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色のない仮面

僕は学校へ歩を進めていく

手に持っているものは、何の変哲もない、よれた鞄と

色のない仮面


学校の門をくぐり抜ける前

僕はその仮面をかぽりと顔にはめる

仮面は、どこかしらの安心感と、罪悪感を僕に与える


「あぁ…僕はずいぶん便利な機能を持ち合わせたな」


胸の内で呟く独り言は、暗闇に溶け込んで

しゅわっと音を静かに立てて消えていく


僕が仮面をはめていることに、誰も気づかず

安堵のため息を、僕は少し吐く

仮面が、僕の息で薄っすらと曇る


だってそれでいいんだもの

だってそれが一番だもの

だってそれが迷惑かけないから


でも、ときに息苦しくなる

仮面を外してしまいたくなる


理由は自分でもわかっている

笑ってしまうくらい、簡単に解決できる


だって、この仮面には

鼻と口の部分が開いてないんだから

自分で閉じちゃったんだから


今日も明日も明後日も

僕は望まない朝を

色のない仮面と共に迎える

僕を置いてけぼりにして

朝日は何のためらいもなく、空へ上り

必要としていないのに、透明な仮面に光を分け与える


そんな様子に

僕はなぜか腹が立ち

道端に生えている雑草を

思いっきり蹴とばした


色のない仮面は

その日から、黒色へと色を変貌させたのだった








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