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第三十三話、ようこそ、じゃp......何でもありません。

暴走していた暗黒竜を捕えられ、それを追い掛けていた金髪少女はクスラ家の長女、リルムと名乗る。


「クスラ家の長女である事を知らず、ご無礼を...」


グリードを筆頭に護衛をしていた、ミシェルとクラウスが軽く礼をする。


「よすのだ。よすのだ。そんなにリルムは偉くないのだ。普通の接してほしいのだ。」

「偉くないとは、そんな訳ありません。クスラ家の跡継ぎになられるリルム様とお聞きしたのですか...」

「リルムは領主になりたくないのだ〜。」


リルムは軽く礼をしたグリード達に言うがグリードはクスラ家の情報を知っており、それ故に普通に接したくないようだ。そしてそれを聞いたリルムから跡継ぎしない宣言をする。


「なら領主にならんければよかっちゃないと?もし住人なら、本人が嫌々やっとる領主の町の住人に、なりたくなかよ」

「そこの君なのだ。よくいい言葉を言ってくれたのだ!」


話を聞いていたチカが不思議に思ったことを言う。それにリルムが反応する。


「クスラ家は跡継ぎはリルム様と領主しかおらず、領主は年老いており引退寸前だったはずだ」


グリードは少し言葉を崩し話す。


「確か、領主の家が潰れると町の有力な一般人から投票で選ばれ、その町の領主になるはずです。領主の家でないと貴族になりませんし、選ばれた領主となる一般人が悪意が無いとは限らないので最悪、町が消える可能性が考えられます。」


それに補足してセレシスが領主について説明してくれる。


「じゃあ、リルムが領主にならんかったら、町が消えっとか。」

「最悪の場合、ですよ。」


チカは納得したようだがセレシスが付け加える。


「ソレはなんとしても阻止しなければならない。シークラドの海産物以外の食事情はだいたいクスラが支えているのだから...。安定しなければ、シークラドも困ってしまう。」


グリードはシークラドの町を心配しリルム家を安定してほしいそうだ。


「でもさっき言ってたのだ。やる気のない領主についていきたくないっと言う事なのだ」

「しかし...」

「領主にはなりたくないのだ。」


リルムはなりたくないという本人の意思と住人が思う事を述べ、それを理由になりたくないと言う。


「とりあえず、家に案内するのだ。その前に埋まってるクロムを出して欲しいのだ。」


リルムは領主の家に案内するといい、クロムと呼ばれた暗黒竜を助けてほしいとチカ達に言う。


「って......ああ」


土属性魔法を発動させたチカはセレシスを肘でつつき理解させる。

チカはバレないように集中し魔法と解除する。セレシスが土属性魔法を使ったことにするため、集中している振りをしてもらった。


「ガァアアア...」


土から出た暗黒竜、クロムは何やら痛そうに左前の足を気にする。


「どうしたのだ?クロム?」

「怪我をしてるんじゃない?見せなさい。」


その様子を見てリルムは心配しアリアは怪我を見せろと、クロムに向かい言う。


「ガァ....」


クロムは左前足を前に出す。それにアリアが駆け寄る。


「あら、お利口ね」


アリアは出された足を観察し見つける。


「刃物の破片が刺さってるわね...。ちょっと痛いけど我慢しなさい。」

「ガゥ...........ガァアアアーーー!!!」


アリアの声にクロムは返事をし、アリアは刺さっていた刃物の破片を取り除く。すると痛みでクロムが叫ぶ。


「回復させるわよ。」


アリアがそういい集中し無詠唱で回復魔法を放つ。

クロムの刺さっていた後のキズが光の玉に包まれる。肉が盛り上がっていき、かさぶたが出来る。

どうやらそのものを回復させる訳では無く、自然治癒能力を上げて回復させるようだ。


「ガゥウウウ..........」



クロムは痛みが無くなり、気持ちよさそうな声を出し立ち上がった。


「おお、回復したのだ!さあ行くのだ。」


リルムは元々追いかけるために使っていた竜から降り、クロムに乗る。元々乗っていた竜は町の方に走っていった。


「道に戻るデス」


リルムの言葉に従い、道からズレていたので本来の道に戻っていく。


リルムは馬車の横をクロムに乗り、走る。


「そういえば忘れたのだ。ソナタ達の名前を聞いてないのだ」


リルムはチカ達の名前聞いていなかったので聞く。


「そっちだけ言っとって公平じゃなか、かったね。ウチはチカって言うとよ。」

「チカって言うのだな!」


チカを筆頭に皆が自己紹介をしていく。


「チカとアリアにセレシスにミアルにドミニクにグリードにミシェルにクラウスと言うのだ?理解したのだ!」


自己紹介をしていったチカ達に指を指し名前を言っていく。


「チカ達はなんでシークラド家の紋章の馬車に乗っているのだ?」

「ソレは色々あってですね....」


リルムがシークラド家の馬車に何故、乗っているのかを聞いてくるのでセレシスが対応する。


「っと、急遽、貸してもらえたのです。」

「なるほどなのだ。おっと。門が目の前なのだ。ようこそ!クスラへ!!歓迎するのだ!!!」


セレシスが説明した後、どうやら町の門が目の前まで迫っていたようで、慌てて歓迎の声をリルムが言うのだった。

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