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第二話 やっと異世界へ

チカは光の柱で視界が真っ白になったが、やがて左から青、その横に白、緑の色が徐々に見えてきて、それが海と砂浜、草原だと気付く。

そして、砂浜に立っていたため少し体重で足が沈む。


「ふぇ!?」


突然、足元が少し沈んだため、驚いた。


「......なんだ、砂浜やけんか....!って...ん?」



振り向くと、砂浜の奥に町のような灰色っぽい城壁があり、城壁が高くて街の様子は分からないが、中央には一本の塔のようなものが見えた。

立地は、海に隣接してことから、港町だということが分かる。

右側の平原の奥には、森と、とんがった岩山があり、空中には黒ゴマみたいなが沢山飛んでいる。


「おぉー...あんま、異世界っぽく、なかけど....一応、中世のヨーロッパ辺りっぽいね!」


本当に異世界に降り立った事が不安だが一応、自分がいる所は、中世ヨーロッパ辺りの時代に来てる事は信じれた。


「とりあえず、町に行ってみらんと分からんね!」


チカは港町らしき、城壁に近づいていく事にする。

歩きにくいため、砂浜から平原に上がって町に向かう。

すると茂みの中から、緑のゼリー状の中心に深緑色の核のようなものがある物体を発見する。


「なんやろ...これ?」


チカは近くにあった木の枝を持って、ツンツンしてみる。

木の枝とその物体が触れ合う...瞬間!!!その物体がプルプルし震えだした。


「ピキー!!」


「ふぁ!?」


物体が突然高い声を出し、それにチカが驚く。


「ピキキキキー!」


「これ...生物なん?ってうわっ!?」


チカが持っていた木の枝がその物体に吸い込まれ、凄まじい速さですぐに消化される。


「ふぇ~!えずか(こわい)!」


チカはこれが自分の腕だったら..と考え、逃げようとする。


「強か酸性のスライムってどうやって倒せばいいとよぉ~!?」


「ピキー!!ピキー!」


逃げようとするチカをプルプルするぜりーの見かけとは裏腹に信じられない速さで跳ねて追いかけてくる。


えずか(こわか)えずか(こわか)えずか(こわか)えずか(こわか)えずか(こわか)!!」


「ピキー!!!」


大急ぎでで助けてくれそうな人がいそうな城壁の近くに寄っていく。


「はぁ...はぁ...」


「ピキキー!!ピキー!!」


息切れが起こりながらも全力疾走しているが謎の物体は、移動速度が変わることなく、チカのあとを追いかけ続ける。


「なんで!?...はぁ...追いかけてくっとよ!?」


城壁の門が見えて、そこには多くの人で列を成している。助けてくれるだろうと無心にそれめがけて走り続けると鎧を着た騎士が一人近寄ってくる。


「はぁ...!はぁ...!ふぅ...!ふぅぅ.....助けて欲しいっちゃけど!?」


「そこで曲がれ!!」


一騎士が誘導してくれる。もちろんのように謎の物体も曲がる。それを追いかけるように騎士は近づく。


「『フー・フー・ソード・アルルム・ドロ』?!はぁああ!!」


「ぴぎぎー!!!!」


騎士が剣を構え、その剣の近くに魔法陣ができ、炎を剣が纏う。そして謎の物体目掛けて、炎を纏った剣で横薙ぎに払う。

謎の物体が核ごと真っ二つに割れ、謎の物体は断末魔の叫びを上げ、動きを止めた。


「すごか!!あれが魔法ったいね!」


「怪我は無かったか?」


「うん。なかよ!」


「あ、ああ。一般人の方はあの列から並んでくれ。」


騎士は方弁に疑問の表情になるが仕事に戻る。


チカは騎士に言われた通り、列に並ぶようだ。


「さっきはえずかかった(こわかった)ー!」


「不思議な言葉をしゃべるのね。ふふっ...ああ、ごめんなさい。グリーンスライムからさっきに追いかけられていた人によね?怪我してない?」


チカの前に並んでいた、チカより少しローブを羽織った年上な紫のロングヘアーをした女性が話してくる。


「なかよ!グリーンスライムってなんなん?」


「グリーンスライムってのは、この町、シークラドの付近に住み着くスライムの一種だけど、何もしなければ温厚なスライムなの。」


「なるほど!」


「攻撃魔法が使えない人は大抵スライムに手を出さないはずだけどどうしたの?」


「実はいせk...旅をしとるちゃけど、初めてやけん分からんかったとよ...!」


前の人に話しかけられたチカは質問され、異世界に来たことを言いそうになるが慌てて言い換える。


「えっと、旅が初めてなんだよね?」


「うん」


前の人は博多弁を少し分からないようだったが何と無く理解した。


「その言葉どこの言葉なの?」


「ふぇ?標準語じゃないと?周りの人みんなつかっとったとよ?」


「多分、標準語じゃないと思うわ...」

「そんなことなかばい(よ(強調))!!」

「ばい?...とりあえず標準語じゃないよ。どこ出身なの?」

「福岡ぁ~!」

「...知らないわね。おっと、私の番がきたわ。がんばってね!」


異世界人とまともに話したチカは博多弁が通じないことに驚愕したのだった。

今さっき前にいた少しローブを羽織った年上な紫のロングヘアーをした女性は検問をしている所にいき、カードを見せ、了承を得て、中に入っていくが、勿論チカはそのカードを持っていない。


「どうしよ?カードなかっちゃけど...」


すると突然誰かから耳打ちされる。


「チカさん」


「ふぁ!?」


「おっとすいません、貰ったポーチの中に、お金と一緒し入れておきましたよ」


「ああ、なんだ...」


チカに耳打ちしたのは法の神のセレシスだった。突然の耳打ちで驚いたチカにセレシスが謝るが、慌ててポーチの中からカードを出し、検問の騎士の人に見せる。


「Fランク冒険者のチカだな。よし。入っていいぞ!」


「ありがとー!」


検問の騎士の人から返されたカードは慌てて気付かなかったが銅製のカードで、そこには『Fランク冒険者、チカを証明する。発行先、冒険者ギルド、異能、無し』と書いてある。

異能貰ったはずなんだけど…っとチカが考えていると、検問を通ってきたセレシスに続いてアリアが入ってくる。のでチカは話を聞くことにする。


「異能がなかかった!どうしよ!?なかよ!」


「冒険者カードには超級異能と上級異能は出てこないんですよ。この世界では上級異能以上は少ないですし、権力者が囲んでいるためそうしたのでしょう」


「なるほど!」


チカはセレシスの説明に納得する。


「じゃあ、なんかお腹空いたけん、あそこに屋台あるけん、行かん?」


「わかったわ。食べる場所でも探しておくわ」


「了解しました!」


近くには屋台があり串焼き、揚げ物などがある。


「おっちゃん!それおいしそーやね!10本よか?」


「あ、ああ。十本だね。2本で銅貨1枚で銅貨5枚だよ。」


チカは硬貨の色で判断し銅っぽい光沢のある茶色のコインを五枚出す。


「これでよかね」


「ご注文ありがとうございます。もうすぐ焼き上がりますよ~。」


おじさんはつくねのようなものを串に刺したものに茶色いタレを塗り、それを大きな葉っぱで包んで紐で結んでチカに手渡した。

チカがどこで食べようか迷っていると奥に広場でセレシスとアリアが場所をちゃんと取ってくれたようだ


「ふぅ...。」


葉っぱを開けるとふわぁっと、湯気と匂いが立ち籠める。

二本をセレシスとアリアに渡すと自分の分を一本取り、ひと齧りする。どうやら魚を練ったものを串に刺して焼き、醤油ベースのたれで焼いたもののようだ。


「うまか~!!うち、これ、好いとる!」

「良かったわね」


っとチカは残り八本を結局一人で食べてしまうのだった。


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