春
「眠……って!!こんな時間じゃん今日入学式だってば…!」
あわあわと焦る。無駄な動きが多いせいでもっと時間を無駄にしている気がする。
「よし、髪型も顔面もバッチリ」
「三春?朝ごはんは?」
「あ、ごめんお母さん!時間ないからパン持ってく!!行ってきます!」
急いで家を飛び出した。
今日は入学式、新しい環境は第一印象が大切!
高校で彼氏ゲットするぞ…!!
「なんかちょっと緊張するな…」
校門をくぐる。
「えっと確か…2号館の3階…1-1、あった!」
「(めちゃくちゃ緊張する…!!!!!!!)」
そうこの女、陰キャである
「(出席番号順だから、そこか!!)」
前後ろ女の子じゃん!!良かった…!
…そしてこの教室、シーンとし過ぎじゃない?
「(今日の時程は入学式とオリエンテーションか)」
イケメンいないかなー!なんてね
あれほど漫画とアニメを見てたけど、実際の高校生活なんて2次元みたいな夢物語じゃないよね…やっぱり…
パン咥えて走ってイケメンと衝突したい。
教室でしばらく待たされた私たちは、教師の指示によって体育館へ案内された。
「(あ、この人かっこいい…)」
クラスにイケメン居た。黒縁の細い丸メガネがよく似合っている。高身長。
目の保養だよ…ありがたい。
その後入学式が始まって1人ずつ点呼を行うようである。
「(…?もううちのクラス点呼終わり!?さっきも思ったけど人数少なくない…?)」
実は私のクラス、普通科の進学クラスであるが故人数が少なかった。
女同士の争いが起きないといいな。中学の時みたいなのはもうごめんだよ。
そしてオリエンテーションが始まった。
部活動の発表をしている。
「ここで1度休憩を挟みます。トイレは後方右側の扉を―」
休憩時間になると、知り合いがいる子は知り合いの元へ行って話をしている。結構賑やかだ。
私ですか?知り合いいません。遠いところからやってきたもので…
暇になってしまった。
「(って、2個前の席さっきの黒メガネくんじゃん)」
待って、黒メガネくん
近くの人に話しかけてる!!?
すごい!初対面の人に自分から話しかけるタイプかー…すごいなあ。
すごく陽キャじゃん…、私とは多分関わることないんだろうなあ。そもそもそういう性格の人タイプじゃない。って、何上からな物言いしてんだ私は。
「(眠…)」
「ねえ、部活、どう??」
「?!あ、部活?そうだなー、入る予定はないかなあ。」
「そうなんだ、あ、私、高木美羽!よろしくね」
「美羽ちゃん…よろしく!私は文乃三春といいます!美羽ちゃんは部活とか入る?」
「三春ちゃんね、おっけー!私は茶道部が気になってて」
「茶道?!」
マニアックだなあ
「うん、お菓子食べられそうじゃない?」
そう言いながらクスッと笑う美羽ちゃん。
はー、女神…話しかけてくれた…女神だ…
「そういうことね」と私も笑う
「では、休憩時間が終わりますので、皆さんお席にお戻りください」
オリエンテーションが終わり全ての行事が終了
あとは、教室に戻って自己紹介か。
1人ずつ自己紹介をしている
「(黒メガネくん、相田くんて言うのね)」
私の番だ。
「文乃三春です。帰りは○○線に乗って帰るので、もし同じ路線の人がいたら、よければ一緒に帰って欲しいです…!」
言ってしまった!なぜ自分から!
これでもし同じ路線いたら絶対会話弾まなくて気まずいってー!!
その後、誰も名乗り出ることなく無事一日が終了。
疲れたー!
電車乗って通学なんて今までしたことないからものすごく疲労が…
その日は帰ってすぐ寝落ちてしまった。