第十七話、クラーケンえずか
クラーケンを討伐する事になったチカ達はエルドと話し合う事になったのだが?
ボリッボリッ
「このクッキー結構うまかね。」
「確かにいいわね」
「雷属性魔法の使い手を冒険者ギルドで募りましょう」
「では私が防護の異能で船を守りますんで」
ほぼがセレシスとエルドの話し合いになったのだった。
まず、船の下方向に半円形を貼り、横と下からの攻撃を防ぐ。クラーケンを餌で釣って呼び寄せ、数本鉄製の槍で貫く。そこから雷属性魔法で感電死させる。至って単純だ。
この作戦の為に冒険者ギルドから冒険者を雇う。
決行日は明日。
「何とか、雷属性魔法の使い手さんが4人集めましたが...もう一人欲しいところです...。」
「う~ん。誰かいませんかね...。」
「うt」
どうやら冒険者ギルドに雷属性魔法使い手を募ったようだが足りないらしいので数えきれないほど属性魔法を持っているチカがおそらくあるだろうと返事をしようとするとアリアに止められ、耳打ちされる。
「出来る限り別の属性魔法を使わない方がいいわ。属性を持ち過ぎてると狙われる可能性あるわよ」
「そうやったとか。仕方なか」
チカはもう既に、2つ魔法を使っているのを見られた。まず光属性魔法。それとショウと戦った時に使った黒い煙を出す魔法、闇属性魔法。
「このまま、人が足りんままやったら倒しきらんし魔法考えとらんとね」
「いいけど...自重しなさいよね」
「分かっとる!分かっとる!」
そしてチカは頭の中で魔法を考える。
光か闇。光と闇は目眩し程度にしか使ったことがないし、有効打を与えられない。光は光を作る。反射させる。くらいか、闇は光を吸収する。届かなくする。影を操る。くらいしか思いつかない。いや、光は反射させる。くらいか?いや、光を一点に集めれば相当な火力にあるはず。
「多分、行けるけん。大丈夫そうやね。」
「大丈夫よね?それ。」
「うん。頭の中では行けとる。行けとる!」
「不安だわ...」
そして雲一つない空になった今日。
雷属性魔法の五人目は見つからぬままクラーケンを討伐することになる。
「雲一つなかね!!よかクラーケン討伐日和やね!!」
「確かにいい天気ですね!」
「よかクラーケン討伐日和ってなんなのかしらね...」
そんなことを言いつつ港に向かう。
港には五隻の船があり、そこにエルド君とショウさん、あと大勢の騎士と皮の防具やローブを着た冒険者っぽい人が4人いてエルドが全員に作戦の説明をしている。
「あ!来ましたね!この三人が協力者のチカさん、セレシスさん、アリアさんです。」
「お~」
「あれがあの」
「あの子が副隊長を倒したのか、あり得ん」
「へ~、あの子なんだ~」
「御三方にはもう作戦を説明してるので出発しましょう!」
「うぇ?」
「え?」
チカが話を全く聞いていなかったので結局船内で説明するエルドであった。
チカが入った船は1番危ない役の船で餌を与え逃げる役割である。他の船は。雷属性魔法と槍を撃ってもらう。
そして早速、沖の出ると...
「左前方に巨大な黒い影!!!巨大な黒い影です!!!」
1人の見張りをしていた騎士から知らせが入る。
「直ちに餌の準備をしろ!!」
騎士達が大きな網に入った大量の魚を運び出す。
「投下して下さい!!防護壁を貼ります!!」
エルドの合図で餌が投下させる。餌は縄で繋がっており、船に引っ張られる様になっている。
「ガヒュァアアアア!!!」
「なんあれ!?いっちょん、イカとかタコに似つかんっちゃけど!?」
そこには赤黒い牙や触手持った謎の生命体が蠢いていた。
「防護!!対象シークラド8号、半円形状!」
エルドがそう叫ぶと、緑の光が船の中心から広がっていき半円形の緑の薄い膜となる。
「クラーケンの周りを旋回して下さい!!!」
すぐさまエルドの指示が飛ぶ。
船を動かすと餌と繋がっているため、引っ張られる。
「ガァアア!!キュルルルル!」
クラーケンは餌に絡まりクネクネと動く。クラーケンが餌に絡まってくれたお陰でクラーケンが引っ張られ、クラーケンの上部が海から出る。
「槍、放て!!」
エルドの声が聞こえた瞬間、20を超える槍がクラーケンに向けて投げられ、刺さる。
「ギュルルルリヤヤァアアア!!!」
「今だ!!縄を切れ!」
槍の第2波が来る前に縄を切りその場からすぐに離れる。
「放て!!」
エルドの指示で槍の第2波が飛び、クラーケンに刺さる。
「ギュラァアアアアア!!!」
クラーケンの悲鳴が聞こえるなか、エルドが最後の指示を出す。
「雷。放てぇえ!!」
エルドの合図により各船から雷が走り、クラーケンを貫く。
「ギュラァアアアアアアアアアウウウウウウウウウルルルルルルルゥ!!」
クラーケンの断末魔の叫びが聞こえて徐々に声が弱くなっていき、聞こえなくなる。
「やったぞぞぉぉー!!」
「勝ったぞぉー!!」
「よっしゃー!!!」
喜びや歓喜の声が聞こえてくる。
だがしかし...そこにはもうひとつの黒い影が...こちらを見ているような気がした。




