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あなたの願い叶えます  作者: 音無 彌生
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神様の願い

どこからともなく響くすすり泣く声。


あぁ…俺は死んだんだ…。


改めて思い知らされる。


俺の体はピクリとも動かないんだな…。


戻れないし戻る気も更さらない。


でもやりたいことは少しある。


もう叶わないだろうけど…。













「そこのあなた聞こえてますか?

あなたが生きたいのであれば

その願い叶えましょう

その代わり私の願いをあなたが叶えください。

これは交換条件です、いかがでしょう?」


「え…生き返れるんですか?

生き返れるのならなんでもします!

あなたの願い叶えます!」


「本当にいいんですか!ありがとうございます!

では先に私の願いを言ってもいいでしょうか?」


「えぇ、いいですよ。」


「私の願いは…ある女の子の願いを

叶えてほしいのです!

出来るのであれば私がその子の願いを

叶えたいのですが…

そうもいかなくなってしまって…なので

お願いします。」


「あの…それが本当にあなたの願いですか?」


「…えぇ、私の願いです。

あ、そう言えば名前?名乗ってなかったですね…

私は神様です。」


「へぇー神様………え!!神様!?

それって本当ですか?!」


「失礼ですね!本当ですよ!」


「そうなんですね…えっと俺は……

名前が、思い出せない…。」


「はい!生き返らせるためにはほんの

少し記憶を頂かないといけなかったので

頂戴しました!

だから今日から貴方の

名前はちかい君とします!」


「へぇー、生き返るために記憶を……って!

さらっとすごい事言いませんでした!?」


「まぁまぁ、気にしたら駄目ですよ!

それじゃあそろそろ行ってもらいましょうか?」


「え?どこに?だって俺の体もうないんだよ?」


「はい!それは分かってますとも!

なのでちかい君には第二の人生として

病人に憑依してもらいます!

では行ってらっしゃい!」















「……い!」


え?なんかいった?


「…………かい!」


「ちかい、起きて!」


目の前は見渡す限り白い天井。


白い天井から視線を左下に向けると

すすり泣きながら必死に名前を呼ぶ母?の姿。


「お…かあ……さん?」


「…………っ!ちかい!良かった、良かった…!」


体を起こせば力強く、生きていることを

確かめるように抱きついてくる母が居て

涙を堪える父が居た。








それから2ヶ月が経った。

リハビリを終えて手足が自由に動くようになり、

今までの生活が恵まれていた事に

気づかされた。


「ちかい、貴方宛に郵便来てたわよ。」


母に渡された少し膨らんだ封筒。


「ありがとう母さん。」


もし変なのだったらいけないと思い、

自室へ向かいその封筒を開けると

中からスマホらしきものと一枚の手紙が

入っていた。

とりあえず、手紙の方に目をやる。


ちかい君へ

ちかい君覚えていますか?神様ですよー!

ちかい君に伝え忘れてしまった事が

いくつかあります。

まずこの手紙と一緒に入っていたスマホですが

困った時、確認事がある時にかけて

きてくださいね。私の番号が入ってます。

それと今のちかい君は他の人とは

違い人の心が聞こえてくるように

なっているので是非活用してくださいね!

また何かお伝えすることが

ありましたら連絡しますね。

                  神様より


スマホを弄ってみると確かに連絡帳に

神様と記載されていた。

特に変わった要素などない至って

普通のスマホだった。


特別仕様だったりするもんだと思ってたのに

違うのか…まぁいいや。


俺は神様の願いを代わりに叶える!

でもその肝心の

女の子がどういう子なのか知らないし…

それこそ神様に聞いてみるか。


プルルル


「はい!もしもし~」


「もしもし、ちかいです。

神様手紙ありがとうごさいました。

それでなんですけど、神様が言ってた

女の子ってどういう子なんですか?」


「良かった~ちゃんと届いたんだね!

ちかい君気になっちゃった感じ?

それはね_____」

















4月

今日は入学式。




真新しい制服に心踊るなんて事はなくて

ただただ懐かしいなと思う。

俺が今も生きていたとしたら高校3年生で

制服を着る事も少なくなっていたはず。











「行ってらっしゃい、気をつけるのよ。

無理しちゃ駄目だからね。」


母は不安げな顔をするもんだから俺は


「母さん、そんな顔しないで俺大丈夫だから

行ってきます!」


笑顔で言うと安心してくれたみたいで

笑い返してくれた。













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