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三週目ノ五





ガヤガヤガヤガヤガヤガヤ………



 ある一箇所を中心に、学生が集まっていた。ある者は闘志を燃やして、ある者は野次馬しに、ある者は偶然通りかかって………理由は様々だったが、皆一様に一箇所に集まっていた。


 その集結地点の中央には、かなり大きな看板が立っていた。どこぞやの自称校内変態教師筆頭が立てた物である。


 そこには、こう書かれていた。



『複合魔法学初回演習内容


 テーマ みんなで協力!


 ミッション 最上級の間を目指せ!


 場所 第四魔法演習場

 

 報酬 先着十名にドラゴンの剥製を贈呈


 ルール 

 ・制限時間は午後七時まで

 ・演習場内のオブジェクトは破壊オーケー

 ・怪我をした場合は極大魔法で先生が治癒します

 ・生徒同士の紛争はダメ

 ・武器はなんでも使って良いよ

 ・先生がルールです

 ・悪い子はシバきます

                 

          複合魔法学担当 ライ  』



 色々と突っ込むべきところがあり、困惑する学生ばかりだった。だが、大半の学生が演習場内での怪我が極大魔法によって治療されることを確認すると次々と最上級の間を目指す。


 理由は様々だが、殆どの学生は報酬であるドラゴンの剥製が喉から手が出るほど欲しいためだ。


 ドラゴンの剥製………それは、売れば一生遊んで暮らせる程の金を手に入れることのできる代物だ。金が欲しくない人など皆無に等しい。


 このとき学生達は自称校内変態教師筆頭の手の平で踊っていることを知る由もなかった。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




 俺は今、上空から有象無象共がゴーレムに群がったり、罠に引っ掛かって半身を吹き飛ばしている様子を見ていた。俺の極大魔法は強力だから、髪の毛一本でも残っていれば直ぐに回復する。その直後に別の罠に引っ掛かっているのをみるのもまた一興。



「フフフッ。ハハハハハハッ!」



 俺は楽しかった。どのように楽しいのかというと、長いドミノを完成させて倒したときの、あの感覚だ。自分が考えた罠に引っ掛かったり、ゴーレムの隠し能力に気付かずにやられたり………。


 右を見れば落とし穴に落ちていく奴らが見え、左を見れば火に炙られている奴らが……後ろを見ればゴーレムのロケットパンチを見切れずにペコタンになっている奴がいる………。



「フフフッ。ハハハハハハッ!」



 俺はもう一度声に出して笑う。



「いや〜先週俺が狩ったドラゴンの余りを剥製にして保存しといて良かった。みんな想像以上に頑張ってくれちゃって!」



 俺はドラゴンの余りをここから直ぐの森の地中に剥製にして埋めていた。それらは今、最上級の間に鎮座している。


 俺が建てた城は五十階建てだ。最上級の間はその最上階に位置し、そこに辿り着くまでには、罠を避けながら多種多様なゴーレムを倒さなければならない。



「現在の演習参加者は百人ぐらいかな。罠をもう少し増やそうかな。どうしようかな。よし、増やそう!」



 俺は次々と追加の罠を仕掛けていく。直ぐにミッションをクリアされてはつまらないからだ。まあ、今のところ城に辿り着いている人は数人しかいないが………。


 ん?まてよ。罠を仕掛けるゴーレムを作れば俺が罠を仕掛ける必要なくねぇ?


 俺は早速、土魔法で罠を生成するゴーレムを作成する。



「お!できた!あ、でも、これだと俺が暇になるな。」



 俺は取り敢えず罠を生成するゴーレムを五十体程作成する。



「あ!そうだ!俺が一体のゴーレムを魅了魔法で制御すれば良いんだ。一体だけの知能を持つゴーレム………。フフフ、これは良い!」



 頭の思考回路が完全に授業から趣味へと変化するライだった。







☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆




「な、なんだ。これは…………」



 私は驚愕した。膝から崩れ落ちる。隣には、副校長がいる。



「こ、校長、お気を確かに……。」



「あ、あぁ、すまない。少し目眩がしてね………。」



 私達は、校内の見回り中に偶然見た光景に驚愕していた。



「副校長………」



「なんですか、校長………」



「この国に、極大魔法の使い手は何人いる?」



 この質問の答えを私は知っている。だが、問わずにはいられなかった。



「マカール王国には、極大魔法の使い手が六人います。ですが、彼が使用している魔法が極大魔法なら………七人になります。」



「彼……ライ先生が使用している魔法は間違いなく、極大回復魔法『テラヒール』だ。」



「校長先生………」



「なんだね、副校長。」



「あの罠やゴーレムを再現することのできる者はこの国に存在しますかね?」



「いや、あのゴーレムは私も初めて見た。あれらを完全に再現することのできる者は…………この国にいない。」



 学生達はそんな事実に気が付くことなく演習をしていた。もしかしたらこれら全ての事象が一人の人間によって成されていることを知らないのかもしれない。知識とは恐ろしい。知れば知るほど、世の中が理から外れているように思えてくる。



「彼が、もしもライ先生がこれを全て一人で行っているというならば、彼はこの国を滅ぼす程の力を一人で所持していることになる。」



「校長、そんなわけ……」



 副校長は否定しようとした。だが、否定しきることができなかった。

 

 何故なら、生徒達と対面することなく彷徨っているゴーレムの数が、城内と地下を合わせると一万を越えることに気が付いたからだ。







【少しでも面白いと思って下さった方々へ】

 星の数ほどの作品の中から本作をお読み下さり、誠に有難う御座います。御手数ですが、ブクマ、ポイント、レビューなどで評価して頂くと幸いです。作者が歓喜します。


つ、使い回し!?


そ、そんなこと無いですよ……!?(確信犯)

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