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入学式までの春休み。
俺たちは遊園地に行ったり、映画をみたり、ゲームセンターに行ったり、今まで遊べなかった時間を埋めるように毎日遊んだ。
そして、入学式が間近になったある日。
そろそろ入学までに出されてる課題をやらないといけないよねという話になり、久しぶりに奈々ちゃんが俺の部屋にやってきた。
埃をかぶって部屋の隅に置かれていたテーブルを引っ張り出し、奈々ちゃんと一緒に勉強する。
やっと課題が1/3くらい終わって一息ついているとき、奈々ちゃんがバックをゴソゴソやって中からラッピングされた箱を取り出した。
「央太。遅くなったけど、これ……バレンタイン」
「えっ?俺に!?」
「うん。手作りチョコだよ」
「奈々ちゃんの手作り!?」
「あっ!疑ってるんでしょ?ちゃんとお母さんに教えてもらいながら作ったから、大丈夫だよ。お腹こわしたりしないよ」
奈々ちゃんはちょっと頬を膨らませている。
「いや、そんな心配なんかしてないよ!そうじゃなくて、俺にって……なんで?」
「?央太にはちゃんと毎年チョコあげてるでしょ?」
「そりゃそうだけど、いつもはこんなんじゃなかったよ?」
毎年くれるのは、お店で売られているチョコだし。
もっと小さくて、義理って感じだったよ?
実際奈々ちゃんも義理チョコって言ってたし。
これって、もしかして………
「今年は特別」
「えっ?それって、やっぱり……」
実は、俺のこと……?
「うん」
「奈々ちゃん!俺も、ずっと奈々ちゃんのこと……」
「今まで勉強を教えてくれたお礼だよ」
「えっ?お礼?ああ。なんだ。そういうこと…」
俺はがっくりと肩を落として落胆した。
はぁぁ~。
やっぱりね。
喜んだ俺がバカだった……。
「央太。私のこと、最後まで見捨てないでくれてありがとうね。央太がいてくれなかったら、絶対受かってなかったよ」
改めてお礼を言われると、ちょっぴり照れる。
「どういたしまして」
「あのね、これ、本当はね……」
「央太ー!お菓子とジュース取りに来なさーい!」
奈々ちゃんが何か言いかけたのにちょうど被さるようにして、一階から母さんの呼ぶ声がした。
「はーい!今いくよ!」
俺はとりあえず大きな声で返事をする。
「それで、今何か言いかけなかった?」
「う……ううん。なんでもないの」
「?」
奈々ちゃんは赤くなって下を向いている。
どうしたんだろう?
部屋が暑いのかな?
首を傾げながら、俺は一階にジュースをもらいに行った。
戻ってみると、奈々ちゃんはすっかりいつも通りに戻っていたので、俺もそれ以上は気にしなかった。
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