表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/25

奈々ちゃんは、昼休みが終わる頃になり、ようやく教室に戻ってきた。


俺はその時一瞬、奈々ちゃんの赤く腫れた目を見てしまって、それが授業中もずっと気になって仕方なかった。


放課後、いつものように俺たちは一緒に帰った。

だけど、奈々ちゃんはいつもの元気がないし、俺もなんとなく気まずくて二人とも黙っていた。


「あの……奈々ちゃん、大丈夫?」


「うん…」


「あいつら先生にきつく叱られてたから、もう言ってこないと思うよ」


「うん…」


「ごめんね?」


「どうして央太が謝るの?」


「だって俺がもっと強かったら奈々ちゃんを守れたのに…」


「そんなのいいんだよ。私、強いから大丈夫」


「だけど、奈々ちゃん泣いて…」


「大丈夫だよ。それに、央太は私を守ろうとしてくれたんでしょ?喧嘩得意じゃないのに」


「うん…でも、結局奈々ちゃんに助けられたし…」


「それでも、嬉しかったよ?ありがとう」


奈々ちゃんはにっこり微笑んでくれた。


「……うん」


でも、今日のことでわかった。

奈々ちゃんは、強くてもやっぱり女の子なんだ。

俺、奈々ちゃんを守れるようになりたい。

強くなりたい!



この日を境に、俺は奈々ちゃんを女の子だと意識するようになった。


それまでも、もちろん奈々ちゃんのことを大好きだったけれど、もっとちゃんと女の子として自分が守ってあげたいと思う存在になっていった。



しかし嫌なことに、それから卒業まで、奈々ちゃんと二人で登下校していると、しょっちゅうあの三人組がやってきては、俺たちを冷やかすようになった。


「ひゅーひゅー♪やっぱりお前ら付き合ってんのー?」


「もうちゅーはしたのかー?」


「げー!マジ?やってみせろよー!」


ゲラゲラ笑いながら絡んできて、


「なんですってー!」


奈々ちゃんが拳を振り上げると逃げていく。


「ムカつくー!央太、あんなの相手にしたらダメだよっ」


「うん…」


そう言いながらも、二人ともどこかギクシャクするようになった。

登下校は続いていたけれど、学校では冷やかされるからお互いあんまりしゃべらないようになり、そのまま卒業式を迎えた。


~~~~~~~~~~~~~

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ