第十五話、ねこみみはあいらしい。
ショウとの闘いを終えた後、あることを思い出す。
「そういえばうち、盾買ってもらったんやった!?忘れとった!」
「そういえば忘れてたわね。」
「ええぇ!片手剣の練習だから持ってなかったんじゃなかったんですか!?」
チカとアリアの反応にセレシスは嘆くのだった。
「それよりも、本来の目的もすっかり忘れてるわね。」
「そうやった!いっちょん気付かんかった!」
「私が買った盾が使われなかったのをそれ呼ばわりですか!?。」
「そうやね!食料とか買わんと!」
「後、行くための馬車の手配もしないといけないわね。」
セレシスがスルーされ話が進む。
「それもやね!よし、買いに行こ!じゃあね!」
『ドゴゴゴゴッ!!!!!』
まるでチカの声を合図にしたかのように地震が発生する。
「ッチ!いいか!町から出るなよ!?」
「グリード行くぞ!...」
そう言ってグリードとショウは訓練所を後にする。
「何やったとかいな?」
「恐らく津波でしょうかね?海が近いですし、あと地震での火災とか...」
「流石、セレシス。よう分かるとね!」
「えへへ...」
そんなことをしてると、大きな声が町中に広がる。
「町の外にいる方、直ちに町の中にお入りください。直ちにお入りください。海神の怒りが発生しますので防護壁を展開します。直ちにお入りください。直ちにお入りください。」
「すごい大きな声やね!」
「あれは、音属性の魔法わね。」
「おお!じゃあ、海神の怒りってどんなん?」
「津波じゃないですかね」
この間にも放送が鳴り響く
「防護壁を展開します。防護壁を展開します。」
その声が終わった後、町の中心の塔から緑の光が出て町をゆっくりと覆い、透明感がある緑の薄い壁が出来上がる。
「おおぉ!!すごか!」
「流石ですね。実はここら一体では地震が多く、ここしか港町がありません。それはなんでだと思いますか?」
「守りが固いから?」
「そうですがもう一声欲しいところですがまあ、正解です。ここには、防護の上級異能持ちがいて、この町を守ってくれているのです。それでその異能持ちは自然発生ではなく、最初に他の者によって与えられたもののようで、それが遺伝により受け継がれているようです。それがこの町、シークラドの領主のシークラド家の血筋です。」
「なるほど、だけどその血筋であるエルド君は護衛付けずに町歩い取ったけどよかと?」
「まあ、ここは治安が良くシークラド家は子孫が多いのでさほど気にしないのでしょう。」
そんなことを話していると波の音が聞こえる。
『ザッパァーーーーン!!!ズザザザザザザッーーーーーー!』
城壁と波がぶつかり合い、波で来た水が海に流れていく。
その音がひたすら流れる。
『ザッパァーーーーン!!!ズザザザザザザッーーーーーー!』
チカたちは訓練所から出ると子供たちがまるで台風が来た日に外に出かけたがるみたいな感じで遊んでいる。
「あれ大丈夫とやろうか?」
「まあ、ここでは稀にあることですし、安全だと親も分かり切ってるでしょう。」
「じゃあ安全ならよかね、旅のための物を買いにいかんと。」
「だけど、食料は高くなるんじゃない?」
「そうですね。魚も沖の方に逃げてしまいますし、魔物も波に流されてしまいますし。」
「え?じゃあ準備しきらんと?」
「はい。大体買い占められますし今いっても旅に必要な分もそんなに多くは買えないでしょう。」
「じゃあ、旅出来んと?」
「はい。時間が立たないと出来ないですし...波も引きませんしね。」
そしてチカは次の町へしばらくいけない事が確定したのだった。
それから数日後。
「ぐぬぬぬ!」
そしてチカはあることに嘆いていた。
いつもオーク骨ラーメンを食べている橋の上の屋台の看板に張り紙がしていた。そこには...材料のオークが波に流されたため、スープが作れ無いため店を閉めさせていただきます。それがどこもかしこも張られており、チカはオーク骨ラーメンを食べられなかったのだった。
「ぐぬぬぬぬ!」
「まあ仕方ないですよ...。」
「そうわよ。あと、店主にこんなものが渡されたわよ?」
それはなにかの家紋が付いた手紙であった。
「エルド君じゃなかとかいな?」
「とりあえず開けてみましょう。」
手紙をあけると丁寧な字で書かれており、手紙を送ったのはやはりエルド君だった。
それの内容は、津波が発生し、オーク骨ラーメンの材料であるオークが波に流されオーク骨ラーメンが作れなくなったので相談がしたいそうで領主の館に来てほしいそうだ。
「ふむふむ。うちは猫型〇ボットじゃなかよ!助けてどr」
「チカさんそれ以上はいけません!!」
「ああ、うんうん。」
セレシスがいつもより真面目な顔をしていたのでやめとくことにし、エルド君の家の領主の館へ行くことにする。
領主の館は中心の塔の近くにあり、塔と比べると小さく見えるが結構なサイズで『ザ・西洋』と言ってもいいほど西洋感が出ている白壁の灰色の屋根をしている。
敷地内に入ると、茶髪のメイドが一人走ってくる。勿論そのメイドにフリフリが付いてるわけない。ちゃんと実用的なものだがスカートの裾が短かった。それと!?彼女の上には!!明らかに、人間じゃない獣のお耳が。
「はぁ...。はぁ...。チカ様でございますね!!!」
「うん、エルド君に呼ばれたっちゃけどどげんすればよかっちゃろっか?」
「え、と...エルド様のとこまで案内しますね!!」
っと、茶髪のメイドは案内を始めるのでついていくことにする。
後ろ姿を近くで見るとやはり耳が気になる。お耳を見るとどうやらネコ科の耳かな?っと判断する。だがチカはいてもたってもいられず、耳に手を伸ばし、もふもふる。
「ひゃん!ややや、止めて下さい!!」
「もふもふぅ!」
怒られたので今度は頭を撫でる。
「よしよしぃ!」
「うにゃぁあ~!じ、じゃなくて!!も、もう行きますよ!!」
茶髪のメイドは嬉しそうに声を上げるがチカの手を払い、案内を続行し始めるため、前を向くが、しっぽが上がりメイド服のスカートが捲れ、パンツが丸見えになる。
「おおぉ!」
「ふふふっ!もふもふしっぽぉ!」
「ちょっ、ちょっと捲れてるわよ!」
「きゃあ!!」
チカとセレシスが歓喜の声を上げるがアリアが注意したので慌てて捲れたスカートを直す。
「み、見ました?」
「みてなかよ。」
「はい。見てません!」
「はぁ...」
チカとセレシスは満面の笑みで返事をし、答えたがその姿を見てアリアはため息をつく。
「...絶対見られてます。」
っと茶髪のメイドは呟き、顔を赤くし、恥ずかしがる。
「うううぅ!こっちです!?このへりゃです!!」
茶髪のメイドは錯乱状態に陥り、言葉を噛んでしまう。
「萌えぇ!」
「もふもふぅ!あいらしか!!」
「...」
チカとセレシスが喜んでいるようだがアリアは無言になってしまった。
茶髪のメイドはドアをコンコンッコンコンッっと叩き、入る。
「お坊ちゃま!お客様が来ています。」
「来たようだね。そしてミアルご苦労。よしよし」
「ふにゃ~っ!ふにゃ!?お、おやめください!」
エルドに頭を撫でられ一瞬茶髪のメイド...ミアルが喜ぶがすぐさま止めにかかる。その後ろ姿を見ているチカたちはしっぽをぶんぶん振っており、勿論のようにまた、しっぽでメイド服のスカートが捲れ、パンツが丸見えになる。
それにチカとセレシスが反応して声を上げる。
「おおぉ!」
「ふふふっ!もふもふしっぽぉ!」
「うにゃ!?」
チカとセレシスの声に反応しチカ達の方に向き慌てて、捲れたスカートを直すがチカの方に向いてしまったため、しっぽが上がりメイド服のスカートが捲れ、パンツが丸見えになってる姿をエルドに晒してしまう。
「うにゃああああああああああああ!?お坊ちゃまに見られましたぁああ!!」
ミアルは恥ずかしくなり、大声を出し部屋から出て行ってしまった。
「萌えだね。」
エルドはをそう呟き、それをアリアが耳に入り。ボソッと言う。
「こいつもか」