第二十話、行く行く詐欺からの脱却
大勢の人の前でチカが1度に2つの魔法を組み合わせて使ってしまった。
「え?」
チカは疑問の表情をしながら当たり前の事のように聞いてくる。
「出来んと?」
「普通有り得ないわ!?」
「...」
チカは黙り込み考えた。
「出来とって当然やろ?」
「な訳ないでしょー!!」
チカはしらばっくれるがティラの叫びが館中に広がったのだった。噂は広がり、光と闇の賢者と言われるようになるのだった。
「そういえばすっかり混沌属性魔法の存在を忘れていたわね…。」
魔法を教えたアリアはすっかり忘れていたようだ。
そして町中を歩いていても...
「あの子が光と闇の賢者か。」
「とてもそうは見えないわね...」
「あれって...美食の魔女じゃね?」
「聞いたことある。作った料理は全部人気になるっていう...。だけど....アレ...魔女....か?大人っぽい美しさじゃなくって....可愛さじゃね?」
「確かにそうだな。」
どこ行っても噂が広まっている。
「はよ、出た方がよかかもね。」
「それは目立とうが目立たないように生きるかはチカさん次第ですが、目立つと、厄介なことになりそうです。」
「確かにこれじゃあ、のんびり観光もできないわ。目立ちたくないなら多少割高でも旅に必要なものを揃えるべきかもね。まあ、エルドに討伐の報酬貰ってるから大丈夫だけど。」
アリアは割と大きな袋を出す。
「いつの間に貰ったんですかそれ。」
「宴会の終わりらへんにコソっと貰ってきたわ。」
「そこらへんは抜かりないんですね。」
「まあそこらへんはちゃんとしないとね」
「ところで、質問があるっちゃけど...」
話題を変えてチカが言う。
「美食の魔女ってさっき言っとったけど、なんなん?」
「それは、あなたの事じゃない?」
「うぇ!?そんな名前が広まっとると!?」
「流石にエルドさんに協力し過ぎましたね。」
「まあ、目立ってしまった事は仕方ないけれども、とてもこの視線には耐えられないわね。」
「うちもいややね。目立たないように生きたかけん。ササッと町出よ!!」
チカ達は急いで町を出ることを決めたのだった。
まず行先はだいぶ前から行く行く詐欺をしていた北の方にある畜産と酪農の町、クスラへ向かう馬車を手配する。クスラとの交通の便は良く結構馬車が行き来している。馬車で三日程の位置にあり、盆地にクスラがある。
食料は少し高かったものの、小麦粉と干し肉、干物を買う。
水は樽でもよかったが馬車の御者が馬車に積んでいると言っていたが一応各自で持ってた方がいいと言われ
皮水筒を何個か買う。
ここまで買っていて、今頃気付いたが大きなバックを持っていないため、買うことにした。
一番高いもので龍の皮で作られ見た目よりも多く入る中が拡張されたバックがあったが流石に目立つので買わない。手ごろな値段である複数の兎のような生物の皮で作られたバックにする。とても触り心地がいい。
続いて毛布と布とロープを買う。夜はかなり冷えるため、毛布は必須だ。
後は、コップとか食器があればいいが、水は無駄にできないので食器類は使い捨ての専用の葉っぱがあったのでそれにする。残念ながら箸は見つからず断念する。
そしてランタンなどが欲しいがこの世界で電気があるわけないし、燃料を燃やして火で明るくするタイプを買うしかないと思ったがアリアで言うには魔道具というのが有るらしいので魔道屋に寄ることにする。
「ここが魔道具屋やね。結構見た目が雑貨屋と同じそうっちゃけど。」
「まあ大体、魔道具は日用品の方が多いわ」
「なんでそうなっとると?」
「まあ、外で戦う人より街にいる人の方が多いし戦う人も自分の生活があるし自然にそうなるわね。」
「じゃあ、日用品じゃなか戦う為の魔道具ってどんなんあっと?」
店の中には硝子?のような透明感がある物体のショーケースに厳重に杖のようなものや巻物、書物が保管されている。
「魔道具には杖型、剣型、棒型、球型、本型とか色々あってそれは大体詠唱と同じシステムで動いていて動力は魔物から取れる魔石で動くわ。まあ、威力が10分の1になるけどね」
「おう!その通りだ、嬢ちゃん。」
声の割に老けているおじさんが話しかけてくる。
「あら。店主さんかしら。」
「おう、そうだ。お求めの品はなんだい?」
「旅に必要なもの一式ね」
「なるほどねぇ。こんなんはどうだい?」
魔道具屋の店主が色々と出してくる。
「左から、ランタン、火付け、浄水器、虫除け、コンロだな。」
店主が出したものは、細長い円柱状のモノ、ライターのようなもの、白色の球体、黒色の四角形の物体、板状の物体を順に出した。
「大体いるものは有るわね。全部買うわ。」
「嬢ちゃん大丈夫か?結構な値段になるぞ?まあこれだけ買ったなら替えの魔石一個ずつオマケしてやんよ。」
「それはありがたいわ。これで足りるわね?」
「ああ、大丈夫だ!まいど〜!!」
アリアに任せたが買いすぎではないか?
「そんなに買って大丈夫と?」
「まあ、そっちの世界でいう電化製品のようなものだし、これぐらいは必要経費よ。」
「それならよかけど。」
そして、必要なものは揃ったけどもう日が暮れてきたな。そういやエルド君に別れの挨拶して無かったけど、夜だと迷惑になって夕ご飯またご馳走になりそうだし明日の朝連絡する事にしよう。
さあ、明日出発だ!!




