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あなたの願い叶えます  作者: 音無 彌生
7/19

呼び出し

あのあと母親が帰って来て


「あら、神藤さんのところの娘さん?

可愛い~!

今日はもう遅いから泊まってたら?」


「え?いえ、そんな泊めてもらうなんて

悪いですよ。」


「いいのよ。神藤さんとは友達なの。

遠慮しないで大丈夫よ。」


不安そうな顔をした神藤さんが俺を見る。


え?…なにこの月神くんもいい?って

聞いてる感じの目は…。

思春期真っ盛りの男女ではあるけど…

しょうがなくない?

このまま送ってくのもちょっと違くない?

だから不可抗力!これは不可抗力!

やましい気持ちなどないっ!


「いいんじゃない、泊まってけば。

とりあえず今日は早く休んだ方がいいよ。」


「…じゃあ、お言葉に甘えて泊まらせて

貰います。ありがとうございます。」


そんなやり取りがあって。






まぁ…予想以上にヤバかった…。

ほら…お、お風呂…上がり…とかね。

マジ…エロッ…!

いやいや、なに思い出してるんだよっ!

隣に本人いるからっ!そうじゃなくて!

落ち着け、俺。落ち着くんだ…俺。


「あ、あの~、月神くん…。」


「え?…っ!痛ったぁ~…。」


なんと言うことだろう…。

電柱にぶつかった…。カッコ悪…。







下駄箱を開けると一枚の便箋…。


サーっと血の気が引いたのが

自分でも分かった。


まず、先に謝っておく。ごめんっ!

なんでこんなにラブレターを

嫌っているかって言うと

そのあとが面倒くさい…。

だって断ったら俺の近くいる女の子に

嫌がらせをしてくる。

それも集団で。

そして断ったことが一気に知れ渡る。

面倒くさい事この上ない。


「はぁ…。」


取り敢えず、放課後

差出人に会いに行くか…。


「月神くん、さっきは大丈夫だった?」


「えっ!うん大丈夫!

心配してくれてありがとう。」


今見つかったかと思った…。

焦った…。












そして放課後。

そのラブレターに書いてある場所に

行くとその差出人が居た。


「良かった~。来てくれて。

不安だったんだの。」


「まぁ…そりゃあ来るよ。

貰ったからにはね。」


「やっぱり月神くん優しいね。

私、月神くんが好きなの。

付き合ってください!」


「…ごめん。君とは付き合えない。

告白してくれてありがとう。」






「待って!

どうして、私じゃダメなの!

教えてよっ!」


「…他に好きな子が居る。

だからって妙な真似しないでね。」


_そんなの認めない…!_


はぁ…忠告してもダメなの…?

じゃあどうすればいいの…。

かっこいいのも考えものだよなぁ…。

あ、これだけは言っておくけど

自慢じゃないからね?

勘違いしないでね?




次の日。


「おはよー!月神くんっ!」


「…おはよう。」


「あ!えっと…神藤さんで合ってる?

おはよー!」


「うん、合ってるよ。

おはよう。」


「お二人さんじゃあね~!」




「なんだったんだ?あれ。」


「さぁ?」


昨日の告白は吹っ切れた?

早くねぇ?そんなもんなのかな~…。

うーん、女ってわかんねぇな。











「ふーんあの子が月神くんの好きな子。

なんだ、対したこと無いじゃん。」











休み時間。


「神藤さーん、ちょっといい?」


「うん、なに?」


そこに5.6人の女子達がなにやらにこやかに

神藤さんに話しかけている。


正直嫌な予感しかしない…。

なので少々気は引けるが尾行しよう。










「ねぇ、単刀直入に聞くんだけど

あんたと月神くんってどういう関係?」


「まぁ、これで付き合ってるなんて言ったら

分かってんでしょうね?」


「えっと…私は月神くんとは友達…です。

付き合ってはいませんよ。

だから安心してください!」


「ふーん、本当でしょうね?」


「どうせ嘘言ってんじゃないの?」


「そうだそうだ~。」


「じゃあこれ、どういうこと?」


「それは…。」




うーん、少し遠いからか全然聞こえない…。

どうしたものか…。







「あ!いた~!月神くん探したんだから!

着いてきて。」


俺の腕をがっちりホールドして

引っ張って行く。


はぁ?なんでこの子が。

それよりもさっきので俺が盗み見してたの

バレたんじゃね?








「ねぇ、廊下の方から月神くんって

聞こえなかった?」


「あー、うん聞こえた」


「ふんっ、残念ね。

助けに来てくれる王子様が

居なくなっちゃって。」


「いや、それもそうだけど

盗み見してたんじゃね?」


「うわ…。悪趣味じゃん。」


「いやいや、あんたがそれを言う?」


「…いえ、私なら大丈夫です。

むしろ月神くんに迷惑かけなくて済んで

良かったって思ってるぐらいなので。」









一方連れてかれたちかいくんは


「月神くんっ!ごめんね、

急に連れてきちゃって。」


「いや…まぁ別にいいよ。

で?なんか用があるんじゃないの?」


「まぁねっ!ねぇ月神くんの好きな子

って神藤さんでしょ?

なんでそんなに好きなの?」


「……そうだけど。

じゃあ逆に聞くけどなんで俺の事好きなの?

それと一緒だと思うけど…。」


「うーん…私のやつとはちょっと違うような

気がする…。

神藤さんのいいところは?

やっぱりサラサラロングだから?

それともほ…豊満な胸だから?」


「…はぁ、あのさそんなの俺が分かってれば

いいことだと思ってるんだけど。

だから諦めて。」


「………そんなの嫌。」


「嫌って言われても困るんだけど。」



「もういい?じゃあ俺行くわ。」


「……待って。最後に一ついい?」


「…なに?」


「なんで神藤さんにはあんなに優しいのに

私には…冷たいの…?」


「そんなのいらない誤解を

生みたく無いから。

俺は神藤さんを大切にしたいからに

決まってるじゃん。」


「っ…!そ…っか。ごめんね…引き留めて……。

それと…私が言った…訳じゃないから。」


「ん、分かった。」



急いで神藤さんの元へ向かう。


あの子が一枚噛んでるんだと思ってたけど

流石に気が引けた?とかなのかかな…。

まぁいいか。






………これ、俺必要なかったみたい。

だって…ね?

神藤さんの心の声…。


_えっ!これって少女漫画でよくあるやつだよね!?

彼はみんなのアイドルなのよっ!

独り占めなんて許せない!的な感じの!

本当にあるんだ!

どうしよう、ちょっとずるいかもだけど

泣いたふりしとこうかな!?_


ほら、ね?

俺どうしたらいいの?w

これ…このまま入ってたほうがいいのかな…?

うーん…どうすれば…うーん…。

よしっ!入るわ。


「…っ…大丈夫だった…っ…神藤さんっ!」


「ここで王子様の登場とかはぁ?って

感じなんだけど。」


「まぁまぁ、いいんじゃないのー。」


「あ、月神くん!私達神藤さんに何も

してないから安心してねー!」


「そうそう、暴力なんてがらじゃないし~。」


「まぁ言いたいこと言ったし退散しよー。」


「そうだね~、じゃあね

神藤さん、月神くん。」


「あ、あぁ。

えっと…神藤さん立てる?」


「えへへ、助けに来てくれてありがとう。」


手を取って引き上げるけれど

立ち上がれないな様子。


「あはは、腰抜けちゃったみたい。」


「…なんだ、本当は怖かったんだ?

安心していいよ。

でも俺は素直に頼ってくれる子の方が

好きなんだけどな~。

だから強がらないで頼ってよ、

じゃないと俺寂しいから…。」


「え、なんで?」


「え!そりゃ……っ…い、いずれ分かるよっ!」


その時の月神くんの横顔は耳まで真っ赤で

可愛かったのでした。










「月神くんには悪いけどやっぱり

諦められないかな~。

だから覚悟しなさい、神藤あかりさんっ。」



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