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ゼーゼー言いながら奈々ちゃんちの玄関を開けて、階段をかけ上がる。
彼女の部屋にたどり着くとノックもせずにバタンとドアを開けた。
「!!」
ベッドの上に、泣きはらした顔でびっくりして俺を見てる奈々ちゃんがいた。
俺は思いっきり走ったせいでゼーハー肩で息をしながら口を開いた。
「奈々ちゃんって、いつも、ゴーイングマイウェイだよね」
「?」
「言いたいことだけ言って、逃げていくんだもん。俺、まだなんにも返事してないよ」
「だって。央太は他に好きな子いるんでしょ。ふられるのはわかってるもん」
奈々ちゃんからちょっとすねたような返事が返ってきた。
だから、なんで、俺に他に好きな子がいることになってるんだろう?
とにかく、誤解をとかないと!
俺が好きなのは、奈々ちゃんなんだから。
「他になんかいないよ」
「え?」
「俺が好きなのは、奈々ちゃんだから」
「……うそ」
「うそじゃないよ。
俺は、子どものころからずっと、奈々ちゃんが大好きだったんだから」
「だって。この前、私には関係ないって言ったじゃない」
「奈々ちゃんが、応援するとかいうからだろ?」
「あれは、央太の好きな子が知りたかったから。つい、うそついちゃったんだよ」
「俺は、その『応援する』って一言にすごく傷ついたんだよ」
そう言ったら奈々ちゃんが押し黙ったので、俺はちょっと優しく尋ねる。
「……それで、俺の好きな子、わかった?」
「本当に?本当に私?」
「うん。本当に」
俺は微笑みながら頷く。
「……央太、嬉しい!」
「ぅわっ!」
奈々ちゃんがいきなり俺に抱きついてきた。
俺は一瞬バランスをくずしてよろけながら、なんとかしっかりと彼女を抱きとめる。
「これからは、ずっと一緒だよね?」
「うん」
俺はぎゅっと奈々ちゃんを抱きしめて笑った。
今、自分の腕の中に、何年も思い続けた大好きな彼女がいる。
こんな都合のいい夢なら今まで何十回も見てきた。
でも、この温もりはあまりにリアルで、これが夢じゃないことを教えてくれている。
知らなかった……。
幸せって、こんなに近くにあったんだ。
もっと早く勇気を出して手を伸ばせばよかった……。
でも、すぎたことはもうどうでもいい。
大切なのは今。
大好きな奈々ちゃんをこの手で抱きしめているという事実だけ確かなら、それでいい。
奈々ちゃんの感触、温もり、香りを五感全てで感じる。
それから……
「央太、大好き!」
この笑顔と声も。
全部、全ー部大好きだ。
「俺も。奈々ちゃんが大好きだよ」




