第六話 決闘
盗賊集団ペニー一家は壊滅した、生き残った者も捕らえられ市庁舎前に集められた、両手両足を拘束され、口には布を詰められている、見せしめにこのまま一人ずつ銃殺刑にするか、あるいは日を改めて民衆の前で縛り首になるのか、いずれにせよ彼等に生存の余地は残っていない、死刑にすることで他の盗賊行為を牽制するのだ
集められたペニー一家の中央には女ボスのペネロペ・ロペス、通称ペニーママがいる。鋭い目つきで周りをにらみつける、万が一拘束を解けばすぐにでも何人か殺しにかかるだろう。そんなペニーママとは対照的に市長のデイヴィッド・カウパーは満面の笑みだった
「いやぁー、素晴らしい、みんなありがとうこれで我が町も安泰だ。」
人質となっていた博士ことディック・ハードも無事を知らせるため姿を見せる、いつも陽気な彼だったが今度ばかりは浮かない表情をしていた
「本当にすまなかった、今回の件は私の不注意だった」
博士は落ち込んでいたが、他のみんなは嬉しそうだった、これでペニー一家に襲われることはなくなったのだ、ジルも自慢げにあれこれ周囲に語っているが大げさに尾ひれをつけるせいか相棒の一平が逐一訂正している。
そこへ、賞金稼ぎのガンマンを束ねるゴールドマン・ボールが遅れてやってきた
「いやぁー、本当に素晴らしい、これでこの町も安泰だな」
どこかで聞いていたのだろうか、まるで今回の手柄を主張するようにわざとらしく市長の言葉と重ねて話しはじめると、大げさに両手を広げ注目をあおりつつペニー達の前までやってきた
「さてと皆さんお集まりかな」
周囲の注目が自分に集まったことを確認すると、おもむろに懐から銃を取り出す。銃身の長いコルトのウォーカーだ、シルバーのボディとグリップにある象牙の装飾のコントラストがいかにも成金らしい。ゴールドマンはその銃口をペニーママのこめかみに向けるとためらいもせず引き金を引いた。
パン!
その場にドサっと倒れるペニーママ、盗賊たちは口あての奥からうーうーとうめき声をあげる、ゴールドマンはそれを全くを気にする様子もなく市長に話しかける
「はっはっはっは、さあ、約束の死体だ」
「その約束についてなんだがゴールドマン」
「お嬢さんをよろしいですかな」
市長の娘アナベラは、食い気味にしゃべるゴールドマンの最後の言葉が引っかかった
「何の話ですか?」
「……いや、……それが」
市長が口ごもると、ゴールドマンがわざとらしく大きな声で解釈する
「おやぁ、まだ話していなかったかな?お嬢さんはウチのクリトスと結婚するんだ。それが町を守る条件、そして我々は約束通りこの町を守った」
「……すまん」
「そんな」
ショックを受けるアナベラだったが、ジルはそれ以上にショックを受けている。驚きの声を上げひっくり返ったり転がったりとちょっとうるさい。誰しもがそれを無視する中アナベラは父に抗議する
「そんなの聞いていません」
ジルもすかさず同じことを言う
「そんなの聞いてません!」
ゴチャゴチャとうるさい二人にゴールドマンは鋭い目つきでドスの利いた声を出す
「はぁ?そんなの聞いてません?そんな言い訳通らねぇんだよ、これは正式な契約だ」
そこへバーのマスターが割って入る
「町を守るのならこのジルって男だって働いてくれた」
「え?俺?……そうだそうだ!」
「ゴチャゴチャうるせー!約束の条件はなんだった?おい秘書のアンタ」
うしろの方にいたベンジャミンは自分が呼ばれたことに驚いて身体をビクッとさせたが、ゆっくりと群衆の前に出てしゃべりだす
「せ……成功報酬の条件は女ボスの死体です。契約書もあります」
「そうだ、そしてそれを殺したのは誰だ、今ここで、みんなも見てたろ」
「ドン・ゴールドマン・ボールあなたです」
ベンジャミンが力なくそう答えると、ゴールドマンはさらに続けた
「そうそれに、ウチのクリトスに何の不満があるんだ、このクリトスより強い男なんていないぞ」
市長は奥歯を噛んだ、なるほど急いでペニーママを撃ち殺したはずだ、死刑の日取りなんかが決まってしまう前に殺す必要があったのだ。これはやられた。そう思ったその時、ジルがへらへらとゴールドマンに近づく
「え?いやいやいや、それが案外そうでもないのよおっさん」
「なんだ?」
「だからねその死体があるのは俺のおかげって、マスターがさっきそう言ったでしょ?」
「は?」
「だーかーらー、俺が凄すぎてね、女王様は渡せなくなりましたっと。そういう事」
「お前が?」
「俺が」
「クリトスよりも?」
「そう、何度も助けた」
「……ああ、お前か、顔にミルクをかける変態とか言うのは?」
「それは褒め言葉かな?」
「あー誰かこのうるさい馬鹿を黙らせろ、話にならん、こっちには契約書があるんだ、それとも何か?お前も契約してるって言うのか?違うだろ?だったらおとなしく黙ってろ」
市長自身がゴールドマンたちと契約した覚えはあるがジルと話をつけたのはマスターだ、どんな取り決めになっているかは解らなかった、普通に考えれば報酬は金だろう、しかしあの状況では最悪の場合契約を交わしていない可能性さえある。言及するべきか?それともやぶ蛇か?市長が何か言わねばと悩んでいるその時、新聞記者に随伴していたカメラマンのポールが口を開いた
「契約……しています、アナベラさんとジルさんは契約済みで前金も払ってます。間違いありません」
「君は?」
「カメラマンのポール・ブラックと言います。ジルさんの取材をするために記者のトーマスと2人でこの町に来ました」
「その、契約の話は本当か!?」
「はい、アナベラさんはジルさんにこの町を守って欲しいと、すぐに現像は出来ないけど写真も撮りました」
市長は思わず大声が出る
「契約内容は?金か?」
「いえ」
周囲がざわつき、ゴールドマンの目つきがいっそう悪くなる。それでもポールは話を続けた
「成功報酬は、アナベラさんの、そのなんて言うか、サービス?みたいな」
「サービス?」
そこでジルが後を引き継ぐ様に口を開く
「この町を守ったら、俺をいじめさせてやる。そう言う約束だ」
その場にいた誰一人ジルの言っている言葉の意味を理解できなかった。だがこの機を逃してはならないと市長は頭をフル回転させて声を上げる
「つまりこちらもウチの娘が報酬と言う訳だ、しかしアナベラは一人しかおらん、2つに分ける事もできない、どうだろうここは一つ町から賞金を出すと言うのは?」
ジルとゴールドマンは同時に拒否した
「いやだ」
「飲めんな」
「何だよ白いおっさん、頑張ったのは俺なんだからアンタが引けばいいだろ?」
「バカを言うな、うちのクリトスの方が功績はデカい」
「いや俺の方がいじめられたいね」
「意味がわからん」
「なんだと」
クリストファー・クリトスは、2人のやり取りを聞いて黙っていられなかった
「ドン・ゴールドマン・ボール!」
「なんだ」
「そいつと勝負させて欲しい。それで俺が勝てば解決だろう?」
娼婦のエレクトラは新聞記者のトーマス・オールディズから取材を受けていた、盗賊の襲撃時にガンマンジルの長距離射撃を目の当たりにしていたからだ、彼女がジルの長距離射撃を目撃するのはこれで2度目になる
「さてさて、それでその時の様子を詳しく聞きたいんですけど」
「またペニー一家が襲ってきたので、また自分の部屋に逃げようと思って」
「はいはい自分の部屋ね」
「そしたら男がそこまで追いかけてきて、私を襲うんです」
「それで、君はいくら出すかって聞いたわけだ」
「そう!なんで解るの?」
トーマスがこの話を聞くのは2度目だった、いや、正確には初めてだが、エレクトラが1度目とほとんど同じ状況におちいったのだ。トーマスはショートカットできるところは極力省いてとっとと確信に入りたかった
「いいからいいから、それでそれで?」
「いくら出すか?って聞いたら、あの男大して持ってなくて、それで追い返そうとしたらアッチの銃を押し付けて来て、あ、アッチの銃って言うのは撃てない銃の方って言うか、あ、撃てない銃って言うのは不能って事じゃなくて弾が撃てないって意味で、あ、でも弾が出てくる人もいるって聞くけどそうじゃなくて、なんて言うかその、出るとき痛い弾じゃなくて当たると痛い弾の事で、……出てきたことあります?」
「ああ、大丈夫です。色々大丈夫です」
「そう?それは良かった」
「聞きたいのはそんな事じゃないんです。その、ジルの撃った弾は男のどこを?」
「ああここ」
エレクトラが人差し指で自分のおでこを指さすと、それを真似するようにトーマスも自分のおでこを指で指す
「またここ」
「ええ」
嘘じゃなかった。全く同じ状況で、全く同じ部分を打ち抜く、そんな芸当ができるなんてやはりただ者ではない。その超人技にトーマスは「やっぱすげぇ……」と生唾を飲んだ。
そこへカメラマンのポールが血相を変えてやってくる
「大変大変!大変です!」
「なんだよ」
「外に!早く外に!」
「なんだよ」
広場では、ジルとクリトスの決闘が始まろうとしていた。自然な流れでゴールドマンが取り仕切っている
「勝負は早撃ちでいいかな?」
「ああ」
クリトスは即答した、それもそのはずクリトスの異名はは早撃ちちの名手クイッククリトスだ。対してジルの必殺技は超精密射撃、速度はと言いうと並みのガンマンと比べれば引けは取らないが特別早いわけではない。そこまで深く考えたかどうか定かではないがジルは返答を渋った
「早撃ち?早撃ちかぁ」
早撃ち勝負と言うのは見かけほど簡単ではない、銃から手を離した状態で向かい合って立ち、いかに早く相手を撃ち抜くかの勝負だがスタートの合図は無く相手が動いたのを見て相手より早く銃を撃つことが美学とされている。普通に考えれば先に動いた方が有利だが。後発で動いてその上で相手より早く正確に射撃してその腕前を見せつける。それが腕の立つガンマンの証だった。ゴールドマンが早撃ちで勝負させたがるのはクリトスが有利になるからという理由だけではないということだ
「そうだ、向かい合ってズドン。死んだ方が負け、シンプルで解りやすい」
そうゴールドマンが締めくくろうとすると市長が慌てて口を挟む
「いや、早撃ちじゃない方がいい!」
「なに?」
「的当てはどうだ?先に当てた方が勝ち」
「ああ、それいいね」
ジルがニコニコ相づちを打つとゴールドマンが反論しようとする
「いや、ちょっと待て」
しかしそれを遮るように市長がクリトスをあおる
「クイッククリトスの異名をとる君なら文句はあるまい」
「おい、まて」
「あるいは、もっと君に有利な競技にするかい?」
言葉通りの意味を真に受けてジルが慌てる
「何言ってんのおっさん、困る困る。」
話の流れから、決定権はクリトスにあった、自分の得意分野で叩きのめすのか、同じ土俵に上がって勝負をするのか、そんなの答えは決まっている
「解った。的当てでいいだろう。」
早撃ちの技術は自らの努力で培ったものだ、得意分野で勝負をしたとてクリトスをずるいと思うものは誰一人いなかっただろう。荒野の決闘とはそういうものだ。それでもクリトスがジルの土俵に上がったのは、こんな変態野郎にプライドを傷つけられたからに他ならない。
市長はクリトスの射撃技術が単に早いだけではない事はもちろん解っていた、早撃ちの名手と呼ばれるには速度に合わせて精度も要求される。しかし的当てならばドローもあり得る。確率論から言ってもアナベラを守る可能性が上がるはすだ
「すまんアナベラ、だがこれでだいぶジル君が有利になっただろう」
アナベラは父の言葉にうなずくと、ジルに何か言おうとする、しかし言葉がうまく出てこない。あまりに突然のことに動揺しているのだ、ジルが負けてしまえばクリトス結婚する。なぜ?いったいどんな理由があってそんなことになるのか?脳が追い付かない、しかし状況を整理する時間さえない、決闘は今始まろうとしている
「……ジルさん」
うつむくアナベラ、ジルの顔をまともに見ることさえできない。そんなアナベラに高さを合わせるようにジルは膝をつく
「お前さんは嘘つきだな」
「え?」
「まだ俺が怖いのか、ホントは助けてって泣きつきたいのに、全然平気な顔してやがる、大嘘つきだ」
「ウソなんてついてません。」
「我慢について教えてやる!ドSだとかサディストだとか言う奴らは平気な顔で嘘をつく、でもな」
いったい彼は何の話をしているのだろうか?言っている意味はよくわからないがそれでもなんだか信じられる気がする
そんな娘の真剣な表情に反して市長は困惑する。
「アナベラ?」
「ドMは嘘をつかねぇ、マゾヒストは嘘をつかねぇ、いや、つけねぇんだな、だって自分に正直だから」
アナベラの瞳はジルをまっすぐ見ている、まるで勝負に勝ったらジルと一緒になってしまいそうな雰囲気に市長は焦った。そんな約束はどこにもないのに
「アナベラ?」
「これはドMからの命令だ、大丈夫俺を信じろ、俺はドMだ、ドMの俺を信じろ、トリス野郎の嫁なんかにするもんか!」
「はい。」
「俺を信じてくれるなら、そしたらまた、俺をいじめさせてやる。」
「はい。」
「たっぷりいじめさせてやるから。」
ついに市長は頭を抱えてしまう
「ああ、どっちが勝っても複雑!」
ゴールドマンは面白くなかった、自分の思うように事が運ばないのは好きじゃない、こんな茶番はとっとと終わらせたい
「的はどうする!」
そう言うとゴールドマンは捕まっているペニースリーを足で押し倒す、拘束されているせいで顔から地面に突っ込んで倒れる
「こいつらを使うってのはどうだ?」
「いや彼らには聞きたいこともある。今殺すべきじゃない」
市長の返答に盗賊連中がもごもご言っているがよくわからない。そこへ博士の助手であるチェリオが何かを抱えて持ってきた。大きめの十字架のようにも見える、それは全長が40~50センチほどの鉄の鳥だった、直線的な翼から鳥と言うよりむしろ飛行機に近かったがそれが何なのか誰一人解らない、そこで博士が説明を始める
「これはどうだ?私の作った空飛ぶ鉄の鳥だ、火薬を使って飛ぶから恐ろしく早いぞ、これを先に撃ち落とした方が勝ち、どうだ?」
「ああ?鳥だぁ?」
ゴールドマンがにらみつける
「ああ、ものすごく早く飛ぶから打ち落とすのは容易じゃ無い」
「2人ともそれでいいか?」
「はーい」
「ああ」
鉄の鳥には誰しもが半信半疑だ、助手のチェリオでさえ飛んでいるところを見たことが無かった。チェリオは博士に問いかける
「ねぇ、ホントに飛ぶの?」
「飛ぶさ!何しろ翼の断面を湾曲させる事により上下で空気圧の違いを……」
「ああああ、わかったわかった、いいよもう早く準備しよう。」
そう言うと二人はメインストリートの端まで走って行った。
いよいよ勝負が始まる。この道を飛んでくる鳥を正面から待ち構えて撃ち落とすのだ
ジルは再びアナベラの前に跪くと真剣な顔つきで語り出す
「なあ女王様、勝負って事は俺が勝ったら俺と結 」
「無いです。」
「……。」
ジルの相棒である一平は娼婦のマライアと一緒に少し離れたところからそのやりとりを見ていた
「ああ浅いなぁ、今のでドMパワーがどこまで上がったか。」
「それがないとまずいのかい?」
「ああ、ドMパワーが出ないと兄貴は迷惑なだけだからね、せめて平手が入れば」
盗賊撃退のためにさんざんジルを殴り続けたマライヤは手首を痛めていた
「痛てて、アタシはもう無理だよ」
ジルを冷たくあしらったアナベラだが最後に一言つけ足した
「結婚は無いですけど。あなたを信じます。」
「ひょー!キター!」
一平はますます不安になる
「ああ、逆、それじゃあ逆効果だよ」
そんなジルとアナベラの会話を聞いていたクリトスが間に入ってくる
「そうは言っても結局、俺にキスすることになりそうだな。」
「あなたはそれでいいんですか?」
「構わないね、どうせ形式上の結婚だ。まあ一度くらい本当のクイック・クリトスを披露してやってもいいけどな。」
「本当のクイック・クリトス?」
クリトスはアナベラの耳に顔を近づけると何かをささやいた。アナベラの顔がみるみる赤くなる
「変態!」
パチン!
言うが早いかアナベラはクリトスに平手打ちをしていた
「最低!」
そのまま走り去るアナベラ、うっかりもらってしまった平手打ちにイラだつクリトス
「痛っ、なんだよ」
その問いにジルが答える
「ご褒美だよ。」
「ふざけるな、俺はどちらかといえば「S」だ」
「あーそうですか」
「お前はクイック・クリトスには勝てない」
「お前こそ、えーっと、汁っとジルジルには勝てないな」
遠くからチェリオが叫ぶ声が聞こえる
「それじゃあ始めるよ!ヨーイスタート」
ものすごい音を立てて鳥が飛んでくる。
先に銃を抜いたのはジルだった
「ジルッとファイヤー!」
パンパンパン!
狙いを付けて3発撃つが、どれも当たらない
「なんだよ、クソ鳥め」
クリトスは鳥をギリギリまで引きつけてから銃を抜いた。その瞬間クリトスの頭の中でアナベラの声がリフレインする
「「「変態」」」
幻聴をかき消す様にクリトスは頭を振る
「ええい」
それでもアナベラの声が頭の中にこだまする
「「「最低」」」
「邪魔だ」
しかし脳内ではアナベラがスローモーションで平手打ちをする姿が浮かんでしまう
「「「変態」」」
イメージの中で頬を叩く音が反響して繰り返し頭の中に響く、無意識の中クリトスは最高にイイ顔で返事をしていた
「ハイ!」
パン!
クリトスの撃った弾は見事に鉄の鳥を射貫いた
ちゅどーん!
「ああ、私の鳥が!」
命中すると思っていなかったのか博士が鳥の残骸が墜落したであろう場所へに駆けて行く
クリトスは困惑した、自分が何をしたのかよくわからなかったのだ、意識が無かったと言うわけでは無い、いやむしろ意識はハッキリしていた。
「はっ!なんだ今のは!」
ジルは慌てふためく
「えええええええええ、やばいやばいやばい」
「クリトス、アンタの勝ちだ」
勝負の行方をチェリオがハッキリと宣言した
「あああああ、負けちゃった負けちゃった。どーしよう」
慌てるジル、を後目にゴールドマンが手を叩いてほくそ笑む
「素晴らしい。よくやった。これで娘は我々の物だ!」
クリトスは自分の勝利気づかないほど困惑していた
「……なんなんだ、今のは……なんなんだ今のはぁああああああああ!」
以前本編の中で飛行機に関して書きましたが、物語の時代設定はライト兄弟が初飛行に成功したかしてないかギリギリくらいの頃です。鉄の鳥の最初の構想では博士の超人的頭脳を使って内燃機関を搭載する予定でしたがサイズ的にも不可能と判断して火薬を使って噴射の勢いで飛行する手段を取りました。この推進機構は飛行機と言うよりロケットに近いです、液体燃料の発明は20世紀に入ってからなのでここでは黒色火薬を使い、ノズルスカートの様なもので噴射の方向と勢い制御するだけなので翼付きのロケット花火をイメージしていただければと思います。