第二十八話、アリアとの勝負
今日も馬車が進む。畜産と酪農の町、クスラへの道は、あと一日。
「じやっぱり、暇やね。」
「魔法撃って気絶すればすぐ夜が来るわよ?」
「それはそれで嫌っちゃけど!?」
「なんでよ」
「すぐ夜が来て面白くなかよ!」
チカが暇をしているとアリアが暇を潰す方法を勧めてくるがチカが拒否する。
「じゃあ、ゲームとかどう?」
「おお!よかね!」
「そうわね.....」
アリアの提案にチカが乗り、アリアがどのゲームにするか考える。
「じゃあ、道具も無いし、しりとりとかどうかしら?」
「まあ、確かにそうやね。うちからいくけん。」
ゲームはしりとりとなり、アリアとチカでしりとりを開始する。
「しりとり。」
「え?」
「え?」
「しりとりって言った後、なんか言ってスタートが普通じゃないの?」
「え?うちの所は最初に始めた人がしりとりっていうっちゃけど?」
そんなグダグダがあったものの、しりとりは始まって言った。
「寿司」
「死属性魔法」
「歌」
「盥属性魔法」
「タライ!?そんなんあっと!?てかそれセコくなか!?」
「いや、ルール上問題は無いわ。」
「確かにそうやけど...」
アリアが酷い手を使っているもののしりとりは進んでいく。
「馬」
「魔属性魔法」
「...兎」
「銀属性魔法」
「......牛」
「白属性魔法」
「........うき」
「木属性魔法」
「..........右折」
「土属性魔法」
「うわぁああああ!!もういやっちゃけど!?」
そして結局、チカは耐えきれず、声を上げるのだった。
「どうする?リタイアする?」
「いや、それやめてくれん!?」
アリアにリタイアするか聞かれるが、その酷い手を止めてくれないかとチカは聞いてみるが...
「ルール上問題無いわ」
「じゃ、もうやめるけん!しりとりやめよぉおー!!」
アリアは確かに正論を言うが、チカはしりとりを止めた
「…分かったわよ。これで一対ゼロね」
「勝負形式なん!?」
「だってつまらないでしょ?」
「そうやけど、さっきのは無しっちゃなか!?」
「ダメよ」
アリアとチカでいつの間にか勝負することなっていたようだ。チカはさっきのしりとりは無しといっているがアリアに拒否されるのだった。
「しょうが無いわね。次のゲームはチカちゃんが選んでいいから。」
「今度はズルさせんけんね!!」
アリアが選んでいいと言ったのでチカは公平性があるゲームを考える。
「じゃあ.......オセロ?」
「道具が無いじゃない」
「ふぐぐぐ...確かにボードゲームはダメやね」
すぐにアリアに反論され考え直す。
「じゃあー、コイントスどうなん?」
「いいわよ。」
「じゃあこのコインでするけん。」
チカは銀貨を取り出し、アリアに見せ、指で弾くため指の上に乗せる。
「じゃあいくけんね!!」
「分かったわ。」
チカは指に置いたコインを弾く。
キィーンッ!!と音を立てチカにより、コインが弾かれる。チカは落ちてきたコインを手の甲ともう1つの手の平で挟んで受け止めようとする。
「あれっ!?....って!アイタッ!?」
だがしかし、そこにチカが降ってくると思ったコインが無い。そうコインは真っ直ぐ上に飛んでいなかったのだ。コインは放物線を描き、チカの頭にクリーンヒットする。
「いててて....もう一回っ!!」
「出来ないなら....私が代わりにやるわよ?」
「よかよ」
チカはアリアの心配を無視し、もう一度挑戦する。
「ふっ!!...アイタッ!」
コインはキィーンッ!!と音を立て指に弾かれると、放物線を描き、もう一度チカの頭に当たる。
「ぬぅ....いっちょんキャッチ出来ん」
「もう出来ないなら、代わるって...」
「いや、よかよっ!」
アリアの心配を二度断った後、チカは指にコインを乗せ再びコインを弾く。
「はっ!!」
そのコインは、指に弾かれキィーンッ!!と音を立て、二度見たかのような放物線を描いて、チカの頭に当たる。はずだった…!?
「.....ふっ」
直撃するはずだったチカの頭が動き、コインが当たらず、そのままそのコインは馬車の床に落下し、チャリンッ!チャリンッ!チャリリリンッ~!と金属音を鳴らし、馬車の床に完全に静止する。
「どやぁ!」
「....そこ、誇るとこじゃないし、目的とだいぶ違うわよ!?」
チカはコインとの直撃を間逃れ、ドヤ顔をするがアリアが突っ込むのだった。
結局、アリアが綺麗なコイントスをし、チカがソレを当てるのだった。
「これで一対一わね。」
「正直勝負とかどうでもなか?」
「ええっー!」
アリアが勝負で同点と言うが、チカはもう勝負などどうでもいいようだ。
「そういえば、そろそろお昼やけん、ご飯やね」
「そうわね。じゃあ今日の昼ごはんを当てれるか。それにしましょ?」
「よかよ!!」
アリアが決めた勝負にチカは軽く了承する。
「ていうか、思ったんだけど。『よか』ってイントネーションか表情が無いと判断難し過ぎないかしら?」
「え?そうなん?簡単っちゃけど?」
「アンタに聞いたのが間違いだったわ...」
博多弁の事を少し話しつつ、両者の予想を言い合う。
「じゃあ、私は魚のサンドウィッチ」
「ウチは、焼きそばパン。」
「食べたことの無い奴わね....。じゃあ、決まったわね。セレシス。今日の昼ごはん何かしら。」
両者の予想が言い終わった後、アリアがセレシスに聞く。
「今日は...焼きそばパンです!」
「っく!負けたわ....」
「ふっふっふ。密封の箱の中の匂いが判断出来んなら勝負に成らんよ?」
「さすがに、そこまで嗅覚ないわよ!?ていうか嗅覚関係無いわ!?どうやってるのそれ!?」
っと、当たり前のように3回戦目に勝利し、チカが一対二で勝利するのだった。




