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カルレア魔法戦記  作者: 闇風龍
1/1

カルレア魔法戦記1

ここは、魔法都市【カルレア】。

今は皆平和だが、五年前この都市は暗黒時代だった。

なぞの闇組織暗黒結社(ダークユナイテト)が復活。

世界を自分たちのものにする事をもくろみ悪事を働いた。

カルレア魔術軍は対抗するが、全てが防げるわけでもない。

この、物語はその戦争の時代・・・

【カルレア最悪の日々】と呼ばれるようになった時代の話である。





魔導暦1752年6月7日カルレア魔術軍本部

「南西中央区での騒動片付きました。第三階位(トライオーダー)までの者しかおらず情報は手に入りませんでした」

魔術軍服に身を包んだ少し痩せぎみの男が報告書を読み上げた。

「そう。・・・彼は?」

男よりも豪華な軍服を来た女性は興味なさそうに話題を変えた。

「現在❬絶零❭が出向いております」

男はそう報告し、一礼して部屋をあとにした。

「❬絶零❭はちゃんとやってくれるかしら。二人には因縁の過去があるからね」

女性はそう呟いて、微笑んだ。



カルレアから30M(メドレ)≒57メートル離れた森の中

馬車から降りて荷物を館に運ぶ男がいた。

少し長めの赤い髪に同色の瞳、身長は94C(セチル)≒179センチメートル。体格はちょっとがっしりしている感じだ。

館の扉を開け、荷物を取りに馬車に戻った時、声をかけられた。

「元No.009❬封印❭ レギス・アンダーだな」

馬車から顔を出し振り向く。

「もう、軍には戻らねぇぞ?」

暗黒結社(やつら)がまた動き出したわ。力を貸して」

そこにたのは軍時代の元同僚青い髪に同色の瞳を持つNo.008❬鷲❭ アルベスト・ニルギス。その他魔術軍の魔術師たち、そして・・・

「あいつらは・・・確かに憎い。でも、軍・・・いや、妹を見殺しにしたお前も・・・憎い」

元上司No.004❬絶零❭ フローリア・シーベル。

約五年前、第一回の暗黒結社との戦いで妹のイリス・アンダーを見殺しにした魔術軍幹部だ。

一瞬、レギスの頭を苦い記憶が横切る。

指差した左手に魔力を感じとり、周りの魔術師たちが詠唱しようとす。

しかし、フローリアがそれを制した。

「無駄よ。もう、彼の固有魔術(オリジナル)が展開されている。私たちの魔法は封じられているわ」

そういって、フローリアはレギスに歩みより、深々と頭を下げた。

「!」

レギスをはじめ、魔術軍のみなも驚く。

「あの時のことは本当に申し訳ないわ。でも、お願いあなたの力が必要なの」

しばらく沈黙が続いた。

我慢できずに誰かが唾を飲み込んだとき、レギスが口を開いた。

「俺が生活する場所は軍が用意しろ。高級ホテルがいいな」

その言葉を聞いて皆目を見開いた。

アルベストは顔に手を当ててうつ向いている。

「わかったわ、それが条件ね。・・・ありがとう」

「勘違いすんじゃねぇ」

そういって、レギスは荷造りしに館に戻った。

それから三日後 魔導暦1752年6月10日

「うおお。さすが軍だぜ!本当に用意してくれるなんて」

軍が準備した高級ホテルの一室でレギスがテンションを上げていた。

キングサイズのベッドが右の壁中央に構えている。

床には見るからにふかふかな金色の糸で魔方陣の模様を編み込まれた赤いカーペットが敷いてある。

壁は鉱石で作られたタイルが敷き詰められており、天井のシャンデリアを反射させていた。

「たく、何も変わってないな」

一緒についてきたアルベストが腰に手をあてため息をついた。

今までにないほどふかふかなベッドにダイブしたレギスが顔をあげる。

「逆に、真面目になってても嫌だろ?」

「確かに、そうだな」

だろといたずらに笑って顔を枕に埋める。

「正式に軍になるのは明日だ。今日は都市を散歩でもすればいい。久しく来てないだろ」

「そうするわ」

欠伸をしながら答える。

そのまま扉まで歩きドアノブに手をかけて動きを止めた。

「ん?どうした」

急に動きを止めて真剣な顔になった元同僚を不思議そうに見つめる。

「な?」

アルベストが深々と頭を下げた。

「すまなかった。命令に従ったとはいえ、俺はお前の妹を助けてやれなかった。本当に・・・すまない」

うつむいたままの元同僚をしばらく見つめた。

「お前が謝ることじゃねぇ」

ただ、一言だけ目をあわせて言った。

笑いかけて来たレギスに少しだけ笑い返し扉をあける。

「アルベスト。・・・お前とまた仕事が出来て嬉しいぜ」

「奇遇だな。俺もだ」

振り返らずに扉をしめた。




魔導暦1752年6月9日カルレア地下のどこか

「ほほう、❬封印❭が復帰したよ」

地上の上に広がる夜空よりも暗い髪の毛を書き上げて一人の男が宝玉の前に座っている。

漆黒の瞳が見つめるのは宝玉に映った光景。

軍の人たちと一緒に歩く赤髪の男。

「いやー、ワクワクするねぇ!」

一瞬で部屋の反対側にいた女性の所に転位し愉しげに話す。

「ふんっ」

女性は興味なしと言わんばかりに男を振りほどいた。

「挨拶しに行こっかなぁ~」

それでも男は端から端まで口角を上げていた。




魔導暦1752年6月10日カルレア西内区

一通りの荷だしを終えたレギスは町にでていた。

西区中央大通りを歩いてある店の前で立ち止まる。

(ここのクレープ、あいつ大好きだったな)

思い出す

ーーーー

「お兄ちゃん早くぅぅ」

先を急いでいたイリスが振りかえる。

「おう、ちょっと待ってくれ」

肉の串焼きを買っていたレギスが財布を閉まって駆け寄った。

今日はイリスが軍で功績を出した祝いとしてクレープを奢ることになった。

「クレープ、クレープ。なに味にしようかな?チョコバナナかな~?マンゴープウディンもいいな~」

そんなふうに笑う妹を見てレギスは心が暖かくなっていた。

ーーーー

「久しぶりに買うか」

そう呟いて、クレープを頼む。

柔らかい皮に包まれたバナナとチョコがおいしそうな匂いをはっしていた。

(やっぱうめぇ~なここのクレープは)

盛大な一口を頬張り口の周りについたチョコをなめとる。

そのあと少し前と変わった町を眺めながら歩いたのちに、

レギスは脇道に入った。

昔、軍時代に良く通っていた居酒屋がある道だ。

住宅といくつかの店が所狭しと並ぶ脇道を通っていると、

前から黒いフードを被った男が歩いて来た。

その男はレギスと通りすがりに立ち止まり話かけた。

「久しぶり❬封印❭。また、楽しもうね」

「っっ!」

自分の耳に入ってきた声に驚愕し振りかえる。

しかし、声の主はもういなかった。

ピピピッ、ピピピッ

その時、ポケットに入れた魔導通信機がなった。

それを取り出し起動する。

「レギスか?」

アルベストの声が響く。

「あぁ、どうした?」

「今すぐ北西中央区に来てくれ。暗黒結社(やつら)が現れた」

その報告を聞いてなにかが合致した。

さっき声をかけた人。

彼は自分を知っていた。そして、自分が軍に所属していたことも。

さらには、また(・・)と言っていた。

「おい、アルベスト。黒いフードを被った人はいるか?」

北西に向かいながら通信機に話かける。

「あぁ、いるが。それがどうした?」

「そいつさっき俺に話かけた。この短時間でそこに行けるはずがない」

魔法で強化した足をフル起動させる。

「なんだと」

暗黒結社(ダークユナイト)で高速移動」

「一人だけ思いあたるやつがいるな」

「あぁ」

「「暗黒結社第五階位(ペンタオーダー)❬転位❭オイフェ・アルゲディ」」

二人揃って敵の名前を言った。

「全員詠唱しておけ。何をするか分からない」

前のアパートの屋上に佇む男を見上げてカルレア魔術軍幹部No.003❬黒炎❭グレダール・フレグラムが士気を飛ばす。

アルベストは少し離れた所から固有魔術(オリジナル)鷲眼(イーグル・アイ)❳を発動させ男を監視していた。

❲鷲眼❳自分の視力を極限まで高める固有魔術。

アルベストはこれを用いた狙撃に長けている。

しばらくしてレギスが隣に表れる。

「どうだ?」

「まだ、動きはない」

すると男はフードを放り投げた。

表れたのは漆黒の髪。

「やはりオイフェか」

アルベストが呟く。

「❬封印❭も来たと言うことで、はじめよう。久しぶりな人も多いのかな?」

何かしらの魔導器具を使っているにだろう。

数メドレ離れてもはっきり聞こえる音量でオイフェが話はじめる。

「僕たち暗黒結社は古代魔術(エンシャント)の解読、復活に努めていてね。ようやく訳せるようになってきたんだよ」

その言葉を聞いて軍の皆が震えた。

古代魔術の解読。それは、長年の魔術師の夢。

壊滅的威力を誇る古代魔術の復活を目指して様々な魔術師が人生を無駄に終わらした。

それが解読できたと言うのだ。

「【ああああ】」

我慢できなくなった軍の一人が魔術を放つ。

雷属性魔法❬シャイン・スピア❭。

軍兵の手から飛び出た稲妻は一直線に男を貫く。

はずだった・・・。

「がはっ!」

魔法を放った軍兵が倒る。

そこにはナイフを持ったオイフェが立っていた。

「遅いね」

舌打ちをしアルベストが電撃を放つ。

一ミリの乱れもない狙撃。しかし、あたることはなかった。

オイフェの体が淡い青色の光を帯びて霞む。

瞬間かれは元の屋上に戻っていた。

❬転位❭。彼のあだ名であり、得意魔法。

普通、転位魔法はそれなりの詠唱を必要とする。

しかし、オイフェは詠唱なしで発動する事が可能なのだ。

「僕の固有魔術❲空間の使者(ウラノス・アポステル)❳をなめないで貰いたいね」

不適な笑みを浮かべてアルベストを見据える。

「お前のオリジナルで封殺できないのか」

「いや、できないことはない。だが、軍の魔術も封殺される。それにあいつが既に転位魔術を起動してればツミだ」

そんな会話を交わしているとオイフェが魔力を練り始めた。

「まぁ、信じるか信じないかは君たち次第だが。とりあえず、一つ見せてあげるよ」

そういうと一気に魔力が膨れ上がり詠唱が響いた。

「【今此処に顕れよ 古代より守り戦士】」

詠唱が終わると同時に地面から手がでてくる。

その手に引っ張りあげられたのは2階相当の体を持つ人形の古代戦士。

腕は直径2M(メドレ)ほどあり、右手に巨大な大剣を構えている。

それが3体。

「まぁ、楽しんでくれ」

そういってオイフェの姿は霞んだ。

「総員戦闘準備ぃ!」

グレダールが左手をあげる。

ゆっくり近づいてくる巨躯を見据える。

アルベスト、レギスも詠唱を開始する。

「はなてぇぇぇ!」

炎が水が風が氷が雷が3体を襲う。

アルベストも固有魔術を解き、❲シャイン・ピアス❳を3連射する。

レギスは詠唱をキャンセルしていた。

アルベストがそれを見て前線に出ていく。

魔術の爆発による煙が晴れた時、誰もが驚愕した。

お世辞にも無傷とは言えない。

巨躯のいたるところは傷ついており、アルベストの❲シャイン・ピアス❳によって風穴が空いていた。

しかし、歩く速度は変わらず怯んだ様子も見せずに着実とこちらに向かってくる3体。

「グレダール幹部。あいつの射線に一体止めておいてください」

グレダールの所まで駆け寄ったアルベストが指示する。

部下からの急な指示に怪訝な顔をするが、納得したように了解した。

「任せたぞ」

「親爺の魔法、無駄にはしない」

魔導通信機で会話をかわす。

グレダールが魔法を放つ。

「【焼き尽くせ】」

左手から放たれた黒炎が一体に向かって直進する。

炸裂した黒炎はその場で鞭となり体を縛りあげる。

固有魔術❲黒蛇炎(ブラックサラマンダー)❳。

「さすが幹部だぜ」

レギスが口角をあげる。

「【世の理 ここに回帰(もどれ) 我が導こう】」

膨大な魔力が膨れはじめる。

それに気づいた軍兵の数日が振り替える。

「【天なるものは天に 地なるものは地に】」

「みんなあけろ」

アルベストが叫ぶと同時に皆左右にずれる。

「【森羅万象 此処に輪廻に集え 転生せよ】」

「【すべては あるがままに】」

膨大した魔力が凝縮。

「【アナイアレーション】!」

巨躯をまるごと飲み込む光線が射線上の物を飲み込みながら突き進む。

殲滅魔法。誰かが呟いた。いや、誰もが思っただろう。

普通、殲滅魔法は大掛かりな詠唱をもってなされる。

魔力量も膨大な為二人以上で行うのが普通だ。

しかし、レギスはたった一人でそれに勝るとも劣らない物をぶっぱなした。

それは、彼のお父さんが作った魔術。

アンダー家の血を触媒とする事で魔力量を減らし威力を底上げすることに成功。

すべてを破壊する閃光が消えた後巨躯はそこにはなかった。

ついでに、街灯やベンチもいくつか消え去っていた。

「さすがはレギス。お前ら、あいつを治療院に連れていけ。後は私たちでなんとかしよう」

感嘆をあげたグレダールが部下に指示する。

アナイアレーション。威力は絶大だが、血を触媒とするため体への負荷も絶大である。

地面に倒れたレギスを二人の軍兵が抱えていった。

そのあとは順調だった。

巨体は魔法体制があるわけではなく。

ただ、怯まないだけだった。

グレダールの❲黒蛇炎❳で拘束してから一気に叩きこむ。

その間、他のみんなでもう一体の注意を引く。

長くはない時間がたった頃残りの一体が倒れた。





こうして、最悪の日々が幕をあげた・・・



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