25
~おまけのおまけ~
「ねぇ。央太ってば」
奈々ちゃんの声に俺はやっと我に返った。
ずっと回想に耽っていて、彼女をほったらかしにしていたらしい。
「あ、ごめんごめん。ちょっと色々思い出してたから。なに?」
「もう。だから、このアルバムって、6年生くらいからあんまり増えてないよねって」
「ああ。それは俺も思った」
「だからさ、今から写真とらない?」
「えっ?今から?」
「うん!私、家のカメラすぐとってくるから。ちょっと待っててね!」
そう言うなり、奈々ちゃんは窓から出ていき、ものの数分もしないでまた窓から戻ってきた。
「…………………。」
いったいどこから突っ込んだらいいのかわからない。
『いつもいつも、一人で勝手に突っ走るんだから』なのか、『また窓から出入りして、危ないでしょ』なのか。
……まあいいか。
俺は奈々ちゃんからデジカメを受け取ると、二人で撮れるように机の上に置いて、タイマーをかけた。
「いくよー?」
「うん!央太、早く早く!」
チカチカチカチカ………ライトが点滅して、パシャッとシャッター音が鳴る。
「ちゃんと撮れたかな?」
「うん。撮れてる撮れてる♪」
さらに何枚か写真をとった。
「じゃあカメラ貸して。父さんの部屋でプリントアウトしよう」
「うん」
俺はカメラからデータを取り出し、パソコンにとりこんだ。
今までけっこう撮りためてたらしく、中には古い写真がたくさん残っていた。
「あ、なんだ。中学の写真まだあるじゃん。………あれ?」
「わわっ!ダメ!それは見ちゃダメー!!」
奈々ちゃんが急に画面と俺の間に割り込んできて、写真を見るのを邪魔する。
俺は片手で奈々ちゃんをどかしながらマウスを操作した。
後半はほとんど俺の写真ばっかりだな。
………………。
???
おいおいおいおい……
「ねえ。なにこれ?」
奈々ちゃんが今度は俺の両目を覆ってきた。
「だからっ、見ちゃダメだってば……!」
俺はその手を一つにまとめて画面を凝視した。
「奈々ちゃん?これはなに?」
「うううぅ……」
奈々ちゃんが頭を抱えてその場にうずくまる。
これってもしかして……?
「えっと、隠し撮り……だね?」
やっぱりか。
それにしても、すごい量だ。
これに比べたら俺の隠し撮りなんかかわいいもんだ。
「これ、どうやって撮ったの?」
「だから、見つからないように、こっそり撮ったんだよぅ……」
「そうじゃなくて、どうやってこんな写真を撮れたのかって聞いてるんだよ」
こめかみあたりを抑えながら訊く。
勉強してるところ、なにか食べてるところ、誰かとしゃべってるところ……。
学校はもちろん、俺が部屋で一人の時の写真にいたっては、よくこんな写真を撮れたもんだと驚きを隠せない。
俺がベッドで爆睡してるところとか、起きたばかりで頭爆発のぼーっとしたのとか。
うわ、これはひどいな。
着替えてる最中の半裸。
下じゃないだけまだましか……?
やっぱベランダから来るのは禁止しよう。うん。
「奈々ちゃん。これ、犯罪だから」
「えええ~!でも、だって、央太も、私の隠し撮りしてたじゃない」
「いや、これとあれを同じと言われても。レベルが違いすぎるよ。
第一、俺はこんなに色々撮ってないし。これとか、いくらなんでもやりすぎ」
「ぇえ?そうかなあ。もしかして、ひく?」
「もしかしなくても、普通ひくよね」
「エエエー……!?」
「ストーカーなのかな?」
「だって、央太の写真、欲しかったんだもん……」
「だって、だもん、じゃない」
「うううぅ……」
しょげてうずくまってる奈々ちゃんを見てたら、だんだんかわいそうになってくる。
……はあ。
仕方ないか。
俺だって、隠し撮りしたことにはかわりないし。
俺の写真が欲しいっていう気持ちは、まあ、嬉しくもあるわけで。
「あー、もういいよ」
「でもひいてるんでしょ?」
「まぁ、そりゃあ……ね」
「うう~~ひかれたぁ……」
「あーだから、ひいてるけど……あーもう、わかった!ひかないから。だけど、このデータは消去します!」
「ぇええ?やだよ!どれもすっごく気に入ってるんだから!」
「え?この頭が爆発してる寝起きの写真とか、どう見てもゴミでしょ?」
「ううん!この寝起きのやつはすごくかわいいし。この着替えてるのはかっこいいもん」
「…………………。」
そうか?
どうみてもゴミだ。
できれば全部消去して、ちゃんとした写真だけもってて欲しいんだけど。
「央太、お願い!消さないで!」
……はあ。
奈々ちゃんのお願いには弱いんだよな。
「はいはい。わかったよ」
「本当?よかったぁ。あ、これも印刷してね?」
「ぇえ!?こんな写真印刷してどうするの?」
「え?もちろん大事にしまっといて、時々見て楽しむんだよ♪あ、央太のアルバム作ってもいいな~」
「……やっぱ変態」
「エエエ~~?」
END?
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
次の日の朝。
奈々ちゃんのおばさんに挨拶して、俺はいつものように奈々ちゃんの部屋に行った。
コンコン
カチャ
キー
「…………………。」
奈々ちゃん、幸せそうな顔して、まだぐっすり眠ってるな。
俺はポケットからそっとカメラをとり出した。
寝顔いただきっ♪
パシャ!
その音に起きた彼女が、ゆでだこのように真っ赤になって、文句を言いながらポコポコと俺の胸を叩いてくる。
どうだ。これでやられる側の気持ちが少しはわかっただろう。
俺は声をあげて笑いながら、彼女のパンチを受けとめたのだった。
END!
~あとがき~
ここまでおつきあいくださり、どうもありがとうございました。
『私の隣』『俺の隣』に続く三作目。いかがでしたでしょうか。
これだけ読んでもわかるように書いたつもりですが、よくわからなかった方、興味をもたれた方は、ぜひ本編も読んでみてくださいね。
かなり私の自己満なお話しになってしまったような…申し訳ないです(T_T)
予定よりだいぶ長い話になっちゃったし、一作目とかぶってるシーン多いし…。
でも一応、央太くん側の裏話ということで、お許しくださいm(_ _)m
それでは、また次のお話も、どうぞよろしくお願いいたします。
H23.2.20 さやぽこ
R24.8.22 修正&転載




