プロローグ
伝説の西部劇ガンマンジルの開幕です
最後までゆっくりとお楽しみ下さい
走れ、走れ、
……間違いない、あれはペニー一家だ
ペニー一家、金の為ならなんでもやる極悪非道の盗賊集団、あいつらが町に近づいてくる
とにかく走れ、走るんだ、このことを少しでも早く伝えなければならない
走れ、走れ、心臓が痛い、かまうもんか
馬の足音!
まずい、早馬が近づいてくる
でも町の入り口までもう少しだ、もう少し、叫べ
「奴らだ!ペニーの奴らが来るぞーーーー!」
馬が追い抜き、男が飛び降りる
同時に腰のホルスターから銃を抜き構える
恐怖で思わず尻餅をついた
「うあ!や、やめろ、撃つなよ、撃つな、頼む」
男は銃口で自分のハットをグイと押し上げたので顔がよく見えた
赤髪の男だった
「伝説のガンマンを知っているか?」
「たたた頼む、撃つな、撃つな」
撃鉄を起こし、トリガーに指をかける
「伝説のガンマンはどこだ」
「伝説の?なんだそりゃ、ししし知らねーよ」
「あそう」
バン!
額に弾丸がめり込み後頭部が破裂、倒れるよりも先に死んでいた
やがて集団が追いつく
「知らねーってさ」
ペニー一家の女ボス、ペニーママが集団の奥から声を上げる
「知らないはずあるもんか、あの地獄のような戦争、カウパー戦役を終結させたのが」
「……伝説のガンマン」
「あたしゃ何だって手に入れるんだ」
ペニーママはそれぞれの顔を見て指示を出す
「お前は家を、お前は酒場に回りな」
「へい」「おうよ」
「急ぎなオメーら!」
カウパー戦役
強行な政策を推し進める政府はここカウパータウンで思わぬ抵抗に合う
地主達が結束しその戦闘は泥沼化、凄惨の一途をたどった
しかしある男が戦況を変える、銃弾を何発も受け、それでも立ち上がるその姿からこう呼ばれた「伝説のガンマン」と
カウパー戦役から15年、町は平穏を取り戻しつつあった