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プロローグ
この世界は、広い。
高山もあれば、広い海もある。
砂漠もあれば、草原も、大森林もある。
そんな世界の中。人間はあちこちに町を作り、暮らしている。
たまにはイザコザもあるが、大きな戦いが起こるには、世界に対して人間の数はあまりにも少ない。
だからおおむね、人々は平穏に暮らしていた。
十年前の、あの日までは。
突如、この世界に魔物が現れ。それらは瞬く間に、世界中に広がった。
今、魔物がいない場所などほとんどない。
人間たちは、それぞれの街に孤立して住まい、魔物におびえて暮らすしかなくなった。
そんな中。
十五歳の少年、アレフは。誕生日の朝、母親から幼い頃に亡くなった父親の話を初めて聞かされた。
高名な戦士だった父親は、遠い国で何者かと戦って命を落としたという。
アレフは、父親の死について知りたいと思い、旅立ちを決意した。
……と、そんなこととは全く無関係なところで、別の物語が始まる。