第二十四話、盗賊
出発後...
「暇か〜!暇かよ〜!」
チカは暇をしていた。初日はもふもふがあったから紛らわせたのだが....
「こっち来ないでください。」
っともふもふに言われる始末。
かというと他の皆は...、
「すやぁ...」
「.........ペラ................ペラ」
「.........」
「.........」
セレシスは寝るし、アリアはずっと本を読んでるし、ドミニクさんは無言だし、しかもなんかミアルはアリアにべったりだし.....
「ふぬぬぬぬ......。」
痺れを切らして外に出て駆け出そうと思ったぐらいだ。する突然......
「ぬ!?」
チカの頭からアホ毛のようなものが既存の髪から生成され、それが直角に曲がる。
「なんか、気配がしとるっちゃけど!?」
「それどうやってるのよ。そっちの方が気になるわ...。」
「ぽわぁーってなってピンッてなるっちゃんね!それよりもなんか近づいて来とるよ?」
今チカ達が進んでいる所は平原と森との境付近にある道を通っており、横の森から音がガサガサッと木々や植物をかき分けるような音が聞こえる。
「!?」
森の奥から複数の人影が出てくる。
「おっ!いい獲物がいんじゃん」
「いい馬車もってんなぁ?」
「女四人とは上物だぜ!それで男は...イケメンがぁ!!ギリギリまでいたぶってやる!!」
三人の山賊のようなボロボロの服や皮を加工して作った服と皮鎧を装備しており、いかにも荒くれてますと言ってるような服装をしている。
「へへへっ!命が惜しくば、金目の物を出せや!!まあ、結局逃がすわけなんだがなぁ!」
「兄貴エグイっすねぇ!」
「はっはっは!盗賊やってる俺らがエグイとか言える立場じゃないっしょww」
そんなことを言いつつ盗賊は一人は短剣と盾。弓が二人持ちこっち目掛け構える。
「どうすっと?」
「相手は私達を殺さないようにいたぶるつもりの様ですのでこちらは全力で倒しに掛かりましょう!」
「そうわね。いい対人戦の経験にもなるし、賞金首だったら、お金貰えるし。メリットしかないわね」
いつの間にか起きていたセレシスと本を読むのを止めたアリアが横に立ち、盗賊を倒す事を促す。
「それ、よかね」
「ひぇー....逃げましょうよ!」
ミアルが逃亡しようと提案する。
「殺るデスか?」
「ドミニクさんまでですか!?皆さん血の気多すぎじゃないですか!?」
ドミニクまでもが戦いを選択するようだ。
「おいおい!俺達と戦うつもりかぁ?」
「流石にあっちの方が人数分多いっすけど、大半は女子供っすよ!余裕っすねぇ!」
アリアやセレシスはこの盗賊はなんか明らかに隙があった話し合いをしてる間に人質を取ったり、攻撃しない事に気付く。
「妙に親切なのね...」
「初犯ですかね?」
「な、何言ってんだぁ!俺達はお前らに猶予を与えただけなんだぜ?」
「そうっす!そうっす!俺達は結構腕が立つっすからねぇ!!」
「はっはっはっ!お前らをエグい目に合わせることだって容易に出来るんだぜぇ!」
リーダー格みたいな一人の盗賊は声が吃ってるし、さっき「盗賊がやってる奴がエグイって言える立場じゃない」とか言ってた盗賊がすぐにエグイって言ったし....
「当たったのね」
「うるさい。殺すぞ」
短剣と盾を持った盗賊アリアに向かって襲い掛かってくる。
盗賊に近い順は近い位置にアリア、チカ、セレシスと左の順で横に並んでいる。遠くの馬車を盾にしドミニクとミアルが隠れている。
「チカちゃん。任せるわよ、間違えて殺さないでね」
「分かっとる!分かっとる!」
チカはアルビノのソルジャーアントの牙で作った白い片手剣と甲殻で作った白い盾でアリアの前に立つ。
「っち!盾持ちが一番だりぃわ!おい!弓!」
「ああ!」
「了解っす!」
チカと、短剣と盾を持った盗賊の両者が構え、盗賊がこちらに刺突してこようとする。
「ふっ...ってあr、おっと!?」
盗賊が刺してこようとしたので盾でガードしようと思ったが目の前、盗賊がセレシスの方に転がり続けて切りかかる。
その盗賊が避けた後、足元に矢がすぐに飛んでくるがセレシスが作ったと思われる土壁により阻まれ壁に矢が刺さり、そんな一歩間違えたら仲間が死ぬ戦法にチカは驚いたのだった。
「まずは腕からだぜ!!」
セレシスの方に来た盗賊は、セレシスに向けて短剣を切り付ける。
「はぁ!!」
「無駄ですよ」
セレシスは町で異能を使ってしまった教訓を生かして、土属性魔法の壁を無詠唱で地面から鎖を生成し短剣を持った腕に絡み付く。
「ッチ!無詠唱かよ!?」
リーダー格の盗賊は鎖により身動きが取れなくなる。
「兄貴!」
「クソッ!まずは白い片手剣と盾を持った女を片付けるぞ!!」
チカが標的になるがセレシスが体が入る程の大きさの壁を作り、もう一度矢が阻まれる。
チカに向けてセレシスが言う。
「アレ、使わないんですか?」
「そうやった!そうやった!いっつも忘れとるっちゃんね!」
セレシスが言ったアレとは異能、再現である。あのバフを張らず戦いに入ってしまったのだ。
「再現。グリードの技術」
『対象、グリードの技術の再現に成功しました。のこり時間は59分59秒です。』
「再現。ショウの技術」
『対象ショウの技術の再現に成功しました。グリードの技術と多重起動しました。残り時間29分28秒』
チカは目の前の土壁に隠れ、再現のバフをはる。
「これで準備よかよ」
「次はチカさんは仕留めてください。殺さないで下さいね?」
「分かっとるよ!」
チカは弓を持った盗賊二人の方に駆け出していった。
「近付かせるなよ」
「分かってるっすよ」
弓でチカを狙うが....
「はっ!っとぉ!」
ビュンッ!!と飛んで来る矢を薙ぎ払い撃ち落としながら接近しそのまま繋げて盗賊目掛けてコンボを決める。
「ぐぁ!?」
「ふぐっ!」
見事に首を仕留め切断する。
「あっ.....!」
チカは盗賊二人を殺してしまうのだった。




