惑気な言葉で、つまりながらも反論しようとする……けどね。

「レアって、この中じゃ一番長い付き合いだから分かるよ。本来、そういう態度で人に接する性格じゃないだろ。そういうところを、もう少し……」

 そこまで、言いかけた時。

 ドオォォォォォン

 と、轟音とともに、地響きがした。

「なに!? 事故でも起きたの!?」

 レアはそう言ったが、これは事故でも、この居住区の中で起こったことじゃない!

「大変だにゃあ!」

 ペロネールズが、本当に憔悴しきった様子で、ノックをするのも忘れて飛び込んできた。

「ノルト山が、ノルト山大火事です!」

 畜生、もうアクシデントフラグ回収かよ!

 俺は毒付きながら、外へ飛び出した。

 そこには、山の中腹あたりから、紅蓮の、ではなく青白い炎を激しく吹き出す山の姿があった。


やばい、ペンデリンがかわいすぎる。

レアとペンデリン、どちらを正室にするか、ご意見お聞かせ願えたらと思います!

(ペロネールズもありだぞ!)

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