第一話 とりあえず異世界転移
今から始まる物語は、マイペースで天然で小柄なちょっと食べ物の目がない普通の女子高校生、 朝霧・千香が死ぬ事で物語が始まる。
今日は正月。おじいちゃんちで優しいおばあちゃんとおじいちゃんがおせち料理やカニなどがテーブルに並ぶ中、前には皿いっぱいのきな粉餅。チカはきな粉餅を頬いっぱいにまるでリスみたいにモグモグ頬張る。
「お餅ばりうまかー!モゴモゴ、やっpモゴモゴきなkフガ!!フッゴゴ!!!!!!」
「大丈夫かい!?」
「大丈夫かの!?」
「ふごごごぉ!!!」
「掃除機は何処いっとんじゃ!?」
「おじいさんや!それは、くいっくるわ〇ぱーじゃよ!?」
おばあちゃんとおじいちゃんは懸命に助けようとするが、チカは呼吸困難となり、酸欠で死亡した...。
そしてチカは永遠の眠りにつく。
はずだった...?
視界が自然と明るくなっていき、ネバリと、喉に突っかかる不快感と苦しさがスーっと引いていった。
ここが天国かと思うぐらいの心地良さを感じ、心なしか身体も軽くなり、自分が目を閉じていた事に気付く。
「大丈夫かの?死んでないかのう?」
「これが初めての試みですしね...」
「一応、息はしてるみたいだわ?」
優しそうなおじいさんの声、若い男性の声、若い女性の声が聞こえ、それに反応してぼんやりとしていた意識が目覚めた。
「......ふぁっ?」
目を開けるとそこには白髪のお爺さん、金髪の青年、赤髪のショートカットヘアの女性、銀髪の女の子と黒髪のロングヘアーの女性が顔を覗かせていた。
チカは突然の事に驚きの声を上げた。
「え?お餅は何処に行ったと?」
「......博多弁かわいいぃぃぃ!!!」
「え...?」
「やめなさいよ!?困ってるじゃない」
「ぐふっ!?いったぁあ!」
突然、金髪の青年が歓声を上げる。
が...赤髪のショートカットヘアの女性にスネを蹴られ、金髪の青年は痛みで転げ回った。
「私のどこがあいらしかと?どこかいっちょんわからんちゃけど?」
「それはもう、ただでさえ方言でかわいいのに、それにびしょうじy!?ぐわぁあっつ!!!ああっつ!?」
「あんたのせいで話が進まないのよ!!」
金髪の青年は地面に這いつくばっている状態でチカの質問に応えようとするが回し蹴りをされ、またしても悶え苦しんでいるがそれを放置して、赤髪のショートカットヘアの女性が話を進める。
「朝霧・千香ちゃん?貴方は正月に餅を詰まらせてしまって亡くなりました。あなたは記憶を忘れ、輪廻を繰り返すはずでした。そう、あなたは選ばれたのです。ある計画の先行者に」
「お菓子ばりうまかね!」
「駄目だこの子、まるで話を聞いていない」
黒髪のロングヘアーの女性がどこからか出した椅子に座ってこれまた出してもらったお菓子を頬張っているチカにジト目を送って、赤髪のショートカットヘアの女性は、別の話をする事にしたようだ。
「はぁ......私はアリア。第53代目の命を司る神よ。よろしくね?朝霧千香ちゃん?...そして、あなたたちも早く自己紹介しなさい?」
ため息をした後、自己紹介をしたアリアは他の者に呼び掛ける。
「...ふむ。儂の名はエルクリオ、第49代目の制作を司る神じゃ」
「えっと、僕は魔を司る神、シルです。第54代目です」
「私は初代、無を司る神ユキ」
「私は第53代目の法を司る神、セレシスでふ!!よっよかったら!好いとーと、って言ってくださいぃぃぃいい!!」
白髪のお爺さん、銀髪の女の子?それと黒髪のロングヘアーの女性と金髪の青年の順であいさつをされた。
金髪の青年、セレシスは土下座をし頼み込む。
「はぁ...」
「ぐふぉおおおおお!?」
セレシスが土下座をし、アリアはセレシスに踵落としをした。セレシスは地面に額をぶつけ、気絶しかけている。
「とりあえず、話を聞いていなかったことは話が進まないからスルーするわ。ある計画とは、異世界に善の心を持った100人の異能持ち転移者をばら撒き、文化向上させることよ。それで試しに一人を送ったら世界にどのような影響を与えるのか。それを試したいの。最初に言ったわね。あなたは先行者になるの」
「うん。めんどいけん。他の人に任せてよか?異世界の食文化発展してそうになかし」
「あなたがその食文化を発展させるのよ...。まあいいけど...あなたという記憶が消えて、したかったこととか食べたりのそもそもの思想が無くなって別の人に完全に生まれ変わるのよ?」
「...えっ?」
ポトッ...
チカは驚愕の事実を知り、食べていたお菓子を膝に落とした。
「貴方が思ってるものと違って天国なんてものは無い。死んだらすぐに別の生命体として生まれ変わる。そういや、前に人間から虫になった者もいたわね」
「その計画うけんやったら虫になると?」
「有りうるわ」
「計画受けるけん!それだけはやめてくれん!?」
アリアの言葉を聞き慌てて、チカは即答で承諾した。
「決まったわね。では、チカちゃんに異能を上げるわ。ユキさん?話し終わったわ」
「...終わったの?じゃあ、異能を上げるからこの本の中から選んで」
ユキは、手も平を上に向け前に突き出す。その間にチカは、膝に落ちたお菓子を回収し食べるのであった。
「...超級異能辞典よ。ここに有れ!」
ユキさんの手元に、どこから来た光の玉が集まり、本のような長方形状に成形される。
それは光っていたが光の光量が徐々に小さくなっていき、本が現れてた。
「...はい」
「ありがと!」
渡される。
本を開くとそこには、ひたすら言葉と説明が並んでいる。
威圧、高速計算、召喚、竜化、破壊、超再生、等価交換、蘇生、思考速度上昇、傀儡師、王の覇気、絶対命中、...............っと、ひたすら書いてある。
チカは。めまいがしてきたようだ。
「ユキ?検索ってしききらん?」
「...出来る。何がいい?」
チカは考えこみ、一つの考えをだす。
「前世の食べ物が出来るのがよかね!それで前世の物も食べれるけん!!」
「...わかった。前世の食べ物が作れる異能以外よ。消滅しろ」
ユキはチカから本を受け取り、他の文字が光の玉となり浮かび上がって小さくなり、消え失せた。
ユキから本を受け取ったチカは本を開く。すると、あんなに多かった文字が無く、白紙の中にポツンポツンと書かれてるだけである。
「わぁ!やばか!それどうなっとるん?いっちょん分からん。」
「今のは神級異能。その下は超級、さらに下は上級、そのさらに下は下級の異能がある。チカに渡すのは超級ね。さあ、選んで」
「うん。わかった!」
本にはちゃんとチカが要望した通りの能力が残っていた。
超級料理、再現、超級製作.......。その下には説明が書いてあった。
〇超級料理
超人的に料理の技術が上達する。
〇再現
本物より一段階低い物や技術を再現できる。物を作るときには材料を消費して生み出す。
〇超級製作
製作による手先の器用さが上昇する。
「うち、料理しききらんから。この中だと再現ばってんしきると?」
「...できる。チカに再現の異能よ、有れ」
何もないところから光の玉が現れ、チカの胸の中に入ってくる。
「なんか力が湧いた気がしないっちゃけど?」
「大丈夫。後、異能を使うときは、異能名を言うこと」
そして、ユキは、銀髪の女の子?のシルの近くによる。
「...終わった」
「じゃあ、次は僕だね」
そしてシルが前に出てくる。
「前世の地球には魔力が無かったからハズだし、僕からは魔力を君に上げよう」
「もしかして魔法使えっと!?」
「うん!出来るよ!これ、もって!」
「うん!」
シルから受け取った物は、紫の少し透明感がある卵型の球体だが、チカの手に当たるとまるで氷のように少しずつ溶けていくが、水はでない。
チカが面白そうに紫の少し透明感がある卵型の球体をにぎにぎと遊んで、最後まで溶かした。
「僕からはこれだけ。お爺ちゃん、終わったよ!」
シルは白髪のお爺さんエルクレオに大声で呼び、エルクレオがこっちに来る。
「儂がやるのはこれじゃ!この異空間ポーチじゃ」
「異空間ってばりよかね!明らかに入らん物が入れれるっちゃろ!」
「そこまでわかるなら説明入らんじゃろう」
「ありがとう。大事に使うけんね!」
エルクレオから革製のショルダーポーチを渡され、チカは喜んで付ける。
と女性陣の二人から声がかかる。
「チカちゃん、流石にその格好で行かせれないから、服を準備するわ!ユキさんよろしく!」
「ん?ってうわっ!?いつの間にか着替えとるし...」
「...うん。多くの服よ。有れ」
チカは貫頭衣を着ていることに気付いて驚く中、多くの光の玉が集まり服っぽい物に成形し服となる。
ユキは男性陣を見て異能を使った。
「...エルクレオとセレシスの五感よー、消滅しろー」
エルクレオとセレシスは倒れこむが他のものは気にしない中、シルが首を傾ける。
「えっ?」
「さて、チカちゃん、着替えるわよー!」
「...うん。片っ端から着せていく」
チカが服を脱ごうとしているとシルが反論してくる。
「え!?僕、男の子だよ!!なんで五感消さないの!!」
「シルちゃんだからいいのよ」
「...シルならいい」
と意味が分からない説得をされ、シルも結局ゴスロリ服を着せられる。
「もう、お婿に行けない...ぐすん...」
シルが落ち込んでいるのは無視をされ、チカちゃんに服を着せていくと、紺色の服に茶色のレザーアーマーを着せて落ち着いた。
「出来たわね!」
「...うん」
「この服愛らしかね!!」
チカは服を気に入ったようだ。
「さて、これで異世界に行く準備は整ったわ!あっちに行ったら、エレシスが先導をやってくれるんだけど......。心配だから私もついていくわ!だからちょっと異世界に先に行ってってくれる?」
「うん分かった。先に行ってればよかとね!」
「じゃあ転移の魔方陣、出す。」
アリアの説明を受けたチカは返事をし、それを聞いたユキが準備をしてくれる。
「*ui`+v+pkの世界の転移の魔方陣よ、有れ」
光の玉が空中で集まり、きょだいな光の玉となった。その後その玉は地面にゆっくりと沈んだ。
光が地面から垂直に漏れ、光の柱ができる。
「出来た。もういける。じゃあね」
「うん...」
ユキは手を振り、お見送りをしてくる。光の柱に興味が出てきた・チカが静かに頷いて、光の柱をちょんちょん、指先で触った後、ユキの方に振り向く。
「みじかか間やったばってん楽しかった!」
といい、チカは光の柱に入っていき、やがて姿が見えなくなったのだった。




