第三十九話、竜肉食ってみる。
宿で皆がそれぞれ休んでいる間、 チカはまだ、考え事をしていた。
銀竜に対抗するために選んだのはクラーケンを倒した時に使った、太陽光を集める光属性魔法をぶつける事にする。しかし火力が足りない為、クラーケンの柔らかそうな体を貫いた魔法が強靭な鱗を持つ銀竜に勝てる訳無い。火力を上昇させるにはどうすればいいのだろうか....
「ぬぬぬぅ....」
チカは必死に考える。前にクラーケンの真上にレンズのようなものがあると想像し、ソレで光を誘導した光を集めた。
魔力ギリギリの範囲でクラーケンが倒せるレベルなので到底、銀竜の鱗を貫通することは不可能だろう。だから範囲を大きくするしかないのだが魔力が無いため不可能である。
ならば効率の良い形を考えるしかない...
「とりあえず、試してみらんと分からんね...」
チカは、光属性魔法で部屋に小さい太陽というか、光の球を作りそれから放たれる光をどうやったら効率よく一点に集めれるかを模索する。が...
「ん〜......分からんね...。」
色々、模索するが光がうまく集まらない...。
「そういやダイヤモンドの形ってこんなんやったけ...?」
そして考えを忘れ、少し遊んでしまう。そしてチカはあることに気付いた...。
「ダイヤモンドの形の反射って!色んなところに光が飛んでいくっちゃん!!忘れとった!?」
ダイヤモンドの形は輝きをより良くするために作られたものである為、光が一点ではなくばら撒かれるのである。
「ちゃんと考えんと!?...次はこうしt....パタッ....」
時間を無駄していた事のに気付いたチカは早速次の案を思い浮かべるが寝てしまう。
魔法の使い過ぎによる、魔素切れである。
そして、時間は過ぎていくのだった。
「チカちゃん...起きなさい?」
「んんんぅ....」
どうやらアリアが起こしに来たようだが眠気には勝てない。
「チカちゃん?...そろそろ晩ご飯の時間わよ?」
「はっ!?」
だがしかし、ご飯の誘惑には勝てなかったようだ。
「起きたわね…ご飯は一階に食堂があってそこで準備出来てるらしいわね」
「ふぁ..さっさと行こ?」
「そうわね」
アリアとチカは戸締りをちゃんとして一階の食堂に向かう。
宿泊する部屋は基本的に二階と三階で一階はほぼ従業員のスペースと食堂、受付になっている。
「あ、来ましたよ!」
食堂に降りるとそこには皆が待っており、セレシスが気付く。皆はもう既に何かを食べており、いい匂いが漂ってくる。彼らの横に二席空いて、おそらくそこがアリアとチカの席なのだろう。
「おおっ!美味しそうやねっ!」
「確かにそうわね、だけど少し肉々しすぎな気が...」
チカとアリアがその席に座りながらテーブルに置かれた料理を見て言う。
そう、目の前のものとは...ステーキである。
「料理は茶竜の尻尾ステーキとコーンスープと黒パンだそうですね。」
「これ竜の肉なん!?確かに、なんか牛とか豚とか鳥とかの肉と違かね!」
セレシスが前に出された食事についてどんなものか言ってくれる。
「よし、食べよっ!」
そしてチカはナイフとフォークを持ち、茶竜の尻尾のステーキに手を掛ける。
茶竜の尻尾の肉は綺麗な円状になっており、外側には皮がついており、中央には骨がある。横にはソースが入った小皿が置いてあった。これにつけて食べればいいのだろう。とりあえず1口サイズに切ってみることにする。
「おおっ!肉汁ヤバかね!!」
切ってみるとどんどんそこから肉汁出ていく。
「とりあえず1口...」
チカはソースの入った小皿にお肉をつけ口に運ぶ。
「おお!うまかぁ〜〜!」
まず、デミグラスソースのようなソースの味がし噛むと肉汁が口の中に勢いよく飛び散るみたいにすごく出る。噛めば噛むほど味が出て来てすごく美味しい。皮膚の表面は油がついており、中は筋肉質で少し硬いお肉この肉なんていうか.....。
「鶏肉?」
「そうわね。あっちでもトカゲとか鶏肉の味がするとか言ってたし、あっちでいうトカゲのステーキみたいなものかしら」
「ソレは食べたくなかけど、これは食べ物と許せる。」
トカゲと思いたくないチカはそれを聞かなかったことにして食べ進める。
「そういや、思ったちゃけどクロムは竜が自分が住んどる町で食われてるの知ったらどう思うっちゃろっか?」
「ソレは大丈夫ですよ。竜は基本的に同じ種類の竜以外の竜は竜と思っていませんので竜が竜を食うことなどよくありますね。」
「そうなん、まあ竜結構うまか、から仕方なかね...」
そしてチカは、夕食をあっという間に完食するのだった。
「食べた食べたっ!久しぶりの干し肉じゃないお肉はバリうまかね!」
「ああ...もう駄目だわ。入らない....」
「え?貰ってよか!?」
「アンタ、凄いわね...」
チカの完食する中、その横のアリアはステーキを半分残しリタイアするがチカがそれを貰う。アリアはチカがまだ入る事を呆れつつ凄いと思ったのだった。




