第三十一話、猫耳は裏切らない!?
夜ご飯を食べた後、もう辺りは真っ暗になってしまったのでもう寝る事にするようだ。
「こっちっこっちっ」
「ん?」
チカに向け、アリアが寝床に入り毛布を被った状態で手招きをする。
「どうしたと?」
「とりあえず入りなさい。」
近付いて来たチカをアリアが毛布の中に誘い、チカは入っていく。
「これでいいわね。」
頭に毛布を被せ、完全に頭を覆う。それから頭のところに隙間を作り、話せるようにする。
「それで、どうしたと?」
「ミアルちゃんの異能見たでしょ?だから使ってみれば?」
「確かにそうやね!使ってみるけん。相手役やってくれん?」
「いいわよ。」
アリアを念話の相手にし、ミアルの異能をチカが再現する。
「再現、ミアルの異能、念話。」
『対象、ミアルの異能、念話の再現に失敗しました。原因、対象はその異能を持っておりません。』
「ふぇ?」
脳内の声が対象、ミアルはその異能、念話を持っていないときっぱり、宣言する。
「...ミアルちゃん、そんな異能もっとらんって.....どゆこと?」
「え?....そのままの意味じゃない?ミアルは念話を持ってないってことよね?」
「うん」
ミアルは異能、念話を持っていないことが判明し、疑問の声を出す。
「隠すべき秘密がミアルちゃんにあるはずよ…。」
「なんで隠すっちゃろうか?」
「まあ、手掛かりは少ないし、分からないわね…。」
なぜ、ミアルは異能を隠そうとするのだろうか...。悩む中、アリアは横を見る。
「寝てる....わね。」
「ぐぅ....」
チカが熟睡していたのだった。
「....私も寝ようかしら」
そしてアリアも考えるのが馬鹿らしくなったのか回転していた頭を止め、眠りについたのだった....。
「ぐぐぐぐっ.......ふぁ!?........うーうーう!!」
チカは突然のお腹への圧迫を感じ、目を覚ます。お腹の圧迫により苦しい為、必死に暴れるが解放されない。そう、アリアにより抱き締められ.....いや、組み付かれていると言った方がいい程ガッチリとチカを捕まえている。
「うぅー!うぅー!うぅー!.....ふぁすけ!?うぐっ!?」
チカが抵抗するもビクともせず、不動である。チカが助けを呼ぶ為。声を上げようとするが、締め付けが強くなり、妨げられる。それが朝まで続いた。途中、物音に気付いたミアルが見に来て助けようとするも、ミアルも捕えられる。
「どうしたんですか!?............って!うにゃ!?ふごごっ!?」
「うぅー!うぅー!」
ミアルとチカに組み付き、それぞれ無力化していったアリアは気分のいい朝を迎えられ、チカとミアルは寝不足の状態で朝になるのだった。
「うー!...最悪です。」
「全く眠れんかったっちゃけど....」
そんな文句を言って自分の寝床に潜り込むのだった。
「さて、起きて下さい、皆さん。ご飯ですよ。」
おそらく、快眠出来たであろうセレシスは、パンを焼いてもアリアが野草と取ってきていたベリー系の果実で作ったジャムを乗せたものをパパっと作る。
「後、5時間ねむたぁーかぁー...」
「ふぇしへくにゃさい...」
チカとミアルは眠たそうに言った。チカは途中で欠伸を入れながら喋り、ミアルはもはや聞き取れないレベルである。
「はいはい。睡眠の続きは食事を食べた後、移動中の馬車で出来ますよ。」
セレシスがそう言ったもののチカとミアルはご飯を食べずにそのまま寝てしまう。そして馬車が出発する時...
「後、ミアルさんとチカさんだけですね。...これは!?....お姫様抱っこをするしか!」
「チカちゃん、ミアルちゃんこっちに来るだけでいいのよ。」
「ねむか、ねむか....」
「にゃふー....」
「えっ....」
セレシスが何かを言ってるがアリアがチカとミアルを起こし、袖を引っ張って馬車まで誘導する。その様子を見てセレシスが止まるのだった。
チカとミアルは馬車に乗った瞬間、眠りについた。その後、馬車の揺れもどうとしなかったそうだ。
「ふぁあ....だいぶ寝たけん。眠くなか!」
「ぐぅ...」
ミアルはまだ寝ているが、チカが起きる。
「朝食のパンです。」
「ありがと!」
起きたばかりのチカに水と一緒にパンを与える。
「もぐもぐ。」
パンを口の中に入れ咀嚼しつつ、次から次へと入れていく。
「アンタ、過去の自分の二の舞になるわよ…。」
「大丈夫、ちゃんと咀嚼しとるから!」
「大丈夫かしら…」
そんなチカをアリアが心配するが、不安な言葉をいい口の中のものを咀嚼する。
「ふぅ...もう昼前っちゃ無い?もう昼食?」
「アンタ。まだ食べれるとか言わないわよね...」
「行けるっちゃけど?」
「アンタらしいわね…」
食べ終わり、今の時間を聞いたが、アリアが呆れるのだった。
「お昼ちょっと超えた後に着きそうらしいので、お昼は町の中にしましょうか」
「おお、やっと着くっちゃね!!楽しみやね。」
セレシスの言葉を聞き、チカが興奮する。
「お!あれが畜産と酪農の町、クスラですね!」
「あれがそうなん!ってか、こっちになんか黒ごまみたいなのが来とらん?」
セレシスが指さした先に町があり、ソレをチカが見る。するとどうやら黒ごまみたいなのがこっちに向かってきているのだった。




