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依頼内容その4:奇襲

カズト達の護衛する輸送列車はダミーの輸送列車と共に目的地へ出発した。

敵勢力も街のすぐ外で待ち構えているわけもなく、しばらくはゆったりとした旅となる予定だ。

こちらが想定している奇襲ポイントは2つ。

逃げ場のない、切り立った山肌を通る時か、目的地付近の大きなトンネルを通るときだ。

それ以外の場所は見通しが良く奇襲に向かない。

大規模の部隊でイナゴのように突っ込んでくるなら話は別。

迎え撃つこちらとしては、そうならないことを祈るばかりだ。

街を出てから2時間ほど経過し、険しい山岳地帯に突入した。

この山は、ネイションとソシエートの戦いの前から存在し、幾多の激しい戦闘を見守ってきた。

荒れ果てたロストグランドの大地にあって、深い緑を残す数少ない場所だ。

その神秘性も合って色々な噂が流れている。

ちょうど暇をもてあましたのか、ツトムが回線をつないできた。


『カズト君さぁ、この山の話知ってる?』

「ああ、そこそこな」


たとえば、この星がぶっ壊れてしまうほど強力な爆弾が眠っているとか、伝説のストライカーギアが隠されているとか、この山自体が生物兵器で地下深くで行われている研究が完成すれば、全てを破壊してしまうとか。

他にも色々な噂があるが、行く先々によって異なり、どこに行っても必ず出てくるのはこの3つだ。


『人間はさぁホント、噂話とか好きだよねぇ』

「お前みたいなやつが多いんだろ」

『えー、カズト君は気になったりしないのか〜』

「ああ、腹の足しにもならねぇし」

『やれやれ、同じデスペラードでもコルトさんとは違がって夢がないねぇ』

「黙れ、話したいことがあるなら、手短にな。」


カズトはレーダーの索敵範囲内に何もないことを確認しつつ、ツトムの話を聞く。


『さっすが、わかってるー』

「早くしろよ、敵が来たら聞いてられねぇぞ」

『はいはい、じゃ手短に』


そう言うとツトムはそれまでの軽い声色とは一変して、まじめな口調で話し出した。


『彼女にも同じような話をしてみた。まぁ、深い狙いはなかったよ。向こうも軽いお付き合い程度だったんだけど、伝説のストライカーの話を出したとたんに何かこう空気が変わったような気がした。』

「デスペラードなら、少なからず伝説の機体って単語には惹かれるもんじゃないか?」

『いや、そういう感じじゃなかった、それに彼女の話じゃその伝説、俺達の知ってる話と違うというか、情報が追加されているんだ』


ツトムが聞いた話では、伝説のストライカーというのは最初に建造された13体のストライカー・ギアの1体だという。

かつての超大国が作成した最初のストライカー・ギア13体は、ネイションとソシエートに勢力が分かれた際に同じように2分された。

しかし、最後の1体はどちらの勢力にも属することなく、どこかへ行ってしまった。

ネイションとソシエートによって行われる争いの行く末を見守る為に。


『カズト、こんな話聞いたことあるか?』

「いや、聞いたことないな。最初に作られたストライカーが13体だって話すら他じゃ聞いたこともない」

『俺もだ。そういうわけで、あのベッピンさんは、ロストグランドでは一般に知られていない情報を俺たちに流した。都合よく、そのおとぎ話の関係するところでな・・・・・・』

「確かに引っかかりはするけど、ツトム、お前の作り話の可能性だってあるんだぜ?」

『あっれー、カズト君どうしちゃったの? 君、女性苦手でしょ? どうしたのそんなに肩持っちゃって、あ、あれかい? 惚れちゃった系かい!? それならそう言ってよ、僕協力するよ? ナイスアシストしちゃうよ?』

「冗談だよ。なんなんだよいきなり食いつきやがって・・・・・・」


その時、スケアクロウの索敵レーダーに一瞬敵影が映し出された。


『索敵範囲を確かめに来たみたいだな。おそらくあちらさん一気に来るぞ』

「ちょっとは頭が回るみたいじゃないか、俺が出る」

『了解、コルトさんと運転手のオッサンには状況を伝えておく』


敵はトンネルではなく、切り立った山肌の上を行くルートで奇襲をかけてきた。

山頂方面から、山の斜面を下ってストライカー・ギアが近づいてくる。

その数3体。

思ったほどの数じゃない、陽動がうまく行った様だ。

珍しく運がよかったな、カズトは少し安堵した。

敵の数が少なければ、被害も少なくて済む。

コンテナの中には医療品も含まれている以上、損害を受けるわけには行かない。

列車最後尾のコンテナから飛び出し上昇したたカズトは、目くらましに今回装備しておいた連射性の高い中距離用のライフルを打ち込む。

敵ストライカーはブーストで回避を行うと、今度はカズトを囲むようにスケアクロウの正面に1機、背後に2機が回りこんだ。

普段なら、カズトもここで距離を詰めたりはしないが、今回は正面の機体に詰め寄った。

相手はカズトのほうに向いたまま後ろに引いて、ライフルを撃ってくる。

カズトは真後ろに敵が詰め寄ってきているのを確認しつつ、ブーストを切って垂直に下がった。

ライフルはスケアクロウの背後に迫っていた敵ストライカーに当たり、動きが止まる。

着地したカズトはスケアクロウを旋回させ、姿勢を崩した敵ストライカーに狙いを定めライフルを連射した。

敵ストライカーは激しい火花を散らし爆炎に包まれていった。

結果としてフレンドリーファイアをしてしまった敵ストライカーは、逆上したようで直線的に突っ込んできた。

さっきとは真逆の状態となり、今度はカズトが後ろに下がりながらライフルを放つ。

相手はこちらの弾丸に突っ込む形となるが、こっちは相手の弾丸からは逃げる形となる為、少し旋回しつつ下がるだけでほぼ回避できる。

わずかな時間で、突っ込んできた敵ストライカーも爆炎に包まれ動かなくなった。

あっけないとカズトが思った瞬間、残った最後の敵ストライカーに側面から攻撃を受ける。

先ほどのストライカーは闇雲に突っ込んできていたわけではなく、スケアクロウの行動を制御していたということだ。

バランスを崩したスケアクロウを見て好機と判断したのか、敵ストライカーはブレードを構え突進してきた。

敵ストライカーのブレードは、ヒートブレードと呼ばれる武装で高熱剣で相手の装甲を切り裂くものだ。

さらに、今回装備しているのは、チェーンソーのように細かい刃を付け回転さ通常より攻撃力を高めている。

防御体制をとろうとしたが、間に合わない。

バランスを崩し、満足に防御ができない状態のスケアクロウに対して、敵ストライカーが迫る。

ヤバイ・・・・・・、流石にただではすまないとカズトが思ったとき、発熱により赤々と輝く敵ストライカーのヒートブレードが、スケアクロウに振り下ろされようとしていた。




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