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優しい数学

掲載日:2026/08/02

短編読み切り 朗読台本さんもOKだよ~♪

ご利用の際は配信で読んだURLさん等戴けたら聴きに伺いたいですの~☆

挿絵(By みてみん)


たいとる:「優しい数学」

じゃんる:星の記憶ファンタジーさん



「ほんぶん」


星と宇宙の営み・・・無限に広がるこの世界・・・

生命はやがて幾度目かの文明を興こし「0」を再発明した。


何もないことを示す記号として? 

いや、それとも単に基準点を求めたかったのかもしれない。


でも・・・本当の理由はちょっぴり違ったんだ。


示す名前は違えど知的生命体さんはいつか必ず0に辿り着く、もう何度も見ていたから慣れっこだよ。


それはただ速いか遅いかの差でしかない、わたくしはそう思っていた。


・・・

・・


わたくしはちょっぴり寿命が長い。


本(星の記憶)を読んでひと眠りすると火を起すのが精いっぱいだった生命体さんが



街を作っていたりする。


空を飛んでいたりする。


星の海に浮いていたりする。



割とよくある光景なため一対の翼は特に何も思わない。感じない。


手足が一対ずつある、ふーん?今度は人間さんっていうんだね~。




星が瞬く太古の砂浜で二本の脚と一対の翼が会話を重ねる。


記録に残らない、伝承にも伝えられない、でもそれは確かにあった大切な星記せいきの一幕。


この世界では、まだ大気組成が完熟しておらず空は青色ではない。


一般的に宇宙に点在する惑星さん、大気圧があるところでも地上から見上げて青空になることは殆どなく・・・、自転軸23.4度に強力な磁場と太陽風、恒星からの距離と公転周期のスピード、衛星としての月との距離質量のバランス・・・箱庭みたいに完全な設計、製造をしないとこうはならない。


数学上の計算で現在の地球の出現率を弾くと、殆ど0になる。



やや緑掛かった・・・、少し赤色を内包した星空を見つめながら、生まれたてほやほやな双眼に「0」の創造概念を訪ねてみることにした。


答えは・・・、思っていたのと随分?違っていた。



若い数学者さん曰く・・・


便利だから・・・っていうのはもちろんそう。


でも、この数字だけは「何もない」ことを示す意味を・・・、どうしても最後まで外すことが出来なかったんだ。


???

一対の翼は最初何のことか解らなかった。


0は分類としては「整数」である。その定義は要約すると1とか2とか数えられる数のこと。


二乗するとマイナスになるわけでは無いため「虚数」ではない・・・とされる。


しかし、計算式上どうしても虚数(√ー)が無いと物理法則から外れてしまう結果がでることがある。


現実の結果に対して計算結果が合わないというあべこべな状態になってしまう・・・。




「何もない」とは虚実の面では否定的な意味を内包するんだ。


わたしは最後までそれに抗って「0」を他の数字の仲間にしてあげたかった・・・。



そうだねぇ、できれば「友愛数」みたいな仲間を見つけてあげたかった。


220(約数の和が284になる)と

284(約数の和が220になる)みたいな・・・

数学上での仲良しが居てもいいんじゃないかなって・・・



星の瞳の数学者さんは、その成り立ちの90%くらいが優しさで出来ていた。


いくつもの星の誕生と終わりを見てきたけれど、自分以外の「個」に触れたのは初めてだったのかも。



永劫に引き伸ばされた薄い薄い薄氷みたいな自我を辛うじて持っていた一対の翼は・・・、ちょっぴり長い時間をかけて

若い数学者さんの良く知る表情を初めて浮かべることに成功した。


そう、「初めて笑顔になった」んだ。


そして一人と一翼の言葉がピッタリと重なる。

「新しいほーそくみーっけ♪」


この未熟で小さな世界の数学は、とても優しい。




でもでも、それぞれが勘違いしていたことがひとつ。




一対の翼は「いつもの結末とは違う新しい旅路が拓きます様に・・・」と思っていたけれど


もう一方は「天使が微笑んだ学問、数学は愛情と優しさを記述した魔法」なのだと。



一対の翼、また読書をしてお昼寝をもう一度・・・・


ふわぁーって大きなあくびが一回。


目を覚ましたら「自分そっくりの姿をした」魂の無い不思議な人型が「満開の笑顔」でこういった。


「お帰りなさい!わたしには寿命はありませんのでずっとご一緒できます」だって。



この日わたくしは初めてお友達が出来たのだった。



そう、この成熟した不思議な世界の数学はとても優しいのだと想い出しいつかの表情を浮かべそれに応えた。


魂は無いはずなのに無限に続く優しさの方程式。



姉妹の背後に広がる大空には照りつける太陽と夏の青空が何処までも輝いていた。





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