表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/17

第2章-2

オーディションは終了し、意見は分かれたが矢野はどうしても最後の日野麗を抜擢したかった。

写真を見せて似ていることを強調し、半ば強引に意見を押し通して彼女が採用されることとなった。


麗はぶっきら棒な様子で矢野の前に現れた。


「アンタがウチを押したそうやけど、何でやの?ウチそんなにやる気無いさかいな!」


いきなりこんなことを言われたものだから、呆気にとられてしまった。


「それじゃどうして、このオーディションに参加することになったんだい?」


「友達がラジオ聴いてて勧めてきたのにノッた感じやな。仕事も無かったしな」


めぐに顔は瓜二つ似ているものの、しゃべり方がどうしても気にいらない。それにやる気が無い?

仕事が無かったから?普通、初対面でこんなこと言う人間がいるのだろうか?初めて彼女を見た時は

胸がときめいたが、それも一気に失せてしまった感じだ。


「とにかくギターがマネだけでも出来るようになるのが最低条件です。社にギターがありますから、

それをお貸ししますので、練習してください。解らないことがあったらいつでも聞いてください。」


矢野はこんな彼女であっても出来るだけ丁寧に話すようにした。


「ギターが用意されているなんて、さすが音楽雑誌やな。でもどう弾いていいかさっぱりやねん。

それにウチ、大阪戻っても住むところがあらへんのや。東京で何処か用意してくれんやろか?」


矢野はやれやれという感じで、とにかくミュージックジャーナル社に麗を連れていくことにした。


編集長に相談し、とりあえずウィークリーマンションを彼女にあてがうことになった。

しかしながらすぐに住めるわけではないので、カプセルホテルで当座をしのいだ。


翌日になって、めぐと親交が深かった高坂みゆきに当時の思い出を聞くという取材があったので、

彼女と対談することとなったのだが、行き場の無い麗も矢野についていくということとなって、

矢野にとっては不本意であったが、高坂と彼女を逢わせて反応を見たいという期待もあって連れていく

こととなった。麗には出来るだけおしとやかな振る舞いに徹してくれと要望を言い、それは今から

役作りという仕事の一つだということで納得させた。待ち合わせのホテルロビーで2人は高坂の前に現れた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ