第十八話、ゲテモノだけど美味いのはよくある展開
「では、クラーケンを回収しましょう。防護、解除」
串刺しになったクラーケンを引き上げる為に防護壁を解除する。だがその瞬間!!
「ギュルララァァアアア!!!」
怒り狂ったかのように聞こえるクラーケンの声。全員気が抜けていたのか、エルドとチカ達が乗ってる船に触手が急に伸び無抵抗に船が絡まれ、船の上に這い上がって来ようとする。
「くっ!予想外でした...。まさかクラーケンが2匹いるとは...!?」
「はぁ!?もう槍少ないぞ!?」
「駄目だ!こっちも魔力が無くて撃てん!!」
「このままじゃ沈むぞぉ!!」
クラーケンに捕まり、船はグラグラと揺れ、まともに立って居られない。そんな状態の中、黒い髪.....ショウが動いた。
ザッ!!
「はぁああああ!!っふっ!...ッチ!」
ッボト!!!
「ギュララララァァァアアアアア!!!」
ショウはクラーケンの触手目掛けて駆け出して居合切りで斬る。クラーケンの触手は断面が綺麗に斬られる。だが数本まだ残っており、ショウだけでは間に合わず沈没させられるだろう。
「ああ、もう...いい加減にしんしゃい!!」
チカは沈没させられるかもしれないという危機を今頃悟って魔法の準備を始める。
想像するのはクラーケンの頭部?に、ここら辺一体の太陽光を反射させ、焼き焦がす。クラーケンとの距離は自分から5mぐらいあると思う。範囲はここらの太陽光を出来るだけ集め、一点を貫く。時間は短くてもいい。火力さえあれば。
「ギュラアアアア!!!!」
チカが集中している間、ショウが二本目の触手を斬り、クラーケンの悲鳴が鳴り響く。その中、チカはクラーケンに向けて手を伸ばし大きな声で文句を言い魔法を発動する。
「まったく、せからしかー!」
その刹那、ここら一体の太陽光が一点に集まり周囲が真っ暗となり、クラーケンが光の柱によって照らされる。いや、光の柱によって貫かれるっと言った方がいい。
ジュウウ!!!ジュッワァアアアアアア!!!
「ギュラララララァァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
黒い煙と焼けるような音を出しつつ、クラーケンの悲鳴...いや、断末魔の叫びが木霊する。
ジュッワァアアアアアアア!!ジュジュジュジュジュウワアアアアア!!!!!!
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアァーーーーーーーーーーーーーーー!!!ギュルルルルルル!!
ギュルルルルルル!ギルルルル....」
クラーケンの断末魔の叫びを終末を遂げる。
「やった....のか?」
騎士の一人がそう呟く。
「俺たちは助かったんだ!!しゃあああああ!!」
「やったぞーーー!!」
「マジ...かよ!?」
焼ける音が聞こえ、周りが真っ暗な状態で勝利の雄たけびや歓声が聞こえる中...。
「チカさん。危ないですよ。」
っとセレシスが袖でチカの目を塞ぐ。すると、チカの魔法が切れ、反射していたはずの太陽光が真っ暗な周りを急に照らす。
「うわっ!?」
「ぐぁ!」
「きゃぁ!」
「目が!目がぁあああ!!」
急に光を当てられ、勝利の雄たけびや歓声を上げていた人たちは目眩しされ、船の上で四つん這いになるのだった。
「クラーケン討伐成功を祝しまして~乾杯~!!」
「「「「「「乾杯~!!!」」」」」」
エルドの声の合図でグラスとグラスがぶつかり合う。
クラーケン討伐を終了後、領主の屋敷に招かれ、宴を始めることになった。
作戦に参加した雷属性魔法が使える冒険者も招待され勿論、チカ達も招待された。
「結構、うまかね」
「100禾予あんなにグロテスクだったのに...有りね!」
目の前にはクラーケンに小麦粉を付けて上げたクラーケン揚げが大皿が次から次に運ばれる。
「もごもごっ」
頬に沢山クラーケン揚げを詰め咀嚼する。
外はサクサクカリカリで中はジューシーで噛みごたえがあり、旨みが次から次へと出てくる。
「もごもごっ。セレヒフ。もぐもぐっ。たこやひ作っとっふぇ。」
「食べてから話しなさいよ...。」
「チカさん。分かりました。作ってきます!!」
「はぁ...。どんだけ食べるのよ...」
チカは今日も異世界で美味しい料理を食べるのだった。
なお、たこ焼きはソースがうまく出来ず微妙だった模様。




