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依頼内容その10:壊すことでしか進めないから

「カズトさん、カズトさん。」

心細そうな声、守らなくちゃ・・・

守る? 壊すくらいしかできないじゃないか。

何を言っている? 忘れたか? この旅の始まりを。


今までに何度奪った? いくつ壊した?

もう、いまさら、何を守れるというんだ。

守る資格があるって言うんだ?


「いい加減に起きてくださいよ! カズトさん!!」

「うぉ!?」


先ほどとは打って変わって、耳がキーンとするほどの声。

無理やり意識を覚醒された。

それと同時に、体中に痛みが走る。


「よかった、生きてた、、、」

「ニーナ。悪かった、ドジ踏んじまった。」


辺りを見渡すと、スケアクロウのコクピットの外にいた。

スケアクロウは瓦礫に埋もれて酷いありさまだ。

そういう自分も、ところどころ傷の手当てがしてある。


「これ、ニーナがやってくれたのか?」

「私、包帯を巻くのあんまりうまくなくて」

「いや、十分だ。すごいんだな、ニーナは。」


ポンポンと頭を撫でてやった。

それでも、ニーナは少し申し訳なさそうだった。

一体この子は、どれだけの地獄をこの歳で見てきたんだろうか。


「お互いボロボロだな、それでもお互い生き残ったか・・・」

何とか立ち上がると、スケアクロウのコクピットへ近づいた。

「なるほどな」

コクピットのシートを見ると、耐衝撃用のエアバッグがニーナの方だけ起動

している。

そんなもの付いてなかったはずだが、ツトムのやつめさては自分がサブシート

に乗るとき用に付けやがったな・・・

「ファインプレーだ、ドチクショウ。さすが俺の相棒だ。」


あらためてこの周りを再度確認してみる。

どうやらここは、洞窟のようだ。

はるか上空から光がかすかに漏れているのがわかる。


ああ、そうだ、ニーナの依頼で街に向かっていて・・・

もうすぐ街に着くってところで、奇襲を受けたんだ。


先行していた、俺たちにミサイルが数発飛んできて、

コンチェルトが撃ち落とした。


でも、そのミサイルは、爆発によって電子機器の機能をダウンさせる金属片を

ばら撒く特殊弾だったのは計算外だ。


爆発で飛散した金属片は、スケアクロウの周辺に降り注ぎ機体の機体の制御を

マニュアルに切り替える間、一時的に行動不能となった。


その少しの間に、4体ほどのストライカー・ギアに周囲を包囲され、応戦した

コンチェルトとツトムも数の差で俺たちに近づけない状態だった。


ただ、そのこと自体は、俺達にとっては幸運だったといえる。

相手は、スケアクロウがもう行動できないと思い込んでいたため、撤退行動に

のみ注意をしていた。


スケアクロウを捕獲しようと近づいてきた1機のコクピットにめがけて、

ブレードを差し込む。

コクピットではなく、燃料タンクとジェネレーターを目掛けて。


このブレードは、一般的に使用されている熱を持たせたり、細かい刃をつける

などで切断力を上げるタイプとは異なり、刃の内側に爆薬を仕込んで、差し込

んだ衝撃をトリガーに爆発を起こす特殊なものだ。


こちらも爆発に巻き込まれる形となるが、この武器を使う以上は計算のうえ。

計算外だったのは、爆発によって地面が割れてそこに飲み込まれたことだ。

何とか着地の姿勢を取らせて・・・そこで気を失ったのか。


「ニーナ、ごめんな、こわかったろ、平気だったか」

「私は、ほとんど一瞬のことで、何が何だかわからなかったから・・・」

「怪我無かったか」

「びっくりしましたけど、痛いところはないです。」


どうやら、ニーナは大丈夫そうだ。

なら、早いところこんなところからは脱出しよう。


「ニーナ。もう少し待っていてくれ、助けを呼べるかどうかスケアクロウの

機能を確認する。」


カズトがスケアクロウの起動を試みようとしたその時。


「まて、奴らはまだその辺を見張っとるようじゃ」


洞窟の奥から、いかにも偏屈そうな爺さんが姿を現した。

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