謝罪
「はぁ…。」
あれ以降日に日にラブレターが増えている。
休み時間、放課後を潰されてまう毎日…。
うぅ…神藤さんと一緒に帰りたい…。
言って諦めてくれる子ならいいけど、
そうじゃない子が大半だから尚更大変…。
あー…ほんと憂鬱…。
「えー、じゃあ今日は球技大会の種目
決めしていくぞ~。
やりたい種目に名前書いてけー、多かったら
じゃんけんで決めろよー、
じゃあ俺は仮眠とってるから。」
「うわぁ…。」
「反面教師ってやつ?w」
「あんな大人には絶対なりたくないな…。」
次々教師に対して非難する声を挙げつつ
黒板に名前を書いてゆく。
うーん…。俺なんでもいいんだよな…。
出来ればあんまり目立ちたくない…。
これ以上注目されたらたまったもんじゃない…!
だからこそ…!俺は…!サッカーにする!
ダメだったらソフトボールにする!
無事種目決めが終わり、周りが騒がしくなる。
はぁ…。一応じゃんけんに勝ったから
いいものの、どうすれば目立たないように
出来るかな…。
若干ボーッとしつつも手は黒板の文字を
写してゆく。
_最近、月神くんと一緒に帰れてないな~…。
寂しい…。
でも月神くんかっこいいからモテるのも
分かる!だからしょうがないよねっ!
我慢がまんっ…!_
…っ!ごめん神藤さん…。気づけなくて…。
はぁ…、俺はなにやってんだよ!
隣に好きな子が居るって言うのに…!
今俺に出来ることはこれぐらいしかない!
ノートの隅に書いた文を神藤さんに見せる。
神藤さんもまたノートの隅に返事を書いて
クスッと笑った。
俺やっぱりこの笑顔を守りたいな。
_~っ!不意打ちなんてずるいよ…。
やっぱりかっこいい…。
あーもう!恥ずかしくて顔見れないよ~。_
ほんと神藤さんって可愛い。
コロコロ表情が変わるが面白いから
見てて飽きないな~。
取り敢えず土曜日にデートの約束出来た!
やべぇめっちゃ楽しみ!
憂鬱な気持ちなんてどこかにいって
その事で頭が一杯で。
自分でもこんなに単純だったけ?と
疑ってしまうほど楽しみで。
放課後
目の前には赤面状態の女の子。
「あの…月神くん!好きです!
付き合ってください…!」
「ごめんね、俺他に好きな子がいるんだ。
告白してくれてありがとう。
出来ればでいいんだけど他の子にも
伝えといてもらえないかな?」
「……っ…はいっ!分かりましたっ!
来てくれて嬉しかったです…!」
…うん、やっぱり心が痛む。
でもいい子そうで良かった。
これで告白してくる子が少しでも
減ったらいいな。ふっ、切実な願いだな。
土曜日、神藤さんとデートの日です。
あ~、ヤバイ!めっちゃドキドキする!
なんせ女子と休日に会う!それもデートするとか!
今までの人生で無かったからねっ!
だって演劇の練習だとかで遊んで無かったもんっ!
でもどうしよう…俺がリードしなきゃなのに
経験が無いから神藤さんに失礼な事しちゃったら…。
その分楽しみと不安でごちゃ混ぜになってます。
その姿は百面相の様にコロコロ変わってます。
待ち合わせ場所に10分程前に着いて辺りを
見回すも神藤さんの姿はない。
まだ時間はある。
俺が早く着いちゃっただけだし
急がせるつもりもない。気長に待っていよう。
_かっこいい~。_
_声かけたいけど自信無い~無理~…。_
「ねぇあそこに居る人かっこよくない?」
「ねー、声かけに行く?」
「え~、でもハードル高くない?」
「まぁ…でもいけるしょっ!」
「あの~お兄さん。」
「月神くん…!」
誰かに服を掴まれて振り向く。
顔を真っ赤にして少し息が上がっている
神藤さんが居た。
「え?神藤さん大丈夫?
ほら、静かで座れる場所行こ?
あの…すいません通してもえますか?」
「え、すみませんどうぞ。」
「ありがとうございます。」
会釈してその場に後にした。
「ありゃりゃ~、ドンマイ。」
「そんなぁ~。」
「神藤さん、落ち着いた?」
「うん、大分落ち着いた。
ごめんね、月神くん…迷惑かけちゃって。」
「全然いいよこれくらい。
で、なにがあったの?」
「うん…それが最初知らないお祖母さんに
道を聞かれて答えてたら次々
声かけられちゃって…。
待ち合わせ時間に間に合わなくなり
そうだったから謝って逃げてきちゃった。
悪いことしちゃったかな…。」
「…そっか、大変だったね。」
頭を撫でると照れ臭そうに笑う神藤さん。
……それにしてもいくら神藤さんが
いい人だからって群がるんじゃねぇよっ!
絶対その中に下心あるやつ居ただろっ!
マジ許せん!!
「月神くんって面白いね!」
「え?なんで俺変なことした!?
え~なんだろう…?」
「だってさっきから百面相してるんだもんっ!
それが面白くて。」
~っ!はっっっず!
まぁ…神藤さんが笑ってくれるのならいい…のかな?
今度から気を付けよ。
「じゃあそろそろ行こっか。
映画館っ!」
「うんっ!」
はぐれないように手を出せば少し躊躇われたけど
繋いだ手を離さないようにしっかり握った。
「神藤さん、どれにする?」
「うーん…どうしようかな~。」
メニュー表を見ながら悩む。
「じゃあさ、半分のやつにしよ?
そしたら2つまで選べるじゃん。」
「!じゃあ、塩とキャラメルにしよう!
いい?」
「うん、それでいいよ。」
「やったー!あと飲み物はね~、
ファンタメロンにする~!」
うん、可愛い。でもねその短めのフレアスカートで
ジャンプすると見えちゃうからね。
狙われちゃうよ?危険じゃないかな?
心配なんだけど。
長めの予告が流れる中チラッと神藤さんを
見ると静かにしているものの楽しみで
仕方無いと言わん張りにるんるんで。
クスッと笑って誘って良かったなと思った。
それにしても…神藤さんの服装。
なんだろう…ちょっと目のやり場に
困る様な…気がする。
だって…少し空いている胸元、
少し短めのフレアスカート、
太過ぎず細すぎずな綺麗な足、少し高いヒール…。
唯一の救いなのがカーディガンみたいなのを
羽織っている事ぐらい。
それも隣と言うことも相まって
胸元が目立つ。
_うーん…この服装で大丈夫だったかな?
お母さんに選んでもらっちゃったけど
スカート短すぎないかな~…。
もう少しだけ長くても
良かったんじゃないかな…。
うぅ…恥ずかしい。_
お母様ナイスっ!…なんてちょっとしか思って
無いんだからねっ!勘違いしないでよねっ!
「私お手洗い行ってくるね。」
「うん、ここで待ってるから。」
「はぁ…私はしゃぎすぎたかな…。
月神くん引いてないといいな…。」
深呼吸をして彼の待っている場所へ向かった。
「月神く…。」
月神くんは誰にでも優しい。
だから笑顔で返事をしてくれる…。
その中に私も入っているんだろうな…
そんなことを思ってしまう自分が嫌で
その気持ちに無理やり蓋をした。
「あの、すいません俺彼女居るんで。
離れてもらえませんか。」
「え~、その彼女さんどこに居るの~?
いないじゃ~ん、ねぇ遊びいこー!」
「なに言ってるんですか?ここに居ますよ。
俺の可愛い彼女が。」
優しいような、強引のような。
いつもと違う表情にドキッとした。
「へぇー…なんか普通~。むしろ私の方が
かわいくね?って感じなんですけど~。」
「あ!こんなとこに居た!ほら行くよ!
すみません!こいつ変なこと言って
ませんでした?」
「いえいえ、大丈夫ですよ。」
「えー!お兄さん優しい~!
ますます理想なんですけど~。」
「はぁ?なに言ってんのあんた
気使われてるの分かんないの?
ほんとすいませんでした!
こいつにきつく言っておくので。」
「いえいえ、気にして無いので
大丈夫ですよ。」
何度もお辞儀をして去っていった。
「はぁ…ごめんね神藤さん巻き込んじゃて。
帽子か眼鏡してくれば良かったかな。」
「全然大丈夫だよ。」
_むしろ嬉しかった…か、可愛い彼女…。
いやでも!その場の嘘なんだから
なに舞い上がってるの私!月神くんとは
そんな関係じゃなくて友達なんだから!
勘違いしちゃダメ!_
うぅ…友達…。切ねぇ…切ねぇよぉぉぉぉ!!
ほんとはすぐにでも言いたい!
でも軽い男って思われるようで俺的に嫌だから
言わないだけだから!
もっと上手く…気持ちを行動にしなきゃ神藤さん
には伝わらないのかな…?
昼食を済ませゲームセンターへ向かった…
までは良かったのだか…。
「おぉ!翔じゃん!こんなところで
会えるとは思ってなかったわ~。」
「なに黙ってるんだよー!これから
どっちが多くとれるか勝負すんだけど
翔もどう?!」
「悪いな…翔それに君も…
悪気があるわけじゃないから。」
「はぁ…それよりもお前ら神藤さんに
言うことあるだろ?話はそれからだ。」
「それもそうだな…。」
「おう。」
「「神藤さん、ごめんなさい!」」
「その…怖い思いさせてしまって。」
「君が可愛いくてつい…ね?」
「ほんとごめんねっ?根は悪い奴ら
じゃないから許してやってくれないかな?」
「いえいえ私全然気にしてないので
大丈夫ですよ。」
「まぁ神藤さんがそう言うなら
感謝しろよ!」
「はいはい。
この際だから自己紹介しよ?
俺縁谷 桃里、よろしくな?」
「俺は高坂 丈助!この中でだったら
一番頼りになると思うぜ!よろしく~!。」
「で、俺が坂下 純!
翔じゃなくて俺にしない?困った時は相談乗るよ?
なんてね。よろしく。」
「…私は月神くんと同じクラスの神藤 あかりです!
こちらこそよろしくですっ!
ところで何で皆さん、月神くんのこと翔って
呼んでるんですか?」
「それは~…。ちょっと翔のこと借りるね。」
「ねぇ!翔どうゆうこと?
神藤さんにあの話してないの?」
「うん…完全に言うタイミング逃しちゃってさ。
だから合わしてくれないか?」
「しょうがねぇな、合わしてやるよ。な?」
「おう!翔じゃなくてちかいって
呼べばいいんだろ?まかせとけ!」
「まぁ翔もいずれ神藤さんにあの話
ちゃんとしろよ!
今回は合わすけどさ。」
「悪いな、それでよろしく。」
なんだかんだあったけど彼奴らと神藤さんは
仲良くなって
「神藤ちゃん時間大丈夫そう?」
「まぁ遅くなると神藤ちゃんの親御さんとか
心配すると思うし良いんじゃね?」
「じゃあ解散ってことで!
ちかい、神藤ちゃんの事ちゃんと
送ってけよ!」
いつの間にかちゃん呼びになっていた。
俺なんかまだ神藤さんって呼んでるのに…!
なんか彼奴らに先越されたみたいで
ムカつくんですけど!
「お前に言われなくてもちゃんと送るに
決まってんだろ?」
「ならまかしたわ。
じゃあね神藤ちゃん。」
「さすがちかいだわヒューかっこいい~!
じゃあね~神藤ちゃんっ!」
「はいこれ。俺の連絡先、何かあったら
連絡して俺すぐむかうから。
じゃあね神藤ちゃん。」
「お前…なに渡してくれちゃってんの?
神藤さんもこいつじゃなくて俺の事
頼ってほしい。
じゃあなお前ら、ほら行こ神藤さん。」
「え…!あ…あの!今日は楽しかったです!
ありがとうございましたっ!それでは!」
本当はもっと余裕な感じを出したいのに
上手くいかない…。
神藤さんが可愛いから…自信無くなる…。
彼奴らに笑顔で対応してて妬けた。
俺なんて…まだ連絡先交換だってしてないし…。
はぁ…もしかして俺ヘタレ?
あー考えたくない~!
_月神くん…機嫌悪い?
私何かしちゃったかな…?どうしよう…。
私になにか出来ること無いかな…。
あ、でもさっきの頼ってほしいって
言われたのは嬉しかったな~。_
「~っ!神藤ちゃん、好き…。」
「……え…?月神くん?」
「…え?俺なんか言った?」
「え…あ…あの…なんでもない!」
ん?今…俺なにか口走った…?
えっ?………無意識すぎてなんて言った…?
じゃなきゃ先まで普通だった神藤さんが
顔赤くしてそっぽなんて向かないもんっ!
ほんと…俺って奴は…。
_うわぁ~!!!つ、月神くんが!
す、すすすすす…っ~!好きって!
え!!聞き間違いかな?!え!でも!
ちゃん呼びだったし!う~ん…。
でも…本当なら嬉しいな…なんて。_
その日はお互い何も喋らず、いつの間にか
神藤さんの家の前に着いていた。
あー…勢いで好きって言ったのか…俺。
神藤さんに明日どんな顔で会えばいいの?
まるであの発言が無かったように振る舞うの?
でも神藤さんとはギクシャクしたくないし…
めっちゃ意識してます!なんて感じの態度は
取りたくないし…。
スマホの画面を見ながら一人考えていると
縁さんからの着信。
ビックリしてスマホを顔面に落とした。
あまりの痛さに悶絶していると
「もしもし…?ちかいくん?」
「うぅ~…っ!!はぁい…なんですか?」
「ちょっとどうしたの?」
「それがスマホ持って考え事してたら縁さんから
電話かかってきて驚いた拍子にスマホ
顔面に落として悶絶してました。」
「あはは…ごめんね?ちかいくん。」
「いえ、大丈夫です。
ところで縁さんから電話かけてくるなんて
珍しいですね。」
「あー、そうだね。
ちかいくん、生まれ変わりの事誰かに
言った?」
「え…?なんでそんなこと聞くんですか?」
縁さんの一言を聞いた瞬間悪寒がした。
「えっと…それはね…あまり現世の人に
ここの存在事態がバレるとちょっとまずくて…
ちかいくんは大丈夫かなっと思って
聞いてみたの。
大丈夫ならそれでいいんだけどね。」
「…っ!あのっ!俺…ちょっと
話しちゃいました!ごめんなさいっ!
代償があるのなら何でも受けますので
許してください…!お願いしますっ!」
「…そっか。因みにその事を知ってる人は
信用できる人なの?」
「はい!超いい奴らです。」
「……ん?一人じゃなくて複数いるの?
待ってそれは聞いてない!どゆうこと?
詳しく!」
「え?縁さん怒ってない…?俺はむしろ
そっち方が気になる!」
「ん~…じゃあさ!先にちかいくんの方話して!
その話が終わったら私も話すから。
ね?お願いっ!」
「まぁ話してくれるなら…いいですよ。
教えたのは三人にしか言ってないです。
彼奴らには何も言えなかったので…
つい言っちゃったんです…。」
「…そうなんだ。ちかいくんにとって
それだけ彼らは大切な存在なんだね!
ちかいくんが信頼してる人達なら大丈夫かな。」
「俺はもう話したので縁さんの番ですよ。
教えてください。」
「まぁ…そうだよね。そうなるよね…。
さっき自分で言ったわけだし…。
実はね…私が居るこの場所を現世の人に
言っちゃ駄目なのは、本当にこの場所が
あるのか確かめようとする人が増えちゃう
と思ったから。
そうゆう人が増えると天使と悪魔に仕事が
いって大変な思いをさせてしまう…。
それは神様という立ち位置いる私とっても
よくない話で…。
だからこそ知られたくなくて…。
でもその心配は要らなかったみたいだね。」
「…まぁ…そうですね。
縁さんって天使と悪魔よりも上の立ち位置
なんですね。」
「まぁね。言わば閻魔大王みたいな
立ち位置…かな?」