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ほんと恐ろしいことしてたなぁ…。
死ななくてよかった…。
でも、今となってはあれも懐かしい思い出か…。
そんなことを思いながらアルバムをめくっていたら、
「見て見て。ほらこれ、ちゅーしてるわよ。ウフフかわいい」
「ぶっ……!」
思わず吹き出してしまって手で口を覆った。
な、なんでこんな写真とってるんだよ?
でも、たしかに子どもの頃って、普通にキスとかよくしてたような……。
このころは純粋に奈々ちゃんのことが大好きで、子どもの愛情表現だったんだろうけど…。
子どものころのキスといえども、やっぱり恥ずかしい…。
俺はちょっと赤くなりながら次のページをめくった。
おもちゃで遊んでいるのや、ままごとをしているのや、庭で遊んでいるの、アルバムの中の俺はいつも奈々ちゃんと一緒でにこにこ笑っている。
こうしてみると、俺のアルバムのはずなのに、俺一人の写真が極端に少ない。
なぜかほとんど奈々ちゃんとのツーショットだ。
幼稚園でもそれはかわらず、一番仲が良かったのはやっぱり奈々ちゃんだった。
「あ、これは小学校にあがったころね」
これもだ。
二人でランドセルをからってにこにこして手をつないでいる。
このころは奈々ちゃんの方が少し背が高い。
そう言えば、一緒にいるとよく姉弟と間違われたっけ…。
「こっちは運動会のかけっこだわ。奈々ったら得意気な顔して写ってる」
「奈々ちゃんいっつも一番だったもんね。央太なんかいっつもビリで、応援のしがいがなかったわー」
おい……。それはちょっと酷くないか?
たしかに俺って、昔からかなり運動音痴だったけど…。
走るのも遅くて泣き虫で、おまけにけんかも弱くて、幼稚園のころからよくいじめられていた。
そんな俺を、奈々ちゃんがいつもいじめっこから守ってくれてたんだよな…。
奈々ちゃんは活発ですごく運動が得意で、子どもの頃は俺より何歩も先を歩いてる感じだった…。
俺は奈々ちゃんが大好きだったから、いつも必死に後を追いかけてたっけ。
「ほら。こっちは二家族で旅行に行った時の写真よ」
「央太このころまだ泳げなくて、浮き輪つけて泳いでたのよね。奈々ちゃんはずいぶん前から泳げてたのに」
「わぁ。懐かしい」
水着でピースしてる奈々ちゃんと浮き輪をもって泣きべそかいてる俺が写ってる。
たしかこの時は奈々ちゃんに泳ぎを教えてもらってて、溺れかけたんだ…。
「央太ったらね、3年生になって泳げない子がクラスに3人しかいないって悔し泣きしてたのよ~」
母さん……。息子の恥ずかしい話をばらすなよ…。
「…これは?」
「これは4年生ね。まだ自転車に乗れなくて、毎日傷だらけになりながら練習してたのよね」
これも、奈々ちゃんが自転車に乗り始めた影響で練習を始めたんだ…。
でも、乗れるようになるのに相当時間がかかったんだよね。
こうして見てると、本当、俺の子ども時代って、奈々ちゃん一色…。