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依頼内容その7:菓子作りの少女

執筆時間が取れず久々に続きを書いたところ、キャラの性格が結構変わってしまったような気がします。

もし、続けて読んでくれている方がいましたら申し訳ありません。

依頼主の少女ニーナとは正式に契約を交わすことになった。

目的地との往復にかかる時間は、ストライカーギアであれば1日といったところだ。

スケアクロウの修理について工場に確認を取ってみたところ、ちょうど他のストライカーギアの修理は入っておらず、駆動系に絞れば半日で修理できるとのことだった。

ツトムもメンテナンスの手伝いで工場に向かうとのことで、合流は翌日の朝となった。

カズトは、ニーナの依頼についてコルトに説明するため彼女とコンタクトを取った。

小型の携帯通信端末を使っているが、この技術はストライカーギアが開発される前から存在する技術で、もうその頃に完成してて未だに当時の仕組みのまま現在も使われている。

生き残った数少ない技術の一つなのだ。

話を聞いたコンチェルトは、情報収集にまだ時間がかかりそうなのでニーナの依頼を優先してもらってかまわないと快諾してくれた。


「そういう事情なら、その依頼を優先してあげて。」

「すまない、そっちに話をする前に決めてしまったのはルール違反だと思ってる。」

「気にしなくていいわ。助けてあげたかったんでしょう?」

「そうだとしても、それは俺のわがままだから、なにか埋め合わせを」

「うーん、そうねぇ、そこまでいうなら、何か考えておいてあげる。ところで、ニーナちゃんは今日の宿を決めているの?」

「あ、」

「今すぐ確認して、今すぐ」

「あ、はい」


突然、コンチェルトの声色が変わり気おされたカズトは言われるまま、ニーナに今日泊まるところがあるか確認した。

ニーナは、「えっと、その、、、お、お金が、、、」といって黙ってしまった。

しまった。そりゃそうだ。カズトは少し考えれば気が付きそうなことにどうして気が付かなかったのかと自分にあきれた。

きっとツトムが居たら、「そういうところにちゃんと気を使わないから、女の子にモテないんだよ」とかテキトーなことを言ってからかってきたに違いない。

カズトが状況をコンチェルトに伝えると、「そう、分かったわ、ニーナちゃんに代わってもらって良いかしら?」といわれた。


「ニーナ、ちょっと俺の知り合いが話がしたいって言ってるんだけど、代わってもらっても良いかな?」


ニーナは、少しおびえながらも携帯通信端末を受け取ってコンチェルトと話し始めた。

最初こそ、警戒か声色に出ていたがすぐに打ち解けたようで明るい声と表情になる。

その様子を見てカズトは、なにがなんだか分からないままホッとした。

やがて会話が終わると、ニーナがコンチェルトが自分の宿に泊まっていくことを提案してくれたと嬉しそうに話してくれた。

それを聞くと同時に、端末のほうに宿屋へのたどり方が送られてきた。

うん、良い宿に泊まっている。

カズトは若干の格差社会的な現実を不意に突きつけられ、少し気が重くなったが、ニーナを連れてコンチェルトの宿へと向かう。

途中、まだあいている店があったので明日の朝食になりそうなものを買うため寄ることにした。

なんとなくニーナに好きなおやつがあるか聞いてみたところ、コンチェルトと会話した後で緊張がほぐれたのか、少し自分のことを話してくれた。


「ニーナ。好きなおやつとかあるか?」

「えっと、クッキー、、、」

「おー、クッキーか」

「はい、でも、食べるより作るほうが好きかな、弟やお姉ちゃんが喜んでくれるから」

「スゲーな、自分で作れるのか」

「い、一応、、、」

「そうか、料理は好きなのか?」


料理という単語に対して少しうーんと考えてから、ニーナは恥ずかしそうにこう答えてくれた。


「えっと、お菓子作りが好きです。たくさんお菓子を作ってみんなに美味しいっていってもらいたい」


もしかしたらそれは、ニーナにとって夢に等しい叶えたいことなのかもしれない、とカズトは思った。


「でも、最近はお菓子の材料まで買う余裕なくて」

「そうか、そいつは残念だな」

「はい、そしたら、弟が、リクが自分たちで材料を作れば良いって、あの子、体が弱いのに無理して畑作るって言い出して、農家のおじさんのお手伝いして小麦の種を分けてもらったり」


そう言うと、ニーナはまた黙ってしまった。

弟のことを思い出してしまったのだろう。

やってしまった。

カズトは少し涙目になっているミーナをみて、地雷を踏んでしまったと気が付いた。

はたして、こういう場合どうすべきなのだろうか。

さっぱり分からない、分かるはずがない。

ツトムなら何かジョークでも言って場を和ませるんだろうか?

まて、そもそもジョークってどうやって言うんだ。


「ニーナ。大丈夫だ。薬は俺が届ける」


そういうのが精一杯だった。

そして思い出した。

昔、自分も同じように、兄さんや姉さんに大丈夫だと言ってもらった事を。

一番面倒を見てくれたのはロム兄さんだ、いたずらや失敗して怒られる時に一緒に居てくれた。

そしていつも、笑いながら大丈夫だって言ってくれた。

自分は人を安心させるような笑顔はムリだ。

カズトはそう思うと、ニーナの頭をなるべく優しく撫でた。

ニーナは何も言わず、押し黙ったままだったが泣き出すようなことはなく少し落ち着いたのではないかとカズトは思った。

コンチェルトの好みは分からなかったが、ニーナと同じものを選んで会計に持って行く。

すると、会計の担当者が商品の値段を読み取りながら、フランクに話しかけてきた。


「お兄さん、誘拐犯?」

「ちげーよ!」

「そうかそうか、じゃ、ロリコン?」

「そっちでもねーよ!!」

「まさか、人売り商人!?」

「おう、他にまだネタ持ってるか、もってたら言ってみろ」

「あはは、怒った?」

「この店は、商品じゃなくて客に喧嘩を売ってるのか?」

「お、うまいねお兄さん、じゃコレをおまけしてあげよう」


店員は余り物の駄菓子をいくつか袋に詰めてカズトに渡してくれた。

どうやら人をからかうのが好きらしい。

会計を終えて、ニーナと一緒に店を出た。

道中、おまけで貰った駄菓子を確認したが、クッキーを連相するようなものはなかった。

これならニーナにあげても大丈夫そうだ。

少し時間を食ってしまったが許容範囲だろう。

コンチェルトの宿に到着後、部屋の近くで合流した。


「あなたがニーナちゃん? はじめまして、コンチェルトよ」

「はい。はじめましてコルトさん。ニーナです。その、お世話になります」

「いいのよ、疲れたでしょ。お風呂入ってゆっくりなさい」


コンチェルトはニーナを部屋に案内すると、しばらくして戻ってきた。


「遅かったわね」

「悪い、少し寄り道した」

「年端も行かない子を連れて、こんな遅くに寄り道、、、ねぇ」


コンチェルトの視線や言葉が痛い。


「すまない、その、明日の朝食になりそうなものをと思って」


そう言って先ほどの袋を渡す。

受け取ったコンチェルトは中身を見て、こう言った。


「そう、貴方なりに気を使った結果ということなのね。理由は分かったけどこんどから気使いの中にも優先順位を持つといいわ。ここは比較的に治安の良いほうだけど物取りにでも襲われたらどうするつもり。ニーナを守りながら対処できた?」

「それは、、、」


正直考えてなかった。

そうか、行動基準が自分にしかなかったんだ。


「ごめん、考えてなかった。確かに言うとおりだ」

「そう、ならこれ以上は言わないわ」


そういうと、コンチェルトは部屋に戻ろうとした。

カズトは去ろうとするコンチェルトにあわてて声をかけた。


「明日の段取りは出来ているから、ニーナはゆっくり寝かせてやってくれ。できれば、俺が薬を持って帰ってくるまで一緒に居てやってほしい」

「そうねぇ、確かにそのほうが良いわね。わかったわ」

「ありがとう、それじゃ、今日はこれで」


その言葉を聞き届け、今度はカズトがその場を後にしようとする。

今度はコンチェルトがカズトの背中に声を掛けた。


「お土産は、美味しいチョコレートでいいわよ」

「え、なんて名前?」

「さあ、私も美味しいチョコレートがなんて名前なのかわしらないわ」


そういってニヤッと笑うとコンチェルトは部屋へ入ってしまった。

つまり、自分で調べるなり聞くなりして彼女の満足するチョコレートを買って来いということか。

今後、彼女に対して安易に借りを作るのはよそうとカズトは心に誓った。





読んでくださった皆様、ありがとうございます。

なんとか続けて書いていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。

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