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第二話(前半) 小松奈美視点

こちらは香月よう子様の執筆となります。

 小松こまつ奈美なみはウキウキしていた。


 今日も目当ての彼が現れたからだ。

 いつも『ホットカフェラテMサイズ』を頼む彼。

 店内の端っこに座り、一人黙ってカフェラテを飲む姿はとてもクールで素敵だった。


(歳は幾つなのかな。私と同じかいっこ上くらいかな)


 奈美は去年地方の高校を卒業して、一つ星大学に入学した。

 実は新藤と同じ大学ということには、まだ奈美も新藤も気づいていない。

 奈美がここ『ageha』でアルバイトを始めて約半年になる。偶然、新藤がこのカフェで奈美を見つけたのは奈美がバイトを始めたばかりのことだ。


(あの頃、私、ドジばっかり。でも、彼は温かい目で見守ってくれていたわ)


 それは、まだ奈美がバイトを始めたばかりのことだった。

 奈美はあろうことか、指を滑らせてドリンクを新藤の服にぶちまけたことがあったのだ。

 しかし、熱いカフェラテが手にかかっても、新藤は慌てることなく「大丈夫です」と優しく笑んだ。

 そのときの新藤の笑顔を奈美は忘れない。

 この時から奈美が新藤のことを意識し始めたといっても過言ではない。


(なんとか。なんとか話すきっかけつかめないかな……)


 新藤だけでなく奈美もまた新藤と話してみたいと思いながら、『客と店員』という関係のハードルを越えられずにいる。

 悶々としながらカウンター越しに新藤をチラ見していると


「奈美ちゃん。また彼のこと見つめてるー」


 奈美の隣でレジに立っている田中たなか千尋ちひろが奈美に声をかけてきた。


「しっ! 千尋。彼に聞こえちゃう!」

「聞こえたっていいじゃない。彼、絶対、奈美ちゃんに気があるもん」

「そ、そんなこと……」


 あわあわと真っ赤になる奈美。


「あーあ。奈美ちゃんって男心がわかってない。奈美ちゃんがぐっと押していけば、一発であんな真面目そうな男子大学生一人くらい、すぐ落ちるのに」


 そう簡単に千尋は言うが、やはり奈美には新藤と話すきっかけがつかめない。


(せめて、どこの大学かだけでも聞けたらいいのに……。ひょっとして、一つ星大学? でも、同じキャンパスっていっても偶然会う確率なんて万分の一よね)


 そんなことを思いながら、今日も奈美はため息をつく。


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