第二十七話、麺の話
「うーん....は!?」
チカは気絶している状態から復帰し辺りをキョロキョロする。
辺りはもう暗くなっており、馬車の揺れは感じられない。
「あ、チカさん起きたんですね」
「え?もう夜になっとると?」
「そうですよ。もうご飯ですのでもうそろそろ、起こそうと思ってた所です。寝顔可愛かったですよ。」
「今日のご飯なんなん?」
目の前にはセレシスがおり、そろそろご飯だと言うことを告げられる。セレシスがなんか言ったがチカは、目を擦りながらセレシスよりご飯まっしぐらの様子だ。
「今日のご飯は....醤油ラーメンですね。」
「おお!?それはよかね!」
そしてチカは急いで食べに向かうのだった。
ズルズルッ!ズルズルッ!
麺を啜る音がなるが、異世界の者達は上手く啜れずフォークで巻き取ったりパスタのように食べている。
シークラドで売ってある醤油の香ばしい香りと魚の出汁が効いたスープがモチモチの麺に絡み、口運んでくれ。チャーシューは干し肉を醤油と砂糖で煮たものを使い薄く切る。干し肉のため、ジューシーさは無いが肉々しく満足感を得られて美味しい。
「うまかぁー!!」
「こんなラーメンも有るのか!?」
「他には、塩とか味噌とかもあっとよ!」
「そんなに種類が多いのか」
グリードは豚骨ラーメン改めてオーク骨ラーメンを食べた事があるようで別のラーメンがあることに驚く。がチカの言葉でもっと驚くのだった。
「おかわり!今度はバリカタで」
「分かりましたよ。」
チカがおかわりの注文をセレシスにする。
「なあ、そのバリカタってなんなんだ?」
「麺の硬さ言っとるっちゃん!」
「へー、そうなのか。」
「硬さは生、湯通し、粉落とし、ハリガネ、バリカタ、カタ、普通、やわ、バリ柔があっと。それで後になるほど湯で時間が長いとよ!ちなみにさっき食べとるのはやわやけん、二段階硬いバリカタを選んだったい!!!!」
グリードの質問にチカが熱くラーメンについて答えるが、出来ない店と出来る店があるので注意した方がいい。
「じゃあ俺もバリカタで」
「止めといた方が良かよ?慣れてなかなら、ラーメンの麺はかん水が入っとるけん。かん水でお腹壊すっちゃ無いと?湯で時間が短いとかん水がお湯に溶けきらんでお腹壊すとよ?」
「あ、ああ。多分大丈夫だ。鍛え方が違うからな、体は丈夫のはずだ。」
グリードはチカの注意を無視し、バリカタの醤油ラーメンを頼んだ。
「はい。出来ましたよ。」
セレシスが二人分の醤油ラーメンを作り、渡す。
それを直ぐチカは受け取り、麺を啜る。
「この硬さがいいとよ!!はよ、食わんと伸びるけん、はよ食べた方が良かよ」
「ああ...モグモグッ!モグモグッ!....確かにさっきのより硬い。だがこの歯ごたえがいいな!!」
チカとグリードはあっという間に醤油ラーメンを完食する。
「セレシスもう1杯!次はハリガネで!!」
「まだ食べるのか!じゃあ俺も!」
「よかと?腹壊しても知らんよ?」
「一向に構わんよ!!」
そしていつの間にか、グリードとチカの大食い対決が始まるがチカの圧勝で終わるのだった。
「ああぁ....もう腹一杯だ....。」
「食べた食べた!」
グリードは大の字で寝っ転がり、眠るのだった。
「って!グリード先輩!?夜番はどうするんですか!?まさか二人で回せと!?」
「え?男共が夜番するんじゃねえの?」
「え?ミシェルさん!?寝ないで下さいよ!?寝落ちのグリードって言われた人と夜番なんてほぼ1人じゃないですか!!」
「うわっ、クラウスが夜這いに来た。この変態が。」
「いや、理不尽過ぎません!?って寝るのはやっ!?夜番1人でやれと!?こんなの理不尽ですよ!?」
グリードが寝てしまい、ミシェルがクラウスと話しすぐ寝てしまいクラウスが騒ぐ。ミシェルは見た目と違い、大雑把で荒い一面が見え、クラウスを振り回しているようだ。
クラウスは朝まで夜番する事になったのだった。
早朝に...
「ぁあああ!腹イッタ!?」
グリードは寝ている時に腹痛を感じて起き、声を上げトイレに行くため、不評が無いように遠くに走るのだった。
「ふぅ...。」
「グリード先輩!!もう朝ですが夜番頼みますよ!!!」
「マジかよ!?」
「こっちは一晩寝れなかったんですよ!?」
トイレから帰ったグリードはクラウスに捕まり、見張りを頼まれるのだった。
グリードと睡眠したがクタクタになり、クラウスは睡眠時間が無く同じくクタクタの状態でチカ達を護衛するのだった。
朝ご飯は、昨日の残りの醤油と魚介ベースのスープに野草を加えたものと黒パンでパパっと済ませ出発する。
「おいおい、大丈夫かよ?」
「いえいえ...大丈夫ではありません。」
「はあ、しょうがねえな!」
ミシェルはクラウスを心配するが明らかにクラウスの返事がおかしい為、ミシェルは自分の積荷の中を漁る。
「おお、あったあった。飲めよ!」
「ってなんですかそれ!?」
「まあまあ、飲めよ!」
「って!オボボッ!?プフゥ!....じ、自分での飲めますよ!?」
ミシェルは謎の薬を出しクラウスを引き寄せ、クラウスの頭を固定し謎の薬を口に突っ込み、飲ませる。それにクラウスが照れつつ反抗するのだった。
「ラブコメしてますね。」
「そうかしら…」
っとその様子を眺めていたセレシスとアリアは言うのだった。




