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そして受験当日。
「うー緊張するよー。手がガタガタ震えてる……」
「大丈夫。大丈夫。もっと肩の力抜いてリラックス」
「無~理~~~」
奈々ちゃんが情けない顔で言う。
御守りを握りしめた手がガタガタと震えていた。
俺は苦笑いして、彼女の震える手をそっと包みこむ。
「!!」
「大丈夫だよ。やれるだけやったんだから。あとは、今までやってきたことを全部出し切るだけ」
「……うん」
「御守りもちゃんと持ってるし」
「うん」
「絶対、一緒の高校行くんでしょ?」
「うん!絶対!!」
「……じゃあさ、試験終わったら、どっか遊び行こうか?」
「え?どこに?」
「う~ん。そうだなぁ。遊園地なんてどう?奈々ちゃん好きでしょ?」
「うん!!」
「じゃあ、まずは試験を終わらせてこよう?」
「うん!!!」
ギューッ
俺は奈々ちゃんの手を両手で力いっぱい握った。
「はい。充電完了。じゃあ行こうか」
「ふふ。なんか、ちょっと落ち着いたかも。央太ありがとう」
「どういたしまして」
奈々ちゃんの顔には笑顔が戻り、手を離しても、もう震えていなかった。
さあ、俺も頑張るぞ!
奈々ちゃんと一緒の高校行くって約束したんだから。
俺はポケットの中の彼女とお揃いの御守りを握り締め、気合いを入れて教室に向かった。
「くぅ~~終わったぁ~~~!やっとゆっくり眠れる~!!」
試験が終わったら、いつもの奈々ちゃんに戻っていた。
とても晴れやかな顔をしている。
これは、手応えあったのかな?
「終わったねー。どうだった?」
「う~ん……どうだろう?」
「とりあえず、空欄は埋めた?」
「うん。それはもう。でも、ちゃんと合ってるかなぁ?」
「帰ったら答え合わせしてみる?」
「う~ん。とりあえず、帰ったら寝る。昨日は緊張してあんまり寝れなかったから、ほっとしたら眠くって」
「あはは。そっか。じゃあ、遊園地はゆっくり決めようね」
「うん」
俺たちは足取りも軽くお互いの家に帰った。
母さんに試験の結果を報告してから、自分の部屋に入る。
この一年、毎日奈々ちゃんと一緒に勉強してきた部屋。
こうしてみると、急に部屋が広くなった気がする。
広すぎて、なんだか寂しい。
この一年間、ずっと二人で一緒にいて、すごく近くで奈々ちゃんを見れた。
楽しかったな。
今日からはまた、前の俺たちに逆戻りか。
ふいに、胸がしめつけられたように苦しくなる。
奈々ちゃんお気に入りのクッションを拾い上げて、俺は深いため息をはいた。




