第三十八話、考えタイム
「悪いが、泊まらせる事はすまないが出来ない。ああ、そういえばクロムを助けてくれたそうだね…。これは少しばかりのお礼だ」
銀竜を倒す為にチカは考えを模索するが、いい案が浮かばず、領主により引き返される。一応リルムのクロムを助けてくれた報酬にお金を渡された。
「じゃあね...バイバイなのだ...」
リルムは名残惜しそうに手を振ってくれる。
そして馬車は明日、グリードなどの騎士達とドミニクがシークラドまで戻って行くそうだ。
「では日が暮れる前に宿を取りますか」
「ワタシ、いい宿知ってますデス」
「おお!なら丁度いいですね!」
「こっちデス」
日が暮れて来たのでセレシスが宿を取ろうと言うと、ドミニクがどうやらいい宿を知ってるそうなので当ても無いのでドミニクが言った宿にする事が決まったようだ。
ドミニクが宿まで案内してくれる。
「ここデス」
ドミニクが案内してくれた先は大通りから少し外れており、人気があまり無く、静かで日当たりのいい立地に建つオレンジの屋根の三階建て、木造建築で結構広いが暖かみを感じれる宿だった。
「確かにいいですね!」
「そうデスネ。ここは基本的に二人部屋デス」
「それでは部屋決めをしなければいけませんね...」
ドミニクの話ではこの宿は二人部屋だそうで部屋割りをする事になった。
「じゃあまず男女で分けるのが普通ね」
「そう...ですね...」
アリアの言葉でセレシスのテンションが落ちたような気がするが気のせいだろう。
「だけどそれでは男3、女5になってキリが悪いですね...。やはり...これは....」
セレシスが男女に分けたがどちらも奇数になるため二で割れない為、セレシスは何かを言おうとしたが遮られる。
「それじゃ、アタシはクラウスと泊まるか...。なぁ?いいだろ?同じ騎士だしいざこざなんて、ねえだろ?」
「あの!?ミシェルさん!?」
「行くぞ、クラウス!」
「えぇ!?そんなって!引っ張らないでくださいよ!?ちゃんとこっちの意見を聞いt」
ミシェルはクラウスと泊まるといい、無理矢理クラウスを部屋まで引っ張っていった。
「さてこれで、綺麗になったわね。これで男達は決まったわね...。」
「うう...」
アリアがまとめたが…セレシスは不満げである。
「付き合いが長い人デスと二人組めばいいデスネ」
「私もそれでいいと思います。」
ドミニクが言ったことにミアルが便乗する。
「チカもそれでいいわね?」
「銃だと行けるっちゃけど火薬がなかそもそも鉄製の弓矢が駄目な可能性が.............ああ、よかよ...」
チカは考え事をしながらとりあえず了承する。
「じゃあ、チカちゃんと私、ドミニクさんとミアルちゃんが同じ部屋になるわね。それでいい?」
「分かりました」
「分かったデス」
「へ?」
アリアが決めてそれにドミニクとミアルは納得するがチカが考え事をしていてよく分かっていなかったようだ。
「...ダブルベットの可能性はなか、ツインなるはずやけん......大丈夫やね」
「じゃあいいわね。」
チカはアリアと同室になったが、どうせベットは別々だと予想し、大丈夫だと認識したようで部屋割りが決定した。
「デハ部屋に荷物入れて休むデス」
「わ、私も!」
「それじゃあ私達もね」
「...うん」
女性陣のドミニクとミアル組はさっさと荷物を部屋に持っていって休むそうなので解散していく。その様子を見てアリアは考え事をしているチカを引っ張りつつ部屋に連れていく。
それを悲しげにセレシスは眺めるのだった。
チカとアリアは部屋に入っていく。部屋はシンプルでクローゼットとシングルベット。後は机と椅子程度だ。現実よりの透明では無いがガラスの窓もちゃんとある。
「はぁ......」
アリアはベットにダイブし、落ち着く。チカはベットに寝っ転がり又しても銀竜について考え続ける。
「銀竜を倒すには....かー..やっぱりむずかね...」
そしてチカは考え込んでいく。
銀竜を倒す時に魔力や魔法で作られた物だったら吸収される為、物理攻撃に限られる。至近距離からの攻撃だと、銀竜から放出される毒ガスにより近づく事の出来ない。なので遠距離の物理攻撃のみとなる。だが、弓矢程度の威力では鱗を貫通できない...。
なので銃を再現したい。銃は弾を後から叩くその衝撃で爆破した火薬の衝撃で金属の弾を飛ばすものだ。確か、手でも銃弾さえあれば飛ばせると聞いたことがある。だがしかし、火薬が無い。もし火薬が出来たと仮定してみたとして、ソレの弾の素材はどうなるのだろうか。弓矢と同じだとしたら鉄製か....しかし他に心当たりなどない。いや、そもそも、鉄製の鏃の弓矢でダメージを与えれないなら、鉄製ではダメなのだろうか。
まずそもそも銃弾の飛ばす方法を考えてから飛ばすモノを考えなければ、先に弾だけ完成して飛ばせませんでは意味が無い。どうやって飛ばせばいいものか…魔法が普通はいいんだけど、銀竜の近くでは吸収される為、魔法は無理...。いや!?出来る。銀竜に飛ばすモノを魔力で作るではなく、飛ばす方法を作ればいいんでは!?......そもそもよく考えれば太陽光を集中させるのも直接魔力で作る魔法ではない。さすがレーザーは無理だと思うけど、太陽光が行けるはず。でも...
「っは!?いい案思いついた!!でも...............火力がなか...」
そう、圧倒的に火力が足りないと予想できる。硬い鱗を持っていないクラーケンを倒した時でも焼き焦がすのに時間が結構かかった。ソレを銀竜にぶつけても大したダメージにならないだろう。ううん...一体どうすれば...
そんな考え事をしているチカの横のベットに寝っ転がってる方はどうやら熟睡しているようで、チカの突然上げた声を驚きもせず眠っていた。




