第九話、片手剣の練習。
闘技場に行くことになった。
闘技場は大きな円に小さな円が左右に繋がっており、大きく円では今も剣を弾き合う音が聞こえる。
「ってあれ、スライムん時のじゃなか?」
「私に聞かれてもですね…」
そう、あれは異世界に来た初日のスライムから助けてもらった時の騎士であった。それに対立しているのは黒髪の男。
「刀?」
「遠目では分かりませんね」
スライムから助けてもらった時の騎士は、動かず剣を構える一方、黒髪の男は刀を出さず柄を握り、低い体勢から地を蹴り、駆け出した。
スライムから助けてもらった時の騎士と黒髪の男の近さは1メートルぐらいになり、その瞬間黒髪の男は踏み込み低い体勢から刀を抜き、スライムから助けてもらった時の騎士に下から上へ切りかかる。居合切りである。
「居合切りやね。なんで刀もっとうと?」
「和の国が確かあったと思うわ。相当な距離だと思うけど...」
「和の国があるって事はそこにお米があるって事ったいね!」
だがスライムから助けてもらった時の騎士(分かりにくいので以降"スライム")は少し後ろに飛び、回避してすぐさま黒髪の男に刺突するがひらりと躱す。
スライムは刺突した後、黒髪の男から距離を取る。
黒髪の男はひらりと躱した後、追撃に上段から下段に打ち込むがスライムは低い体勢になり、剣で受け跳ねのけるが黒髪の男による足払いによりバランスを崩し倒れる。
「足元がお留守だぞ」
そして、首筋に剣を突き付ける。
「やっぱり強いなショウは...」
黒髪の男...ショウは手をスライムに手を差し伸べた。
「訓練不足だぞ、グリード」
「はははっ!ショウに勝てるわけないだろう」
そして、スライム...いや、グリードは差し出された手を取り起き上がって付いた土をはたく。
「ん?オーク骨ラーメンの嬢ちゃんか」
グリードは近くに観戦していたチカを見て手を振る。
「グリード、どうした?知り合いか?」
「いや、スライムから追われてたのを助けただけだ。だがすげーだろ?領主の息子のエルド様に料理を認められて名物になろうとしてるんだぞ!」
「ほう、アレはいいモノだったな。」
「なんだ、もうお前行ったのか。」
そう話しながらチカ達に近付いていく。
「嬢ちゃん、そういえばオーク骨ラーメン美味かったぞ。...ああ、すまん。私の名はグリードでコイツがショウだ」
「ああ。」
「ウチはチカ。ラーメン、よかよね!!」
「私はセレシスです。」
「アリアよ」
「チカは何故、闘技場に?...ってああそういう事か。」
グリードは、チカに要件を聞こうと思ったが、チカの懐の片手剣と盾とチカの、スライムから逃げていた事を図を思い浮かべて納得した。
「練習付き合おうか?」
「ありがと!でもばり初心者やけどね」
「まあ、武器を持った誰しもが最初は初心者だぞ」
グリードの話に乗り、グリードが練習に付き合ってくれるそうだ。
ショウとセレシスとアリアは近くの石段に座ったようだ。
「ふむ、ソルジャーアントかな?軽いから振り心地無いから素早さをメインにしたやり方がいいな。ちょっとこっちに攻撃してみて」
「よかよ!」
グリードがチカに合図をし、構える。チカがグリードに上段から下段に斬りかかる。
「はぁあ!」
「っふ!」
チカが振り落とした剣をグリードが剣を横にしてチカの剣を防ぎ、弾く。ガッキン!!っと大きな金属音と共にチカの剣が大きく反動で剣が逆に飛んでいくが剣が軽いため、振り回されることはない。
「その剣は軽いから、上から振り落とすのは止めといたほうがいい。突きを戦いの基本として相手の攻撃を防ぎつつ、スキが出来たらすかさず突け」
「ふぁい!」
「来い!」
グリードは剣を斜めにして手に当て構える。
「っふ!ほい!」
今度はフェイントで一旦突くフリをし、突く。
フリードはフェイントに微動だにせず、突いた時に剣を振り、剣にあて受け流す。
「これがパリィ。受け流す技だ。今度はこっちがゆっくり攻撃するから真似してみてくれ」
「ほい!」
「ふっとっ!」
フリードがチカが突いた少し遅く突いた。
「っふっ!!ふわぁ!?いてててっ...」
チカはフリードの突きにパリィ出来ずそのまま剣が体に来るが寸止めするが、驚いたチカは尻もちをついた。
「今日はこの辺にするか。」
と全くグリードに叶わないのだった。




