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1週間後
旅行の前半、ウェンデルは家族に対してもムスッとして怒っていた。
でも、旅行の後半には、怒ったままでピーチパイも食べずにメアリと別れてきたことを後悔し始めた。だって、それが最後になるかも知れなかったのに。
つまり、両親にとっては、ウェンデルは旅行の間中、不機嫌でソワソワとして落ち着かなかった。でも、両親はどうしていいかわからなくて何も言えなかった。
そうして旅行は終わり、ウェンデル達は自宅に帰った。
ウェンデルは家についてすぐ、カバンを部屋に置いて、少しも休まず走って、メアリの家に向かった。
森は進んでも進んでも、ピーチパイの匂いがしない。不安で不安で堪らない。
メアリの家についたが、煙は出ていないし、ピーチパイの匂いもしない。メアリの気配もない。
ドアに近づくと、ノックする前に、封筒が貼られているのに気づいた。
『ウェンデルへ』
封筒には、綺麗な字でそう書いてあった。
木製のドアに、画鋲で押し付けられた手紙を手に取り、ウェンデルはその場でそれを開いた。